《彼が俺を好きすぎてヤバい》うまく言えないが、とにかくヤバい。(1)
彼はヤバイ。何がどうヤバイかと説明できないくらいにヤバイ。
だが、それでは一ミリも伝わらないのはわかっているので、順不同になってもとにかく書き記していこうと思う。
とりあえず、俺の話。
名前、月城 翼つきしろ つばさ。この春休みが終えたら高等部の一年になる。今は寮生活で、ルームメイトは先程生徒會に呼び出されて外出中。つまり、部屋には俺一人。
で、ここで學校の話をしておかなければいけない。俺の通う學校、硝鍵しょうけん學院は、表向きは音楽系の學校を裝っているが、所謂“魔”を學ぶ學校なのだ。魔の説明は追々するけど、ともかく俺達學生やその卒業生は、科學的な仕掛け以外で火を出したり風をふかせたりできると思っておいてしい。
前置き終了。彼の話だ。
名前、瀬野せの 遙はるか。俺と同じ學校に通う同學年。彼は、この「彼」というのは、三人稱単數のSheではなく、loverという意味で、つまり俺たちは付き合ってる。公然の事実で後ろ暗いところは何もない。
しかし、それも時間の問題になってきた。
彼が、俺の部屋の外、窓にり付いている。
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