《死に溢れるこの世界で》第十話 ジャッジメント

「い、いや~その~...」

黃泉の國のものに見つかってしまった黒男とヒロト。

「そ、そう。特に...死んでしまっただけ...」

なんとか逃げようと試みる。

「いや、噓だ。お前からは生きの臭いがする。我ら十王裁判には判別できる能力がある。噓をつけば刑は重くなるぞ?よって貴様らは屎泥処しでいしょ行きだ!」

「おい秦広王しんこうおう。君が決める権限はないんじゃないか?」

おいおい、こいつら何はなしてやがる。

((黒男!黃泉と地獄は別だろ?))

口パクで言う。

((なんだそれ?一緒だぞ?))

マジかよ..地獄かよここ...ああ、終わった...

「君たち人間がなぜここにいる?」

「おい初江王しょこうおう。この黒いやつ、見覚えがあるぞ。もしかして以前地獄ここに來た奴では?」

秦広王と呼ばれるものが言った。

「ヒロト!!走れ!」

黒男がぶ。ヒロトはどこへ行けばいいか分からないままとにかく走った。

「待て!!」

秦広王が追いかけてくる―といっても一瞬でヒロトの前に現れた。

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「くそ!」

黒男が時空間を歪める。

「これで、どうだ!!」

黒男とヒロトは再度、黒い空間に戻った。

「お、おい...今のって...」

明らかに黒男は時空間技を使っていた。

「そうだ。時空間だ。時空間を歪めて仮想世界に連れて行った。いまのは仮想世界の基となっているブラックワールド、通稱裏世界と呼ばれている」

この黒男、やはり只者では無い。ヒロトは今更ながらに後悔をした。

―あのとき振り切っていれば...

否、黒男に會わなければヒロトは死んでいた。クラスメイトも。やはり黒男のおかげで今、生きている―とはいいがたいが―ということを実した。

「殘念だが、大和もやられてしまったようだ。恐らく世に言う"天國"というところに行くだろう」

「嫌だ!死んでしくない!助けられないのか!?」

「助けられなくは無いが大きなリスクを伴う」

「なんだ!助けられるならどんなリスクも伴ってもいい!」

當然、助けるの一択しかヒロトの頭には無かった。

「なら説明しよう。今大和は恐らく黃泉路で黃泉へ向かってるはずだ。黃泉路に川がある。その川に孟婆もうばというおばあさんがいる。その孟婆は忘水ぼうじょうすいを飲ませようとしてくる。忘水を飲めば友、怨念などのすべての絆と関係を忘れる。當然、ヒロトって誰だ?となるさ。文字通り空っぽの狀態だな。飲まないという選択ある。だが、罰というか代償として忘川河っつう氷のように冷たい川に1000年いないといけない。だから今から黃泉路の孟婆のいる橋へ移する。そこで大和の助けをしろ。孟婆を食い止めるんだ。いいな?」

「分かった」

正直言うと怖い。黃泉路なんて何があるか分からないし孟婆だって得の知れない人かも分からないし。だが、助けると決めたのだから否が応でもやってみせる。

「よし、じゃあ移するぞ」

目の前が歪む。異様な世界へ移した。

―ここが、黃泉路...冥界―地獄なら行ったことあるがやはり黃泉は雰囲気が違う。

なっ、あれは....大和!!

「大和ぉおお!!!」

大聲で呼びかけた。大和は、忘水を飲んだのか?なぜ川の向こうに・・・

大和は振り向いた。どうやら聞こえているらしい。

「ひ......ひ...ヒロトぉおおおお!!!!」

大和はなきながらヒロトの名をぶ。

「大和、今行くぞ!」

走り出そうとした瞬間、何者かに腕を摑まれた。

「君、どこへ行く?」

くそっ...見つかったか...

「そりゃあ今大和君を送ったばっかりだ。気づかないはずがないだろ」

え...?送ったばっか...?もう、忘水飲んでしまったのか?そんなはずはない...

「何、忘水は飲んでおらん。転生するわけではないからな。黃泉の國にいることになっている」

よかった...え?何で口にしてないのにけ答えしてるんだ?...まさか...心を..!!

「そうだ、そのとおりだ。私は心を読める。これで大和君とも會話したさ。―君は一なんなんだ?何のためにここにきている?死んだのか?生きのにおいあするが」

俺は......大和を助けるために....大和は、あんなこといってからかうけど大親友なんだ!一番初めにできた友達なんだ!!

「ほう。死んでほしくなかったんだな。殘念だが、君もここまでだ。俺に見つかってしまったし目的も全て見えた。すまんな」

嫌だ、嫌だ、いやだ!こんなの嫌だ!!

「生きている人間がここまでくるのは"イザナギ"以來だな。イザナギはまだ進んだがお前はここまでだ」

「そいつはどうかな?」

あっ、ああ....ああ!!

「誰だ貴様?」

―黒男ぉお!!!

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