《朝、流れ星を見たんだ》終わりは既に始まっていた
「修也ぁ~!」
大翔がテニスラケットを放り投げ、修也にガバッと抱きつく。修也はそれを半ば暴に突き放したものの、その顔は珍しく生き生きとしていて、喜びに満ち溢れていた。
「やったね、これで俺たち、ダブルスで関東一位だよ!」
相手がいなくなったコートの上で、大翔はぴょんぴょんと飛び跳ねている。その試合を見學していた人々は、見事に高校生男子の関東大會を優勝した二人に、盛大な拍手を送った。
「まさか、ここまで來れるなんてね。」
「だよねー。でも俺たちなら、全國優勝も夢じゃないかも!」
「そうだな。」
どちらからともなく、二人はハイタッチをわす。その直後、大翔は右手で口を抑えてコホコホと咳き込んだ。
「おい…大丈夫か?」
小さな肩を揺らして咳をする大翔の背中を、修也が軽くさする。
「うん、へーきへーき。」
大翔はその手をさっと後ろに回すと、ニコッと微笑んだ。長しても、その笑顔はまだ無邪気な子供そのもので、きゅっと細めた目がなんとも言えずにらしい。
しかし修也はまだ心配そうに、大翔の背中をさすっている。
「そうか? 最近咳が多い気が…。」
「えー、なんだろ? アレルギーか何かかな?」
大翔が首をこくっとかしげた時、「表彰式を行いますので、選手のみなさんは三コートに集まってください。」というアナウンスが聞こえた。
「行くぞ。」
「えっ、俺トイレ行きたいんだけど。」
「なんで今なんだよ…早くして。」
「うん、先行ってて。」
修也と大翔は、別々の方向へと走って行く。その時、修也は気づかなかった。大翔がさっき口を抑えた右手に、わずかなが付いていることに――――。
【コミカライズ&書籍化(2巻7月発売)】【WEB版】婚約破棄され家を追われた少女の手を取り、天才魔術師は優雅に跪く(コミカライズ版:義妹に婚約者を奪われた落ちこぼれ令嬢は、天才魔術師に溺愛される)
***マンガがうがうコミカライズ原作大賞で銀賞&特別賞を受賞し、コミカライズと書籍化が決定しました! オザイ先生によるコミカライズが、マンガがうがうアプリにて2022年1月20日より配信中、2022年5月10日よりコミック第1巻発売中です。また、雙葉社Mノベルスf様から、1巻目書籍が2022年1月14日より、2巻目書籍が2022年7月8日より発売中です。いずれもイラストはみつなり都先生です!詳細は活動報告にて*** イリスは、生まれた時から落ちこぼれだった。魔術士の家系に生まれれば通常備わるはずの魔法の屬性が、生まれ落ちた時に認められなかったのだ。 王國の5魔術師団のうち1つを束ねていた魔術師団長の長女にもかかわらず、魔法の使えないイリスは、後妻に入った義母から冷たい仕打ちを受けており、その仕打ちは次第にエスカレートして、まるで侍女同然に扱われていた。 そんなイリスに、騎士のケンドールとの婚約話が持ち上がる。騎士団でもぱっとしない一兵に過ぎなかったケンドールからの婚約の申し出に、これ幸いと押し付けるようにイリスを婚約させた義母だったけれど、ケンドールはその後目覚ましい活躍を見せ、異例の速さで副騎士団長まで昇進した。義母の溺愛する、美しい妹のヘレナは、そんなケンドールをイリスから奪おうと彼に近付く。ケンドールは、イリスに向かって冷たく婚約破棄を言い放ち、ヘレナとの婚約を告げるのだった。 家を追われたイリスは、家で身に付けた侍女としてのスキルを活かして、侍女として、とある高名な魔術士の家で働き始める。「魔術士の落ちこぼれの娘として生きるより、普通の侍女として穏やかに生きる方が幸せだわ」そう思って侍女としての生活を満喫し出したイリスだったけれど、その家の主人である超絶美形の天才魔術士に、どうやら気に入られてしまったようで……。 王道のハッピーエンドのラブストーリーです。本編完結済です。後日談を追加しております。 また、恐縮ですが、感想受付を一旦停止させていただいています。 ***2021年6月30日と7月1日の日間総合ランキング/日間異世界戀愛ジャンルランキングで1位に、7月6日の週間総合ランキングで1位に、7月22日–28日の月間異世界戀愛ランキングで3位、7月29日に2位になりました。読んでくださっている皆様、本當にありがとうございます!***
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