《死に溢れるこの世界で》第十三話 終幕

「なんだって!!?」

串原は現場へ向かってる途中に宮野から無線で佐々木邸一家殺人放火事件の犯人が判明したと伝えられた。

〈犯人だが、龍牙と言う奴だ。龍牙はアババー教という謎の宗教を信仰している〉

あんなにガバガバだったんだ。別に驚くことでもない。宮元猛もいい迷だ。勝手に殺人犯にされてよ。まあ、元囚人だったからな...

「あんなガバガバな推測信じてたんすね。でも、涼広さんは宮元とのトラブルもあったようですし....なんかよーわからんのですがね~」

串原はトラブルの當人に話を聞いたのだが思い出すのも辛いのか曖昧な回答であまりいい報は得られてなかった。

「一時は宮元かと思いましたよ。涼広氏の話を聞いて。でもあまりに決め付ける証拠がないじゃないですか?現在宮元海外にいるらしいですからね」

〈完全釈放なのか?仮釈放ではなくて?〉

「どうやら、完全らしいです。なんだか早くじますね。時が経つのはやっぱ早いですね」

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〈いや、時ではないと思う。もしかしたら誰かが手を回した可能もある。そんなことより、學校の件だがあれは救助のために軍が出るらしい。出る幕無しってことだ〉

「了解です。で、俺は今からどこへ向かえばいいですか?」

〈署に戻ってくれ〉

「わかりましたよ.....」

串原は署に向かった。

* * * * * * *

「おい、やりすぎじゃねえか?」

男は切羽詰った様子で早口に伝える。

電話の相手の男は余裕の様子で言った。

「お前を信じる。」

男はそう言って電話を切った。

「全く、臆病者めが」

先ほどの電話相手の男がワイン片手に言った。

「それは初めてですので不安になるかと....私も最初ここ・・にくるときは恐怖と不安で一杯でした。本當にそんな施設、いや世界があるのかと。ですが指定場所に行くとその考えは180°変わりました。だってそこには本當に、この世界へのり口があったのですから。くるまでが問題なのです。主様」

執事のような男が言った。見た目は上品でスラッとした出で立ちだ。背中に棒があるかと疑いたくなるくらいの姿勢の良さだがその瞳の奧にはどこか、闇が潛んでいそうだった。

「ははっ、そうか?俺はここに來るときはなんの不安も恐怖も無かったさ。あるのは好奇心と金銭だけだ。今はここの便利なシステムのおかげで儲かりまくりだ。いい世界を作ってくれたと思わんかね?俺がお前を使いにしたのは犯罪経歴からだ。お前はすばやい犯行で警察に見つかることも無く逃げ切るからな。しかも私服刑事を見抜く目を持っている君は良すぎるほど俺の腕に抜擢だった。俺の企業が功して今お前は現世よりも生活が楽だろう?裕福だろう?」

男が自慢げに語った。

「私を選んだのは経歴から....ありがとうございます。私も主様のような方に選ばれたのはとても栄極まりありません。主様の犯罪経歴も素晴らしいです。派手に犯して影に去る。カッコいいです。」

「俺達のような寶石強盜犯&寶石竊盜犯がコンビを組めば最高だな。お前は怪盜と名乗っていたそうだが名乗るにふさわしい腕前だ。その怪盜としての腕、當然ながら落ちてはないだろうな」

男がニヤリと笑った。

「楽しんでるとこすまないが、今日が期限だぞ、赤座。」

赤座と呼ばれた男―寶石強盜犯―がアタッシュケースを取り出す。アタッシュケースを開け金があることを確認させ赤座は男にアタッシュケースごと渡した。

「サンキュー、ザーク。またお世話になるぜ」

赤座はザークと呼ばれた男に手を振った。

「ありがたいな。借金しなくてもいいくらい金があんのにわざわざ俺達の利益になるようなことしてくれて」

「いいさいいさ。學校破も派手にしてくれたことだし今日はパーティーだぜ?ザークも楽しむかい?」

「俺は仕事がある。じゃあな」

そう言ってザークは部屋を出て行った。

「あいつの前では、自分を大きく見せねえとえらい目を見る。あいつは威圧を放ちすぎだ」

赤座はそう言って大きいため息を吐いた。

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