《-COStMOSt- 世界変革の語》第54話:臨み
「……鬼ごっこ?」
スマホに向かって、思わず聞き返してしまった。鬼ごっこ、ルールを知らない人は居ないだろう。大人數での遊びで、1人の鬼を決めて、鬼が殘りの人達を追いかける。そして、鬼にられたら、その人が次の鬼になる。
子供が楽しむ遊びだった。とても競華がやるような事ではない……。
しかし、晴子さんは僕の質問を肯定する。
《そうだ。鬼ごっこ、懐かしいだろう? ルールは簡単。競華くんが鬼で、私が子供。捕まったら負け。制限時間1時間の一本勝負さ》
「……1時間、か」
とても長い時間だった。1回捕まったら負けで、しかも2人だけでやる鬼ごっこ。足の速さは競華が50m走6.1秒、晴子さんが50m走6.5秒……これだけ考えると、勝ち目はなかった。
《場所はなんと、廃ビルを貸しきるそうだ。まぁ、廃ビルといっても、ちゃんと會社は生きてるらしいが》
「……。廃ビル、か」
思考を深め、1時間の理由にも納得する。
鬼ごっこはスタートするとき、鬼が10秒數えてその間に子供役が逃げる。廃ビルなら、隠れることもできる。だが、屋なら競華はセンサーやカメラをあらかじめ設置する筈。競華は、本気で戦える――。
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晴子さんも鬼ごっこには馴染みがあることだろう。小學校低學年の頃は僕と一緒にやったから。それが、鬼ごっこを選んだ理由だろう。
鬼ごっこが戦いのルール――だとしても、神代晴子と富士宮競華の2人がやるなら、ただの追いかけっこにはならない筈。どうなる事か……。
《それで、幸矢くんには協力してもらいたい。私の力は言葉だからね、鬼ごっこじゃ発揮されない》
「わかってるよ……。それで、僕は何をすればいい?」
《ははっ、今回は大変だぞ? よいかね?》
「何を今更……」
《そうだね。……よし、今から作戦を話す。聞きたまえ》
「……ああ」
僕等は電話にて、明日の競華に対抗する作戦會議を始める。敵は大きい、だが晴子さんも同じぐらいに大きい。
さて、聞こう。競華を倒すための作戦を――。
◇
――自室のベッドに仰向けに寢て、手に持ったスマホの畫面を見る。スクリーンに映るのは晴子との會話のログ……先程送りつけたルール容だった。
1時間の鬼ごっこ、隠れる場所が多ければ鬼である私の方が不利なのだ。しかし、罠をばら撒くのは実に簡単だ。隠れたとして、虱潰しにすれば貴様は終わりだ。
――今頃、晴子は私を倒す作戦を考えているだろう。しかし、私はそれさえも潰す。潰さなければならない。
晴子……私の知る限り、學生のうちで私と真に同等の力を持つのはお前ともう1人、瑛晴だけだ。
晴子は幸矢を従え、瑛晴は瑠璃奈に傅(かしず)いている。立場は逆にしても、貴様等の質は良く似ていた。
瑛晴もまた、聖人君子だ。人を導くのが最高の暇潰しなんだろう(※1)。ただ、同じ聖人君子でありながら、2人には決定的な違いがある。
瑛晴は、他人なんてどうでもいいんだ。
だから人を導くにしても、その先に友達になるとか、仲間になるとかをしない。プロトタイプ參には驚かされたが、きっと瑠璃奈に何かを吹き込まれたのだろう。
その點、晴子はまだ瑠璃奈の息もかかってないし、友人も大勢いる。信頼も高い。瑛晴だって信頼だけならバカみたいにあるが、伽藍堂がらんどうな信頼では何もなし得ない。
私は知っている、より高度な信頼があるからこそ何かを生み出せると。晴子と幸矢、2人で何かをし遂げたように――。
「おそらく、ペアで來るだろうな……」
ポツリと呟き、私は再び文面を見た。送りつけた文章に、他人を使っちゃいけないなどと書いてはいない。晴子は間違いなく幸矢を使って來るだろう。快晴はダメだ、時間稼ぎはできるだろうが私ならすぐ捕まえる。
2対1、それで構わない。人を使うことも晴子の力だ。それに勝って私は初めて、神代晴子に勝利したと勲章を得られる。
私は理想郷とか王とかクソ程にどうでもいい。私はただプライドが高い高飛車なで、誰かに負けるというのが許せないだけだ。執念以上に人をかすものはない、私の執念とはプライドが高いことなのだ。
自分という刀が折れないために、勝たなければならない。別に、命を賭けた戦いというわけではないが――
「――貴様を超えてみせる」
それが私の誓い、私の意志だ。
明日の決戦、楽しみにしているぞ……。
※1:人生そのものが暇潰しという考え方。自分の人生で行う社會的活、その他全てをしなければ人間は暇であり、人生は無意味であるという否定的な価値観。全てが否定的であるからこそ、暇潰し=楽しみ、という方程式になるのかもしれない。
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