《ACT(アクト)~俺の婚約者はSな毒舌キャラを演じてる…~》ドSな毒舌キャラには何かワケがあるようで…

「あ~危機一髪だった…」

クラスの王・新町エリカとの衝突を避けるため、當事者のなごみを連れて教室を飛ぶ出し、人気のない非常階段までやってきた俺は、とりあえず安堵していた。

さて、これからどうするか…

新町エリカ――クラスの王的存在にして中學時代のなごみを知る數ない人…。

大方昔は大人しかったなごみが急に高圧的な毒舌キャラになっていたもんだから、目障りだったのだろう。

ぶっちゃけあの場は逃れたが、こんなのただの問題の先送り。どうせいつかは同じ狀況になるに違いない。

ここは適當に謝って済ませておくのが無難なんだろうが…

「何?全を嘗め回すような目で見るのは遠慮してもらえるかしら」

「いや、そんな目で見てねェから。むしろため息じりに頭抱えながら見てたから」

今のコイツの調子でそれは無理だろう…と、一人頭を悩ませていると、

「それにしても奏太君が魔人になっているとは予想外だったわ。久しぶりに再會して私のかわいさにしてしまったのは仕方ないけど、まさかいきなり人気のないところに連れ込むなんて…」

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「そこ!勝手に勘違いしてゴミを見るような目で見るのは止めろ!っていうか、お前の変貌っぷりの方が予想外だよ!」

當の本人は全く気にしていない様子で俺をからかってきた。

むしろ昔は俺がからかって、なごみが拗ねるのがお決まりだったのに…。

というより、何で俺はこんな小バカにされながらコイツのことを心配してやらにゃならんのだ!大こんな180度格の変わってしまった毒舌のことなんて好きでいられるわけ――

「奏太君」

「あ?なんだ――」

「大好き!」

「~~~」

……うん。まぁ、好きでいられるみたいですね。そして、コイツのことが好きだから心配したくなっちゃうんだろうね…。

どうやら俺はこの急激で殘念極まる変化を目の當たりにしても、なごみのことを嫌いにはなれていなかったらしい…。

自分が一度惚れてしまうと冷めにくいという困った格の持ち主だということを自覚させられた俺は、自分の意外な一面に、最早頭を抱えることしかできなかった。

「どうしたの?もしかしなくても私に見惚れちゃった?」

でも、あの頃のコイツ、本當に可かったんだけどなぁ。

「…お前、ホント変わったよな…っていうか変わり過ぎじゃね?」

俺はかつての100點満點だった彼に思いを馳せつつ、ため息をついた。すると…

「あら、今度はセクハラ発言?訴えられるわよ?」

返ってきたのがこのセリフ。…うん、この子は何を言っているのだろう。

「…おい、今の発言のどこにそんな要素があったんだよ」

「とぼけても無駄よ。まぁ、確かにかなり変わったのは事実ね。この4年間でかなり大きくなったもの」

視線を下に落とし、そんなことを口走りながら自分の控えめな(推定Bカップ…いや、Bもあるかどうかすら疑わしい)をみしだき、一言。

「ジロジロ見て…全く、いやらしい…」

「いや、お前だから!確実にいやらしいのはお前の発想だから!!っていうか、お前のそんなつつましやかな誰も見てねぇから!!」

ま、まぁ、全く見ないというのも逆に失禮だし?あくまで社辭令として、多は見てなくもないですね、はい。

「本當に見てない?」

「と、當然!」

「神に誓って?」

「…そ、そうだな」

「正直に言ったららせてあげるって言った――」

「すみません!めっちゃ見てました!!」

神様ごめんなさい!自分、には忠実でいたいッス!!――俺は迷わず食い気味に土下座した。

ここには他に誰もいないし、この程度でめるなら安いくらいだ。高2男子の煩悩舐めんなよ!?

しかし…

「…正直ここまで必死にやられるとドン引きだわ。ほんと救いようのない変態ね」

次の瞬間、待っていたのはらかな桃源郷ではなく、馴染からの蔑んだ目と罵倒だけ。

「この裏切り者めー!!」

非常階段には俺の悲痛なびが響いていて、

「ふふっ、やっぱり直接會って話すと楽しいね」

不意に時間が巻き戻ったかのように、目の前には俺のよく知るなごみの昔と変わらぬ笑顔があった。

「なんだよ…今までのは演技か?っていうかやっぱりお前はそっちの方がいいと思うぞ?」

そんな懐かしい笑顔に、思わず顔が熱くなる。

しかし…

「いえ、別に演技ではないわ」

その笑顔は一瞬だけ。すぐに先程までの姿に戻り。

「それに、そう簡単に昔の私に戻るつもりもないわ」

そう言った波志江なごみに、ふざけた様子は一切なかった。

「は?どういう――」

「それと、今回助けてくれたのは嬉しいのだけど、今後新町さんに何かされても昔みたいな手助けは必要ないわ。自分で何とかできるから」

「は?お前何言って――」

「お願い…手出しはしないで…」

の瞳には“ここだけは絶対に譲れない”という信念のようなものがあるような気がした。

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