《(ドラゴン)メイド喫茶にようこそ! ~異世界メイド喫茶、ボルケイノの一日~》新メンバーの一日・中編

「……そうなんですか」

私はそれでも信じられなかった。

けれど、ファンタジー的世界観ということを考えると、そういうことも案外普通なのかもしれない。……というか、それってただの読心なのではないだろうか?

「それにしても、どうしてそんな能力を……?」

私の言葉に、メリューさんは笑みを浮かべる。

「うれしいねえ、信じてくれるのかい。まあ、本當のことだけれど」

「……え? 本當なんですよね? だったら、信じますよ。噓を吐いていないのであれば」

「噓は吐かないよ、私は元來噓を吐くことはしない、と決めているのでね。……さて、休憩するとしようか。ホットケーキを食べるでしょう?」

そう言ってメリューさんは廚房へと向かった。

メリューさんに休憩中の手を煩わせるわけには……そう思って私も廚房へ向かおうとしたけれど、それをメリューさん自に抑えられた。

「いいのよ、別に。私が作りたくて行きたいのだから」

「それではせめて紅茶だけでも……」

私は矢継ぎ早にそう言った。せめてそれだけでも、私はしたいと思った。しなければならないと思った。

それを見たメリューさんは笑みを浮かべると、大きく頷いた。

「そこまで言うならば、やってもらいましょうか。その気持ちを無礙にすることも出來ないしね」

「はい! ありがとうございます!」

そうして私は、紅茶をれるべくカウンターの裏へと向かった。

メリューさんもメリューさんで私を見守りながら、廚房の奧へと消えた。

◇◇◇

メリューさんがホットケーキを持ってきたちょうどいいタイミングで、私も紅茶をいれ終えた。

「ホットケーキ、焼きあがったわよ」

メリューさんの手にはそれぞれ一枚のお皿があり、そのお皿にはホットケーキが三枚と蜂、それにバニラアイスが溶けかけの狀態で乗っかっていた。

それを見て私はすぐにでも食べたい! と思ったけれど、まだ紅茶をティーカップにれていなかった。そう思った私は早く食べたくて大急ぎで紅茶をれようとした。

「駄目よ、サクラ」

……そこで私はメリューさんにさえぎられた。

「……え? どうしてですか。まだ紅茶をれていませんけれど」

れていないのは見てわかるわよ。問題はあなたが今から『大急ぎ』で紅茶をれようとしていること。そんなことがオーケイだと思っているわけ?」

「え、いや……どういうことでしょうか? さっぱり、理解できないのですが」

「だから。……まあ、いいわ。ちょっと貸してみなさい」

そう言ってメリューさんはホットケーキの皿をカウンターに置くと、ティーポッドを私の手から奪った。

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