《一目惚れから始まった俺のアオハルは全部キミだった...》メジャーデビューへ 10

『Re Light』の渋谷ジャックと生ライブ配信の反響は凄まじく、デビューアルバムの売れ行きは絶好調で、このCDが売れない時代に、異例の速さでのミリオンを達し、シングルカットされたドラマの主題歌のMVの視聴數はもう1億回に迫る勢いで、社會現象を引き起こしていた。

アルバムを引っさげたライブツアーのチケットは即完売で、これも話題を呼んでいた。

「もっとデカいハコを抑えるべきだったよなぁ...見誤ったなぁ...」

と嘆く瀬名さん

「アリーナ...とか抑えとけば良かったと?」

ちょっと様子を伺うように聞いてみた。

「ばか奏太!アリーナなんてもんじゃねーよ、ドームだよ、ドーム!」

鼻息荒く瀬名さんは豪語した。

「東京ドーム、俺たちにやれますかね?」

と瀬名さんに聞くと

「やれるポテンシャルは充分ある!」

瀬名さんは、靜かに自信に満ちた聲で言った。

「実は、どうしても東京ドームでやらなきゃならない理由があるんです。」

 

「やらなきゃならない理由?」

「聞きますか?それ」

「聞くよ、聞きたいよ」

「絶対瀬名さん泣きますよ?」

「泣く話しかーそうかー、そういや奏太とサシで語ったことないもんなー、ちょっとこれはじっくり聞こうじゃないの。

味いもんでも食いに行くか!」

そう言って瀬名さんは嬉しそうに俺の肩に手を回した。

「ちょ、暑苦しいなーもー!」

「やっぱりか?若者だもんだよな?」

「いや、俺、回らない壽司がいいっす。」

「......」

無言で財布の中を確かめ始めた瀬名さんに思わず吹き出しながら

「噓ですよ、なんか味い焼き鳥かなんか食いたいっすねー」

って言ったら

「いや、オッサンか!」

とか言いながら、明らかにホッとしてる瀬名さんに、また吹き出しそうになった。

結局、煙モクモクの大聲で話さないと聞こえないような、きったねー大衆居酒屋みたいなとこで2人、俺はもちろん未年だからノンアルコール、瀬名さんは生ビールを味そうに飲みながら焼き鳥を食ってた。

「それで?どうしても東京ドームでやらなきゃならない理由ってのを聞かせてもらおうじゃないの」

「瀬名さん酔っ払っちゃってんじゃないすかー」

「酔っ払ってねーって」

「まぁ、酔っ払ってくれてるぐらいのがいっか...」

そんな前置きをして俺は『來蘭と俺の語』を語り始めた...

語の最初のシーンはそう...來蘭に〈一目惚れ〉した學式からだ...

話は、あの來蘭がライブ中に切りつけられて大怪我を負い、右手の覚を失った所に差し掛かった。いまだにあの時の慘劇のようなシーンは脳裏に焼き付いていて、忘れようにも忘れられないでいる...

その後、三日三晩高熱にうなされ、痛みに苦しんでいる來蘭の傍に付いていたあの三日目の朝のこと...

そしてあの日、來蘭と俺が見た〈同じ夢〉のことを瀬名さんに話して聞かせた。

案の定、泣き出した瀬名さんに

「ほら、泣くじゃないっすか...」

と言うと

「ばかお前、こんな話泣くなっつーのが無理な話だろが...こんなん絶対に東京ドームでやらなきゃダメなやつじゃん!」

「そうなんです、絶対連れてかなきゃならないんです。それで、ここからが本題なんです。この話を瀬名さんに知ってもらった上で、お願いしたいことがあるんです。」

「お願い?」

「はい。」

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