《(ドラゴン)メイド喫茶にようこそ! ~異世界メイド喫茶、ボルケイノの一日~》ケイタのクラスメイト・起

私は時計を見ていた。

なぜか、って?

ケイタがやってこないんだよ。いつもやってくるはずの時間になっても、來る気配がない。連絡手段も一応持っているのだが、その連絡手段を通して遅れるとかそんなことも言っていない。

しは心配になってくるのだが、しかし連絡しても連絡が取れないのだから何もできない。

「……しかし、どうしようもないしなあ」

あいつの世界に行ってみるか?

……いやいや、そいつは駄目だ。先ず、この角をどう隠せばいい? ケイタの住む世界では、一番迫害されているという。面白がる人もいて、それが世界中に流布される可能もあるのだとか。……まあ、『こすぷれ』とやらに思われれば、まだ可能として問題ないらしいが、そこまで私には解らない。

もどかしく思う間も、時計の針は進んでいく。

どうしようもない。そう思っていた、その矢先――。

カランコロン。

ドアについていた鈴の音が聞こえて、私は立ち上がる。

ってきた相手は私の予想通り――ケイタだった。

だが、それだけではなかった。

ケイタの後に、もう一人。

スカートを履いたの子だった。

「すいません、メリューさん。ちょっと遅くなってしまって」

「へえ。……すごいいい雰囲気ね。というか、え、はじめまして。私のせいで遅くなってしまったので、ケイタをあまり怒らないでくださいね」

そう言っての子は頭を下げる。

いやいや、別に私は怒っているわけではないぞ? 怒っているわけではないのだが……。正確に言えば、心配していただけだからな。連絡くらいしてほしいものだよ、まったく。

それについて私の口から伝えると、ケイタは、

「それについてはほんとうに申し訳ないです。連絡しようとは思っていたのですが、ちょいと彼につかまってしまって――」

「つかまってしまった、それについては理由にならない。なぜこうなったのか教えてはくれないか? それを聞いて判斷することにしよう」

私はそのの子も含めて話を聞くことにした。さながら事聴取みたいなものだが、まあ、聞くことについては悪いことではないと思う。大方、私の予想通りだと思うけれど。

解りました、と言ってケイタはカウンターに腰かける。の子もケイタに合わせてその隣に腰かけた。まだ時間はある。ゆっくりと話してもらって構わないぞ。

そうしてケイタは、し前の出來事について話し始めた――。

◇◇◇

終業を知らせるチャイムを聞いて、俺は立ち上がった。

今日も學校は何事もなく終了した。そう自己完結させてクラスを後にすると、いつも通り一目散に玄関へと向かい、そのままいつもの場所へ。そしてボルケイノにり、バイトを始める。それが俺のいつものスケジュールだった。

「ケイタ、待ちなさい」

……また、始まった。

俺は小さく溜息を吐いて、踵を返した。

そこに立っていたのは、俺のクラスメイト。正確に言えば、俺の馴染。

その名前は柊木桜。もっと言うならば、クラスの學級委員も務めている優等生だった。

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