《輝の一等星》第二幕 エピローグ
目が覚める、両側には二人のが涼に寄りかかって眠っていた。
一日多く滯在してしまった宿を出て、三人は第9バーンに帰る予定だったのだが、詠の提案によって、隣の第6バーンに寄ることになった。
というのも、詠が好きなバンドのライブが第6バーンであって、そのチケットを詠が三枚持っていたからである。
聖も、夏休みで學校はないですし、と簡単に許諾。
そういうわけで、しだけ寄り道をすることになり、今は車で移中である。
運転手は熊谷さんに戻っていた。なんでも、昨日は早乙真珠を迎えに行っていたらしい。
「今回は大変でしたな」
車がトンネルにり、し暗くなった車で、運転席から、聲をかけられる。
本當よ、と返すも、聖につい先ほど、「これからが、本當に大変になってゆきますよ」とか言われていたので、この先何があるのかと不安になる。
「『オルクス』にあんなに堂々と宣戦布告されたのに、寄り道して遊んでいていいのかしら」
「それは逆でございます、『オルクス』様は、一度敵だと認識された方には、正々堂々と勝負を挑んできます。なので、向こうから何か通知が來ない限りは安心してよいでしょう」
じゃあ、今までは暗殺されるかもしれないという不安があったということか。ずっと呑気に過ごしていた自分が恥ずかしくなる。
「そう言えば翔馬はどうしたのよ?」
「賭刻ときざみ黎れいあ様が連れていかれました」
全く不思議な話だ。黎という……は、翔馬に何の用があるのだろうか。なくとも、翔馬が追っかけまわすようなタイプの(百合要素のあるような)の子には見えなかったが……。
「まさかあいつ、新たな変態の境地にたどり著いて、間違いを起こしに行ったんじゃないでしょうね!?」
「失禮ながら、いったい何を想像したらそうなるのでしょうか」
「小さい頃に學んだ事っていうのはね、その人の思想となって後の人生に繋がっていくのよ。あいつのことだから、ロリ百合という新たなジャンルを開拓するために……」
「それは考えすぎでしょう」
熊谷さんは、そう言うが、夏目翔馬という男は、『百合』に命を賭けている男だ。あの賭刻黎というに刀を突き付けられたとしても、冥府魔道へのを止めることはないだろう。
他の男ならばロリコンではなどと、心配するが、あの翔馬に限ってはない。というか、その點においてだけは絶対的な信頼をおいている。
「まあいいわ、あいつについて深く考えるのは疲れるだけね……」
そうでございますな、熊谷が言ったとき、車がトンネルから出た。
車の窓の外から、雲一つない空が見える。
なんとなく、自然と空に目が行って、同時にいつものように、ぼんやりと考えそうになって、あれ、と思う。
空を眺めるには、何かが足りない。
そもそも、自分がこの空を見るようになった理由は何だっただろうか。
授業中暇だったから? 特にすることがなかったから? 永遠と続く翔馬の話を聞き流すためにか?
その時、左からギュッと、袖を捕まれた。
「リョウ……お姉ちゃん…………」
詠のそんな寢言が聞こえて、思い出した。
涼がそもそもこの空を見て何を思っていたのか。
そう、靜かに願っていたのだ、同じ空を見ているだろう妹の笑顔を。
何かを不足にじる、それは、思う相手が既に傍に居たから、願うことがなかっただけだった。
星に願うとはよく言うが、それと同じように自分は今まで、きっと、空に願っていたのだろう。
だから今は、何も考えることなく、何も願うことなく、空を見ることができた。
どこまでも青い空は、実はとても退屈で、車はいているはずなのに、全く変わらない。それは次第に涼を夢の渦の中へと吸い込んでいく。
昨日疲れて、散々眠ったはずなのに、いつの間にかは完全に眠る制になっている。
大切なものが揃っている何一つ不安のないこの場で、心までしばしの安息を求めてきた。
(しだけ……)
両側を優しさに挾まれながら、涼の意識は途切れていったのであった。
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