《闇夜の世界と消滅者》十六話 一緒に住みましょう!

「宿見つからないんだけど………」

歩いて數十分後、は激しく後悔していた。

それもそのはずである。

は知らないかもしれないが、この學園では基本的に學生は寮に住み、一般人は學園の外で生活している。なのでこの學園には宿、つまり宿泊施設が存在しないのである。

この學園の生徒は學園で番號をもらい、それを基にしてどこの寮に住むのかを決めている。

しかしはこの學園に編してまだ一日目である。

當然そんな番號を貰ってはいない。

だから寮にろうにもれないのだ。

「もう野宿も飽き飽きしてきたしなぁ」

さてどうしたものか…………。

「どうかなされましたか、兄様」

「うーん、実は宿が見つからなくてな。さてどうしたものかと」

「なら私と一緒に住めばよいではありませんか」

「うーん、まあ、兄弟なら別に一緒に住んでも……うん?」

普通に會話しながら遅まきながらに気付いた。

「…………なんでここに鈴音がいる?」

いつのまにかの隣にいた、実の妹である三觜島鈴音に問う。

すると鈴音は、

「そんなの、兄様がいるところならどこにでも現れますよ」

そう、満面の笑みを浮かべた。

「では兄様。そういうわけで私の部屋に行きましょう」

「いやいや待って。待って鈴音さんお願いだから待って!?」

ぐいぐいの袖を引っ張りながら部屋に連れて行こうとする鈴音に対抗するが、全く振りほどけない。いつの間にこんなに力がついたのか。

…………よく見れば鈴音のにうっすらとだが白いが纏われていた。

こいつ筋力強化付與パワーブーストかけてやがる。

「何をためらっているのですか? 私と兄様との間には何の障害もありはしないではないですか!」

「いや、いくら兄弟だからって年頃の男が一つ屋の下っていうのはさすがに無理があるから……」

それに學園長であるティナが容認するはずないだろう。

「大丈夫です! ティナさんには私から説得します!」

そう言い切られ、はずるずるともと來た道を引きずられながら戻っていくのだった。

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