《四ツ葉荘の管理人は知らない間にモテモテです》學校生活
新學期が始まった。おれ、春花、冬海の三人は二年B組に集まることとなった。學校でも家でも一緒の生活が始まったことで、おれの心臓はいつもドキドキしており壽命のまりをじている。
「蒼太くん、さっきの授業わかりにくそうな顔してたけど、大丈夫?」
ノートとにらんで、さっきの授業のわかりにくかったところを復習しようとしていると、冬海が側にきてくれた。
「実はさっきの先生の話、全然わかんなくてどうしよかと思ってて……もしよかったら、教えてくれ。頼む」
冬海も春花と同じ頭が良く、學年の順位では二人共、一桁代をキープしている。そんなところも憧れの元なのだ。
ノートを指差すと、冬海が顔周りの橫髪を抑えながらのぞき込む。髪からほのかに花の香りがする。
「ああ、ここは確かにわかりにくいよね。ここはね……」
それはとても丁寧な解説だった。おれのノートに書き込む綺麗な字と図は、簡潔で見やすい。
「ありがとう、冬海。すごいわかりやすくて、なんだかわかった気分になれてる」
冬海の雰囲気がらかくなり、ふわりと笑う。おれもつられて笑ってしまう。
「わかった気分も大事だよ。蒼太くんの役に立ててよかった。今度一緒に勉強しよう? わからないところがあったら教えるし、蒼太くんが得意な現文は教えてほしいな」
「ちょっと二人共、その勉強會に私も混ぜてね。はい、どーぞ、差しれだよ」
春花が二人分のジュースパックを持って、側にきた。ジュースをありがたくけ取ると、春花はポケットからグミを取り出し、おれと冬海にくれた。グミはブドウ味だった。
「疲れた時には甘いものだよね。ジュースは夏樹先生からだよ。通りがかったら二人が頑張ってたのを見たんだって。ご褒だーって、夏樹先生と一緒に買ってきたんだ」
後半の言葉は耳の近くで、聲を潛めてだった。それがくすぐったくて思わず笑いがれそうになるのを、春花や冬海に知られるのが恥ずかしくてこらえるしかなかった。
そんなおれを救ったのは、次の授業のチャイムだった。二人はおれに挨拶すると席に戻った。
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午前の授業終了のチャイムが晝休みを告げる。実家にいた頃は母さんが弁當を作っていてくれたが、今はみんなで作ってみんなで中庭で食べている。これは姉ちゃんがいた頃からの習慣だそうだ。今まで他の友達と食べていたが、今はこうしているせいで仲の良い友達からは羨ましいとからかわれている。し恥ずかしい話だ。
「今日は図書委員の仕事があるから、帰るのはちょっと遅くなるね」
冬海がそう言うと、秋乃先輩も手をあげた。
「秋乃も今日は部活があるから、冬海ちゃん、一緒に帰ろっか。まだ暗くなるの早いからねー」
「いつもありがとうございます、秋乃先輩」
この中で一番下の妹みたいなのに、秋乃先輩はやはりお姉さんなんだなと、一緒に暮らし始めてから何度も思い知らされる。おれはもうすっかり秋乃先輩を尊敬している。
「部活ってことは軽音ですか? そういえば今日、ギター持って行ってましたね」
春花が思い出したと秋乃先輩を見ると、秋乃先輩は笑顔で答える。
「そうだよー、軽音。自主練の果を見せ合うんだ」
「秋乃先輩、軽音學部だったんですか? 知らなかった……」
おれはてっきり助っ人で行く部活の話をしているのだと思ったが、違ったみたいだ。
「うん、メインは軽音なんだ。時々スタジオとか行って練習してるんだよ」
「秋乃は歌もうまいが、ギターも上手なんだ。今年の文化祭も軽音の出しが楽しみだな」
黙々と食べていた夏樹先生は優しい顔つきで言う。褒められて嬉しそうな秋乃先輩は幸せそうで、おれも嬉しくなった。
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【書籍化】解雇された寫本係は、記憶したスクロールで魔術師を凌駕する ~ユニークスキル〈セーブアンドロード〉~【web版】
※書籍化決定しました!! 詳細は活動報告をご覧ください! ※1巻発売中です。2巻 9/25(土)に発売です。 ※第三章開始しました。 魔法は詠唱するか、スクロールと呼ばれる羊皮紙の巻物を使って発動するしかない。 ギルドにはスクロールを生産する寫本係がある。スティーヴンも寫本係の一人だ。 マップしか生産させてもらえない彼はいつかスクロール係になることを夢見て毎夜遅く、スクロールを盜み見てユニークスキル〈記録と読み取り〉を使い記憶していった。 5年マップを作らされた。 あるとき突然、貴族出身の新しいマップ係が現れ、スティーヴンは無能としてギルド『グーニー』を解雇される。 しかし、『グーニー』の人間は知らなかった。 スティーヴンのマップが異常なほど正確なことを。 それがどれだけ『グーニー』に影響を與えていたかということを。 さらに長年ユニークスキルで記憶してきたスクロールが目覚め、主人公と周囲の人々を救っていく。
8 171【書籍化進行中】斷罪された悪役令嬢は、元兇の二人の娘として生まれ変わったので、両親の罪を暴く
【2022/9/9に雙葉社Mノベルスf様より発売予定】 (書籍版タイトル:『悪役令嬢は、婚約破棄してきた王子の娘に転生する~氷の貴公子と契約婚約して「ざまぁ」する筈なのに、なぜか溺愛されています!?』) セシリアは、あるとき自分の前世を思い出す。 それは、婚約破棄された公爵令嬢だった。 前世の自分は、真実の愛とやらで結ばれた二人の間を引き裂く悪役として、冤罪をかけられ殺されていた。 しかも、元兇の二人の娘として生まれ変わったのだ。 かつての記憶を取り戻したセシリアは、前世の自分の冤罪を晴らし、現在の両親の罪を暴くと誓う。 そのために前世の義弟と手を組むが、彼はかつての記憶とは違っていて……
8 147【書籍化】竜王に拾われて魔法を極めた少年、追放を言い渡した家族の前でうっかり無雙してしまう~兄上たちが僕の仲間を攻撃するなら、徹底的にやり返します〜
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