《一目惚れから始まった俺のアオハルは全部キミだった...》優輝と由香の

〈優輝side〉

東京、橫浜、名古屋、大阪の4都市8公演の、Re Light初のライブツアーは、どの會場も運良くプラチナチケットを手にしたファンたちに熱烈歓迎され、毎夜熱いライブが繰り広げられ大功に終わった。だがその公演數のなさに、チケットを手に出來なかったファンたちの嘆く聲が多かった為、慌てて大きな會場を抑え、追加公演として橫浜アリーナとさいたまスーパーアリーナの2會場4公演が決まり、そのライブに向けたリハーサルが連日行われていた。

「あれ?優輝もう居ないの?」

「もう病院に向かったんじゃない?」

介と加奈の會話がし聞こえて來たが、僕は足早にスタジオを出ると、彼の元へと急いだ。

アナログ表示にしてあるAppleウォッチの針は、19:35を指していた。

くそっ、30分もないじゃないか...

面會時間は20時までなのだ。

「ごめん由香!遅くなった!」 

「優輝くん!待ってた!」

あれから僕らは、よくメッセージをするようになり、時間が許す限り僕は病院に足を運ぶようになり、心を通わせるようになっていた。

初めは妹のようなじだったのが、大人びた彼にドキリとさせられることが何度かあってから、僕の中で由香が日に日に大きな存在になって來ていた。

小児病棟では一番年上だからと、下の子たちのお姉さん役をこなし、時にはお母さん役までしてあげるような彼だったが、僕の前でだけは、ただの甘えたなの子になる。

「來てくれないかと思った...」

「そんなはずないだろ、明日からしばらく會えなくなるのに來ないわけないだろ?...ただ、遅くなったのは悪かった...ごめんな」

「ううん、來てくれただけで嬉しい...ありがと」

「由香、髪切ったんだな。可い...似合うよ」

その僕の言葉に由香は大粒の涙を流した。

「長い髪、自慢だったんだ...」

「うん、知ってるよ...」

「明日からの抗がん剤、髪の全部抜けちゃうんだって...」

「うん...」

「髪のなくなっちゃっても優輝くん由香のこと嫌いにならない?」

「ばか...當たり前だろ?

ほら、これ由香にプレゼント。

開けてみて」

由香がそっと包みを開ける

「帽子!可い!」

それは、デザインは來蘭、作ったのは加奈の手作りの帽子だった。

「由香、明日からの抗がん剤頑張って病気やっつけたら、またその自慢の黒髪を僕のためにばしてくれよ...」

「優輝くん...それって...」

「うん」

「うん、じゃわからな...」

言い切る前に僕は由香を抱き寄せ

「由香が好きだよ」

と言って、照れた顔を見せないようにしばらく抱きしめていた。

「明日からの治療、頑張れる?」

抱きしめながら聞く

「......」

返事をしない由香

「ハイって言わないとチュウするよ?」

すると由香は僕からを離して、わざと口を結んでいたずらっ子の顔をして見せた。

これは一生由香にはかないそうもないやと思いながら、彼の後頭部にそっと手を置き、を重ねた...

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