《(ドラゴン)メイド喫茶にようこそ! ~異世界メイド喫茶、ボルケイノの一日~》ビターな片思い・中編

「私の好きなもの?」

休憩時間、正確に言えば晝休み。

俺はメリューさんにそれとなく訊ねてみた。もちろん適當なタイミングで切り出したわけじゃない。日常會話を続けに続けた上に、そう話しかけただけのこと。だから、まったく間違った流れを生み出したわけではない、ということだ。

「ええ、まあ、ちょっと気になりまして」

「気になる、と言ってもなあ……。あんまりおもしろい話題でもないぞ?」

「まあ、それでもいいじゃないですか。話のネタにはなりますよね?」

ちょっと念を押してみた。なんか不審に思われないか、と思ったけれど――何とか今のところメリューさんは不審に思っていないようだ。

メリューさんは上を向いて、何か考えるような様子を見せる。

そして、メリューさんは暫く考えた末、口を開いた。

「そういえば、それって食べか?」

「ええ、そうですね」

「だったら、あれが好きだったな。あの料理だ。……ポテトサラダ、と言えばいいのかな。蒸かした芋を潰して、様々な野菜をトッピングしたものだ。家族がそれを作ってくれるのが、楽しみでね」

ポテトサラダ、か。

確かにあれは味しい。俺の祖母もポテトサラダを作っては、叔父さん叔母さんに食べさせていたっけ。叔父さんと叔母さんはそのポテトサラダを食べて生きてきたから、それがとても懐かしく思えるのだろう。毎回祖母の家に帰っていくタイミングで、毎回ポテトサラダを食べているし。

「……で、それを質問した意味はあるのか? 正直理解できないが……」

「ん、あ、いや、充分ですよ。ありがとうございます。……さてと、休憩を終わりにしますか。まだ人は來ないから、メリューさんは休憩していていいですよ。俺はまだいろいろと殘っているので、早めに休憩を抜けるだけですから」

そう言って俺は休憩を早めに切り上げて、カウンターへと戻っていった。

「ポテ……ト、サラダ? なんだ、それは。そのようなものが好きなのか?」

三日後、ラインハルトさんがやってきたタイミングで、俺は『宿題』をラインハルトさんに提出した。その答えを聞いてラインハルトさんは首を傾げていたが、しして理解し始めてきたのか、何度か頷いてコーヒーを啜った。

「ふむ、ふむ! る程ね。それさえ理解しておけばいい。ありがとう、ケイタ。君のおかげでまた一つ彼のことを知ることが出來たよ。それじゃ、また」

殘っていたコーヒーを一気飲みして、お金を支払って、ラインハルトさんは去っていった。

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