《ACT(アクト)~俺の婚約者はSな毒舌キャラを演じてる…~》なごみside 理由はまだ言えない…

あ~…奏太君、やっぱり怒ってるよね…。學校であれだけ酷いこと言って引っ張りまわしたんだもん…そりゃあ怒るよ…。

私だって本當は奏太君にあんな酷いこと言いたくないんだよ?でも他の人もいるし、今のキャラだとどうしてもああいう上から目線の挑発口調になっちゃって…。

帰り道。時折訪れる沈黙の中。顔には決して出さないが、私は心涙目になりながら、今日一日の言について絶賛後悔しまくっていた。

どうしよう…キャラ変えた理由正直に説明して、二人っきりの時だけ昔みたいな素の狀態になろうかな…。多分そっちの方が奏太君も喜ぶと思うし…。

でも…それだと、わざわざ苦労してこのキャラ會得した意味ないしな…。でもでも、さっきから全然會話できてないし…私から話しかけた方がいいよね?

と、私がウジウジと頭を悩ませていると…

「な、なんか二人で帰るのも久しぶりだよな」

し上ずった聲で、先に奏太君から話しかけてくれた。

ありがとう、奏太君!!よし、これをきっかけに楽しくラブラブな會話を!!

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しかし…

「そうね。久しぶりね」

「……」

「……」

私のバカ!!何そっけなく返事してるのよ!!ほら!せっかく話しかけてくれたのに、奏太君また気まずそうに黙っちゃったじゃん!!

「……」

「……」

そして、再び訪れる沈黙。

仕方ない。やっぱりここは私から楽しく話せる話題を提供して…

「奏太君、暇だわ。何か面白い話をして」

「適當にあしらっておいて!?」

…自分で自分を毆ってやりたい。何が“楽しく話せる話題を提供して”よ!完全に上から目線で喧嘩売ってる上に肝心の話題は丸投げじゃん!!

「無茶振りにも程があるわ!っていうか面白い話持ってるなら既にしてるっつーの!」

はい、仰る通りです…。

やっぱりこれ以上奏太君に酷いこと言いたくない!ウジウジ考えず、やっぱり二人の時だけ昔のキャラで…!!

「そう。まぁないなら仕方ないわね。それなら何か話題が見つかるまでひたすら私にを囁いてくれるっていうのでも――」

「見つかりました!良い話題見つかりました!!」

「そう。じゃあどうぞ」

…だめだ。急には昔のキャラに戻せない…。そもそもお世辭にも用とは言えない私が狀況に応じてコロコロキャラ使い分けるなんて無理だ…。

「えーっと…そうだなぁ…」

必死に話題を探す奏太君。優しすぎるよ…。

仕方ない。理想とはかけ離れてるけど、とりあえず會話は続きそうだし、今はこのまま奏太君の優しさに甘えて會話を続けよう。

「そういえば、一つ気になってたことがあったんだが――」

「何?のサイズならCよ」

…一、私は何を言っているのだろう。

「いや、別にそれは気になってないから!」

あの…奏太君、そう言いつつも視線チラチラと私のおっぱいに向いてるんだけど…うん、まぁ、とりあえず私のおっぱいに興味無しとかじゃなくてよかったけど…。

「それで、私のおっぱいに夢中なのはよくわかったけど――」

「おまっ、バカ!夢中とかじゃねぇから!ちょっと視界にっちゃっただけだから!!」

「それで、気になってたことってのは何なの?」

100%私のせいで線してしまった話題を元に戻すと…

「お前、何でそんな格悪いキャラやってんだよ?」

「!?」

彼は一息ついて落ち著くと、真剣な顔でそう問いかけてきた。

「…あら、勘違いじゃない?私は昔から――」

「前の學校でなんかあったのか?」

とても、はぐらかせるような雰囲気ではなかった。…ホント、私がクラスの人達から嫌がらせされてた時とか…昔からこういうことに関しては鋭いんだよね。でも…

「ごめんなさい。今は言えないの…」

理由はある。でも、今言う事はできない。だって、それじゃあ変わった意味がないから…。

「話せるようになったら全部話す。だから、それまでは…」

この時ばかりは毒舌キャラという作った仮面を外し、正直に自分の気持ちを告げた。

「わかったよ。――でも、あんまり無理すんなよ?それと、困った時はちゃんと相談しろよ?」

多分まだ問い詰めたい気持ちもあるだろう。それでも、そんな私の言葉を理解し、気遣ってくれる。

そして、きっと彼は私が助けを求めればなりふり構わず助けに來てくれるのだろう。――4年経っても…私が別人みたいなキャラになってても…全然変わってない。私の大好きな奏太君だ。

「わかった。ありがとう」

でも、だからこそ…彼にはまだ言えない。

“自分のことは自分で何とかできる”――そんな強く頼れるになったと証明できるまでは…。

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