《-COStMOSt- 世界変革の語》第7話:普通
放課後、僕と北野は學校の最寄駅に近い喫茶店に來ていた。高校生が利用するには高い店で、まず同校の生徒は居ない。當然、僕だってコーヒー1杯に1500円も出したいわけじゃないし、北野に3500円の軽食を奢りたいわけでもなかった。
人の目につくのは良くない、ただそれだけの事。
「祖父が國會議員だと豪遊できるのね。羨ましいわ」
「……価値観の差異かもしれないけど、この程度は豪遊って言わないよ。それに、お金は折半だ」
「あら、の子からお金を取るの? 酷いわ幸矢くん」
「君からじゃあないけどね……」
もう1人、僕らを呼び出した人。僕より頭1つ分背の低い彼はまだ來て居なかった。黃をメインにした明るい店は僕に不似合いで、できれば早く帰りたい。
「中學からのお友達に會うのに、ここまで気を使うなんて変よねぇ?」
「煩うるさいよ……。場所の指定は競華なんだ。文句なら彼に言ってくれ……」
「あら、じゃあどうでもいいわ」
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他人の事などどうでもいいのか、興味なさげにそっぽを向いた。これから、いやでも興味を持つことになるだろう。富士宮競華は、常人ではないのだから。
カランコロンとドアベルが鳴り、珍しい店者があった。チラリと橫目で見ると、朝に登校を共にしたが、スクールバッグを背負って堂々と立っている。
鋭い目つきが僕らを見つけ、こちらに向かってやって來た。
「……こうして見ても、貴様等の目が、態度が、カップルのように思わせないな」
開口一番に口にしたのは揶揄からかいの言葉で、失笑混じりだった。場を和ませようとでもしたのか、しかし僕等は顔1つ変える事はない。競華も本心で言ってるんじゃないだろうし、何かしら弁明する必要もないだろう。
僕と北野が向かい合う中、競華は僕の隣に腰を下ろした。メニューも見ずに店員を呼んで親子丼を1つ頼んでいた。
「……競華、一応聞いておくけど、お金は折半だよね?」
「は? 貴様が払え」
「…………」
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たまにこういうこともある。呼び出したのは競華だしかなり理不盡だが、お金に余裕のある家系に生まれたおかげで払うのには困らなかった。
「……それで、北野椛だったな?」
「ええ……富士宮競華さんね? 思っていたよりずっと面白そうな人だわ」
「面白い人間ではない。つまらない人間だとよく言われるしな」
「普通の人から見れば、ねぇ……? けど、私は普通じゃないもの」
「隨分と"普通"の範疇が狹いようだな。貴様は弾を作れるようだが、中東の戦爭をやってる所では我々より半分も年下の子供が弾を生産していることもある。知識があるわけではないがな……。世界的に見れば、私も貴様も普通なんだ」
「あらあら、面白い考えね」
クスクスと笑って北野は相槌を打つ。競華は眉一つかさないで北野の仕草を見ているが、北野も態々口元に手を當てたりと、昨日今日で見ていない作をしている。最近の子は、會話のレベルが高いな……嫌になる……。
「前置きはこれぐらいにしよう、北野。単刀直に訊くが、貴様が幸矢とつるむ理由はなんだ?」
一直線に、ストレートに質問を投げかけた。転校生に向けて発する質問としては、異質なものだろう。僕は転校生の北野と今の學校で初めて會話をした人であり、友達でいるのはなんら不自然ではない。
しかし、次の競華の言葉が、僕の考えを吹き飛ばした。
「5ヶ月前――京西高校の學式、育館破事件。あの犯人は貴様だな?」
「!」
反応せずには居られなかった。北野が転校前に居た高校、京西高校。そこはこの國トップクラスの高校として有名で、僕の親戚である瑠璃奈が通う高校。
瑠璃奈は、中學までまともに學校に行ってなかった。
なんで高校に通っていたのか気になったけど、それは……
(北野に気を取られたのか……?)
憶測ではなんとも言えない。考えや疑念は頭の中だけに留め、も表には出さないよう努めた。
僕が黙っていると、北野はまたクスクスと笑い、手のひらを返してこう答える。
「さぁ、どうかしら? でも、私みたいな16歳のの子が、そんな事をするのって――」
――普通じゃないわよね?
北野の言葉は、僕のに深く突き刺さる。
人間はどうしたらこんなに殘酷になるのだろう。海外で學校に銃した年達はゲームの影響をけていることがわかっている。北野はゲームをやったり、人が殺し合う畫を見るような趣味はなさそうだが、僕の見立てが間違ってるんだろうか……。
北野は勉強もできる、それがどうして非な人間になれるんだろうか。
「……まぁ、終わったことの話などどうでも良いのだが」
競華はさも興味がないかのように、自分が振った話題を蹴っ飛ばして話を進める。
「それで、貴様は何故幸矢とつるむ?」
「幸矢くんの方から友達になろうってって來たのよ?」
「だからって突き放すこともできたはずだが?」
「隣に座っている子と気まずくなるのは……ねぇ? フフッ、わかるでしょう?」
「なるほどな」
競華は「この話はもういい」と言わんばかりに頷いた。全然納得していないだろうに。
そこに漸く、注文していた親子丼がやってくる。話を一旦切り上げると、競華は箸を持って食事を始め、殘された僕と北野で雑談を始めた。
◇
親子丼を食した後、競華はすぐに「用事がある」と言って出て行った。會社に行くんだろうけど、それを言わないあたり北野への警戒は高いらしい、
僕と北野も店を出ると、まだ水の空の下をゆったりと歩いた。駅はすぐそこ、話をするには距離が短い。
「私、今一人暮らしなのよ。親からの仕送りがないと生きていけないなんて、の貧困を近にじるわ」
「……まだ月初だし、お金はあるんだろうに」
「あら、バレた? 家計簿も付けるから、楽勝よ」
わかってもらえて嬉しいのか、いつもの艶やかな笑みよりもらかい顔で笑った。彼の目が、嬉しそうに見えたのは初めてだった。
「……北野も、の子だね」
「? どういうことかしら?」
「あんまり深い意味はないよ」
し笑顔が可いと思っただけ。それぐらい、自然だろう。
◇
電車発車のベルが鳴るも、私は平然と歩いてドアにる。まだスペースに余裕のある電車で、私はつり革に摑まり、先ほど會った人について思考を巡らしていた。
北野椛きたのねもみじ、そのの正を、私はすでに見破った。知識がある分厄介ではあるが、ただの子供だ。恐れるに及ばないし、安心したと言えるだろう。
しかし、何故晴子はあのを幸矢にくっ付けたのだろうか。まさか本當に、幸矢が寂しがってると思ってくっ付けた訳ではあるまい。北野と幸矢が一緒に居ると都合が良いのはわかるが……。
晴子は、幸矢の事が好きだ。
それで良いのだろうか? 同じなのに、晴子の気持ちがわからない。私がをしたことがないからなのか……。
「とりあえず、警戒しておくに越したことはないな」
ボソリと、つい言葉が口に出る。しかし、車で競華に顔を向ける者は居なかった。
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