《蛆神様》第10話《リスク》

あたしの名前は小島ハツナ。

ここ數ヶ月の間に起きた出來事に対して、覚がすっかり麻痺してしまったような気がする高校一年生だ。

中間テストも無事終わり、梅雨も明けたその日の教室。

剃り込みをれた厳つい子とトモミが會話しているのをあたしは見かけた。

「トモミ、その人誰?」

「柴田だよ」

「え?! 柴田くん?」

柴田と呼ばれた剃り込み子が軽く手を挙げて挨拶する。

柴田くんって、ついこの前間が発したあの柴田くんだよね? まさか。

「ああ、めんどくせーから【蛆神様】にお願いしてにしてもらったんだ」

面倒くさいって、あんた……。

いいたいことが山のようにあって、どれからいえばいいのかわからない。とりあえずわかることは、多分深く考えて転換したわけじゃない、こいつ。

「ご両親びっくりしなかった?」

「知らねー。うちの親普通にスルーだったし。學校もなんもいってこねーし。名前もになってて『リサ』ってなってたし。わけわかんねーけど、どーでもいいってじ」

顔つきの丸みとかのラインはの子だけど、喋り方とか仕草が柴田そのままだ。

なんか不思議だ。

転換した柴田というよりも、柴田にすごく似たの子と會話しているような気分になる。

「っていうか、さっき大原にも話してたんだけど、アレってマジ腹にくるな」

ん? なんだ。アレって。

「柴田。今、の子の日なんだって」

「あー」

それでトモミと話してたのか。

「っていうか、ここで話することじゃなくない?」

「そそ。それを柴田にさっきいおうとしたの」

「は? なんで場所変えなきゃいけねぇんだよ」

あたしとトモミはため息をつく。

相変わらず面倒くさいなこいつは。

「いいから行くよ」

あたしとトモミ、柴田の三人は、階段の踴り場に移した。

覚あんたにはないだろうけど、あれってデリケートだし、恥ずかしいことなの」

「そうなのか? 結局あれだろ。まんーー」

「黙れ」

ドスの利いた聲でトモミが遮った。

驚いた柴田が「なんだよ。いきなりキレるなよ」と萎する。

「腹にくるっていってたけど、結構重いの? 柴田のって」

「ああ。なんか痛重いっていうのか、腹の中にダンベルったみたいなじだな」

なるほど。それは重いやつだな。

「便所ですげーが出てよぉ。びびった。ああいうもんなのか? って」

そうだよ。ああいうもんだよ。

わかったかこのやろー。

「一応、聞くけどナプキンとか持ってるの?」

「ナプキンってなんだ?」

やっぱりね。腕を組んだトモミが予想通りといいたげな表になり、鼻から息を吐いた。

「しゃーない。あたしのあげるよ。使い方教えるから次の休み時間の時、うちの教室に來て」

「なんだよ。ナプキンって」

「後で教えるっつったでしょ? いちいち今聞かないの」

「うーわ、って面倒だなー」

今頃気づいたか、このアホは。

そうだよ、面倒なんだぞ。って。

「こんなことなら蛆神様ににしてくれってお願いするんじゃなかった」

そうだな。もっと慎重になるべきだったな。アホだな。

「戻してもらったら? 男に」

呆れながらトモミがそういうと、柴田が「できねぇんだよ」と悔しそうにいった。

「いったんだよな。男に戻してくれーって。そしたらよ、なんも反応がねぇの」

「え、そうなの?」

「多分、一人につき一つなんじゃね? 願いごとって。さすがにそう都合よく何個もってできねーんだろうぜ」

なるほど。

おとぎ話に出てくるランプのとかそういう系と同じで、ある程度のルールが敷かれてたりするのか。

「じゃー、あんた一生のままってわけ?」

「それでいいの?」

「いいわけねぇ。なんとかしてキャンセルできねぇか考えてる。このままじゃやべぇからな」

「……僕も……一緒に……考えて……も……いいかな……」

背後から、しわがれた老人の聲が聞こえた。

杖をついて歩く杉谷がそこにいた。

膝がカクカク笑っていて、シワまみれの顔であたしたちを覗き込むようにじぃっと見つめてくる。

「……この前……病院で……いわれたよ……心臓が悪いって……膝も悪いし……あっちこっち……ガタがきてる……元の……みたいに……健康にならな……くちゃ……」

呂律の回らない口調で、もごもごと杉谷はいう。

それを見た柴田が、あたしとトモミに向かって「このじいさん、誰だ」と、尋ねた。

「あんたより、アホでやばい人」

そうトモミがいった。

もふたもないな。

事実だけど。

あたしは心の中でつぶやいた。

          

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