《朝、流れ星を見たんだ》一週間前〜大翔side〜
俺は病院の真っ白い天井を、ボーッと見つめていた。指をかすことも、瞬きをすることも面倒で、ただただ何もない天井を見つめてるだけ。
「…うっ…あっ!?」
急ににの味がこみ上げてくる。反的にサイドテーブルにあるタオルをとろうとしたけど、上半を起こした瞬間、真っ白な布団に、赤黒いを吐いてしまった。
「…っ。」
力がらず、震える腕を必死にかし、なんとかタオルを手にとる。それで口の周りをふくと、が新品のタオルについた。日が経つにつれて、タオルにつくの量は多くなっていく。それを見る度に、俺はもう死ぬんだという事実を、嫌でも思い知らされた。
「…。」
タオルをもとの場所に戻すような、赤ん坊でもできる簡単なことでさえ、もうできない。だんだんと視界が霞んできて、の覚がしずつ、なくなっていくのがわかる。
修也とあの約束をしてから、もう一週間が経つ。修也がイギリスから戻って來るまで、あと三週間以上はあるな。修也がいなくなってからも、俺はちゃんと薬を飲んで、いい子にしてた。修也もイギリスで頑張ってるんだから、俺も頑張らなきゃって、一生懸命自分を勵ましてた。だって約束、破りたくないし。
「修也…。」
親友の名を、ポツリとつぶやく。その聲はかすれていて、自分でもよく聞き取れないほどだ。
「修也…。」
もう一度呼ぶと、目から一筋の涙が伝ったのが分かった。泣きたくなんかないのに、勝手に涙が流れてくる。一度流れた涙は、もう止まらない。
ほんとは、イギリスになんか行ってほしくなかった。遠征頑張ってねなんて、言いたくなかった。ずっと傍にいてしかった。
「でも…。」
俺なんかのために、修也をここに引き止めておく訳にはいかない。修也の夢は、プロのテニスプレイヤーになることだ。その夢を、俺が壊しちゃいけない。もうそろそろ逝く人間のために、夢を壊してほしくない。
なのに俺ってば…ほんとおこがましいよね。口では強がっちゃってるけど、ほんとは修也を、どこにも行かせたくなかった。俺の心臓が永遠に冷たくなるまで、ずっと修也と一緒にいたかった。
「はぁ…。」
だんだんと意識が遠のいていく。がふわふわと浮いているような、変な覚になる。それでも涙だけは、しっかりと頬を伝っているのが分かる。止まることなく、次々と流れていく涙。
あー…悔しいなぁ。
ずっと修也の傍にいたかった。
ずっと修也の憎まれ口を聞いていたかった。
ずっと修也とおしゃべりしていたかった。
あの約束を、守りたかった。
でももうあの約束は、守れない。
俺は目だけをかして、窓の外を見る。何時なのかよくわかんないけど、窓の外は真っ暗。星が點々とっているのが見える。それがいつも以上に儚く見えるのは、なんでだろう。手をばしたら屆きそうに見えるけど、屆くはずはない。
イギリスとは時差があるから、修也のいることろは夜じゃないだろうな。でも、同じ空の下にいることに、違いないよね。
「…。」
瞼が重い。中の覚は、まったくない。なのに涙が流れているのがわかるのは、なんでだろう。頬が濡れているのがわかるのは、なんでだろう。目に涙が、ものすごい勢いでたまっていくのがわかるのは、なんでだろう。
でも…そんなこと、だんだんどうでもよくなってきた。今はただ、どうしようもなく眠い。
ごめん、修也。約束、守れないよ。約束するって、言ったのにね…。俺、噓ついてこの世から、いなくなっちゃうのか…。
會いたいけど、今は我慢するよ。その代わりに、俺はあの夜空にある星になって、修也をずっと見守ってあげるからね。
俺のこと、忘れないで。俺は修也の、親友だよ。
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