富士の樹海に行った日から、彼と一緒に行することが多くなった。

婚約者というのもあるのだろうが、他人との流がなかったにとって、阿賀崎黑葉という存在は新鮮なものであった。

他人から見れば、二人ともあまり表が変わらないため、仲がいいのか悪いのかわからなかったのだが。

今更な話ではあるが、は戦闘能力が群を抜いて高い。

５歳の時點ですでに軍人相手に余裕で勝利して見せるほどである。

朱雀院家に拾われたのも、この戦闘力があってこそのものであった。

この異常なほどの戦闘力があるがゆえに、実の家族からも忌避されたのだが、黑葉にとってはテレビから出てきたヒーローに見えていた。

そして、ほどではないにしろ、黑葉もかなりの化け合である。

黑葉の力、それは圧倒的な霊力にある。

當時、魔力というものが存在はしなかったものの、魔力とは似ても異なる不思議な力があった。

それが霊力と呼ばれる存在である。

この力をつかえるのは、師や呪師といった、いわゆる霊能力者と呼ばれる者たちのみであり、一般的には、霊能力など存在しないとさえ言われていた。

そのような家系でしかけ継がれぬはずの能力が、阿賀崎家の長である黑葉に現れた。

それも、かなり強力な力として。

ゆえに阿賀崎家は隠した。彼の力が見すれば、彼のが危ないことは目に見えている。

しかし、いくら報統制をしたところで、いつかはばれるもの。

そこで目を付けたのが、互いに協力制を敷いている朱雀院家に引き取られた年である。

その年の圧倒的な実力を聞いたとき、阿賀崎雄介は考えた。

その年に守ってもらったらいいのではないかと。

しかし、は一応近衛隊にもっている。

どういう風に理由をつけようか考え抜いた末に、答えは決まった。

婚約させればいいじゃないか、と。

まあ、黑葉の意見も尊重しながらの結果だったのではあるが。

ともあれ、こうして婚約が決まり、引き合わせてみれば、ものの數十分で仲良さげな様子。

婚約させて正解だったなとほくそ笑む雄介であった。

◇　◇　◇

黑葉と知り合ってから既に四年が経った。

黑葉とは婚約を結び、二人の仲はかなりまったようだ。

お互いが化けのような力を持っているせいか、互いに與える影響は絶大だった。

は黑葉から霊力の扱い方を。

黑葉はからや狩りの仕方、人を殺す技法などを互いに教えあった。

時には他の近衛隊のメンバーと組み手をしたりと、有意義な時間を過ごしていた。

 そして、運命の日がやってきた……………………