《(ドラゴン)メイド喫茶にようこそ! ~異世界メイド喫茶、ボルケイノの一日~》『』の料理・後編
そうしてスプーンを手に取って――王様はライスとレバー、ニラを幾つか取って、それを口にれた。
しして、王様の目がキラキラと輝いて、頬がとっても赤くなった。
もう見るからにして味しいと思ったんだな、ということが解ったじだ。
「……味しい。なんだというんだ、これは!」
あまりの衝撃にレバニラ丼にがっついていく王様。はっきり言って、王様がしていい食事には見えないけれど、まあ、それについてはあまり口にしないほうがいいのだろうな。
そう言っているとメリューさんが出てきて、
「味しいと言ってもらえてよかったです。実はそのレバーというものはかなり臭いがきついものでして、好き嫌いを選ぶ人が多いのですよ。ですが、これを上手くしてどうにかして臭いを抜くとここまで味しいものになります。これが、レバニラ丼です」
レバーは確かに人を選ぶかもしれない。
でもおいしそうだ。レバーとニラ、それに醤油ベースの香ばしいソースの香り。これで涎が出ないほうがおかしい。さすがはメリューさんと言ったところだろうか。
王様はレバニラ丼を食べ終えて、ふう、と溜息を吐く。
「……有難う。とても味しかったわ。お代は?」
俺はお代の値段を告げる。
それを聞いて王様は一瞬目を丸くしたが、すぐに頷いてそれを差し出す。
きっとあまりにも想像より安かったのだろう。だが、うちはその値段でやっている。もっと払いたいと言っても、逆にそれは困る。だから、それ以上はびた一文もらうことは無い。
「ねえ、あなたがこれを作ったのよね?」
メリューさんに質問する王様。
メリューさんはそれを聞いて頷く。
「そう。……実は、今度『亜人會議』というものが開かれるのだけれど」
亜人會議。
また唐突な新単語が登場したな。
王様は話を続ける。
「その亜人會議に料理人を招こうと思ったのだけれど、どれも普通の、在り來りな料理人ばかりで……。それで、もし可能ならばあなたを料理人として招きたいのだけれど」
「料理人として、ですか……」
「もちろん、お金は出す。それに、その間のことが心配で辭めるというのであればそれは止めないわ。私はあくまでもこれは『提案』であると考えているから。また、いつか來るつもりだからそのときはよろしくね」
そう言って、王様は踵を返すと立ち去って行った。
「亜人會議、か……」
メリューさんは呟く。
きっとメリューさんも聞いたことの無い単語なのだろう。どこか首を傾げて、考え事をしているように見える。
亜人會議。……また、何か嵐を呼ぶ単語のような気がする。俺はそう思ってカウンターの片づけを開始した。
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