《いつか見た夢》第3章

俺達はたった今から綾子ちゃんの家に行くことになった。そこで念のために、電話番號を聞いておく。

「そうだ。綾子ちゃん」 

「はい」 

「一応念のために君の番號教えてくれ」 

「あ、はい」 

綾子ちゃんは、バックから攜帯を取り出し、俺の攜帯と番號をやりとりする。沙彌佳はなぜか、終始それを不機嫌そうな顔で見ていた。 

何を考えているんだ、お前は。 

綾子ちゃんのうちに行くまでの間、沙彌佳をえ、他もない話しをした。

家族構や、互いの誕生日、學校での出來事、沙彌佳との出會い等々。それこそ些細なことまでだ。 

しかし、侮ることなかれ。 

こう言った話は、相手との距離を埋めるためには必要だし、こう言った何気ない話の中にこそ、相手の本質の一部を、垣間見ることだってあるのだ。そして、今回のストーカー野郎の報も、何かしら得られる可能もある。

ただその間も、なぜだか沙彌佳はどことなくぎこちなかった。

「ここです」 

綾子ちゃんの家に到著して俺と沙彌佳は、思わず嘆のため息をらした。 

「うちの二倍……いや、三倍はあるんじゃないか……?」 

「あ、あやちゃんち初めて來るけど、こんなに大きかったんだ……」 

沙彌佳も驚いて、ぽかんと口を開けている。 

言っておくが、うちだってそれなりに良いとこに住んでる。住んでいるはずだが、この家は俺達はやはり小市民であることを思い知らされるほどのものだった。 

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まず庭が広い。それも半端なく………。テニスとバスケが同時にできる、と言えば、想像してもらえるだろうか。 かも、ここは一等地なのだ。 

不況不況とは言われていても、あるとこにゃあるもんだな……。 

「で、でだ……確認するが、両親は今いないんだな?」 

「はい」 

綾子ちゃんは短く返事する。 

「お手伝いさんも、今の時間はいません」

「そいつはいい。説明の手間も省けるしな」 

「ね、早く行きましょうよ」

「あ、うん」 

沙彌佳にうながされ、綾子ちゃんがカードキーを使い、扉を開ける。扉というのは比喩ではなく文字通りだ。

それほど大きい。そして、現代らしくカードキーを使えば、外から開くようになっているらしい。

話によれば、家の中からなら、インターフォンを使って自由にロックを解除できるとのことだ。

そんな、綾子ちゃんの家にお邪魔する。開いた扉をくぐり、広大な庭を突っ切って、家のドアの前にまでくる。

綾子ちゃんは、再びドアを開けるから、と言い、今度は専門の業者に頼まないと作ることができない鍵を取り出し、ドアを開けてくれた。

家にるなり綾子ちゃんが一人、部屋に向かって行くので沙彌佳も一緒に行かせた。 

いくらこんな時でも、の子の部屋においそれとって行くのは、し気が引けたからだ。 とは言え、後でらねばならないのかもしれないのだが。 

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二人が二階の部屋に行ったのを見送って、俺は行を開始した。まずは玄関橫の部屋からだ。

今回、俺がわざわざここに來たのも、隠しカメラだとか盜聴の有無を確認するためだ。盜聴は専門の道がないので、簡単に見つかるとは思えないが、カメラなら見つけられるかもしれない。 

人様のうちを我が顔で、あれこれするのはいい気持ちがしないが仕方ない。 最近のストーカーは最悪の場合、カメラを仕掛けていないとも言い切れないからだ。 

手早く部屋の中を探索する。次に隣の部屋を、そして一番きな臭い居間を通り抜け、その反対側にある和室へ。 

更に、和室を廊下で挾んだ使われていない部屋は、らしいは置かれていなかった。一部屋一部屋は広いが、その割にないように思われた。 

お嬢様と言えど、人の子。使うスペース等、限られているのだろう。さて、次はいよいよ居間だ。

ところで、隠しカメラ等といったの設置場所は、どういう所にするか分かるだろうか。 

當然、人目のつかない所だ。だが、狡猾な奴はそうはしない。敢えて、人目のつきそうな場所の近くに置く。 

よく人が使う場所、その中にも"目につくからこそ"できてしまうスペースがある。目につくような場所なら、ある訳無いという心理をついている來るのだ。 

また、普段目にしないような所。

これは、人目のつかない所と同義だが、隠し場所は実に巧妙になっている。 

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人はを探す時、基本的に自分の目線以上場所や、手の屆かない場所には滅多と目を向けない。これも人間心理をついた設置場所だ。 

今回は、時間も限られているため、あまり悠長に探していられない。だから俺は、この點にだけ絞って探している。 

それに俺は、周りの人間を被害に遭わして、人間関係を破壊してしまうような狡猾な奴は、こう言った、人間心理だって當然ついていると踏んだのだ。 

なぜ詳しいかって? そりゃぁ、そういうヤバイ趣味した知り合いがいるからに決まっている。斷じて俺は経験者などではない。 

後は、相手の立場になって考えること。 これは俺の経験上、全てに當て嵌まって言えることだと思う……いや全ては言い過ぎた。 

「家の中で一番怪しい場所の一つだしな……どこからいくか」

まずはスタンダードにテーブルだ。下を覗いてみる。 

「無いか……」 

次にテレビ、冷蔵庫の上、壁掛け式の時計、そして鏡。隠せそうな場所は、思いつく限り探すがなかった。 

「やっぱりカメラは考えすぎたか……?」

その時俺は、ふと天井を見上げた。 

「………ん?」 

何気なしに見上げた天井に、違和があるのをじた。 

正確には、偶然目にった天井から吊り下げられた照明の接合部だ。今までの部屋の照明は、據え付けられた円盤狀のものだった。 

しかし、この居間の照明だけはかなり丁重な作りで、天井から吊り下げ式になっていた。恐らく本當は、別の照明が取り付けられていたと思われた。 

天井から延びる長さと、テーブルとの距離が、照明の明るさに対して下過ぎるからだ。 

しかし、以前どんな照明が取り付けられていたかは分からないが、取り替えたのは正解だろう。

この居間の雰囲気に、シンプルだが豪華さをじるこの照明は、良く合っていた。 

だからこそ、気がつかなかったと言っていい。何より家族で住むなら、居間にはもっとも金をかける。 

けれど、こうした違和というのは、そうそう拭い切れるものではない。 

「それじゃぁ……悪いが調べさせてもらいますよ」 

誰にとも知れず、一人呟いた。

テーブルに上って、接合部に手をばし、照明を外す。かなり重い。

照明を落としそうになって、バランスを崩した。一瞬、ヒヤリとさせられたが、なんとかもちこたえることができた。

「やっぱりな」 

俺は思わず口元をニヤリとさせた。接合部には高能ではないかと思われる、小型カメラが取り付けられていた。 

おまけに、ここなら電気の心配いらずで、24時間監視することができる。これじゃぁ視線もじるはずだ。となると當然……。

俺は居間から移し、一階にあるトイレに向かう。 

「……當たり前のように取り付けられていたな」

やはりトイレにもあった。それも二カ所もだ。 

……綾子ちゃんの名譽のためにも、これ以上は言わない。察してくれ。 

ちょうどトイレから出てきた時、沙彌佳と綾子ちゃんが二階から荷を持って下りて來た。 

「お兄ちゃん、何してるの?」 

「ん……まぁ、ちょいと寶探しをな」 

「寶探し、ですか?」

「え? え? なになに? 何が見つかったの?」 

とっさに俺はなんと言ったらいいのか分からず、苦笑いしながら肩をすくめた。 

「とりあえず、こっちが確認したかったことは終わった。そっちはいいのか?」 

「うん。生活用品なんかは、うちの使えばいいしね」 

「それじゃ、戻るとするか」 

俺達は、綾子ちゃんの家を出て、自宅へ戻ることにする。 

門を出た時―――俺はやたら強い視線をじて、思わず周りを見回した。いや、それが視線だったのかなんていうのは分からない。だが、そうとしか思えなかった。

「どうしたの?」

沙彌佳が不思議そうな顔で、尋ねてくる。

「い、いや、なんでもない」 

行こう、とだけ告げて、俺達は歩きだす。俺は帰路の途中、先ほどの視線のことを考えていた。 

「「いただきます」」 

家に帰り著くと、ちょうど夕飯の用意ができたらしく、久しぶりに父なしの夕飯とあいなった。

母と沙彌佳は、綾子ちゃんと話を弾ませている。なんだかんだで、母もまんざらではない様子だ。まぁ、そこは間違いなく母の長所ではあるが。 

綾子ちゃんは普段、いつも一人で夕飯を食べていると言っていたので、こうして皆でテーブルを囲むというのが、すごく嬉しそうだ。おまけに家は、うちよりもはるかに広いのだ。當然と言えば當然なのかもしれない。 

けれど俺はその會話に加わらず、先程の視線のことを、まだ考えていた。もし視線だとしたら恐らくさっきのは、例のストーカー野郎だろう。 

俺が今までそんな視線をじたことなど、一度だってなかった。だとすれば、今回の綾子ちゃんのことを考えたら、そうとしか考えられない。

十中八九、自分のする綾子ちゃんに近づいた俺を、目の敵にしたのだ。もしかしたら、明日にでも何か仕掛けてこないとも言い切れない。

奴はこちらを知った。これはほぼ間違いないだろう。だが、こっちは奴の顔や名前、素等知りはしないのだから。こちらからも早々に手を打つ必要がある。

俺は食事をとりながら、今後のことについて作戦を練り始めた。 

食後、沙彌佳はいつになくテンションが高く、綾子ちゃんも夕方に初めて會った時とは、別人かと思えるほどよく笑い、よく喋った。 

こっちが本當の綾子ちゃんなのかもしれない。なんにせよ、俺にたいしても、隨分と心を開いてくれているとけ取った。これなら気楽に父も説得できそうだ。 

日付が変わるか変わらないかという時分に、父は帰ってきた。 

最初、居間にいた綾子ちゃんを見て、やや驚いた表をしてみせた後、沙彌佳がすぐに説明しだした。そして、母がそれを更に強調付け、とんとん拍子に承諾されたのだ。 

正直、俺は一言だって喋っていない。こういう時の同士による団結というのは、何故こうも有無を言わせぬ迫力があるのか。 

だが父は、終始冷靜に対処していたように思える。父の姿に、ある種の後が指しているようにすら、俺には見えた。 

ともあれ、こうして綾子ちゃんはしばらくの間、うちに厄介になることが決まった。 

いつもなら俺の後に風呂にる沙彌佳だが、今日は綾子ちゃんと共に、俺の前にった。

風呂と言えば、奇妙なことが一つある。

何故か、俺の下著がたまに失くなるのだ。 一度両親に聞いて、

「そんなの知らない」 で一蹴されたのは、記憶に新しい。 

これはミステリーだ。家族という最も小さなコミュニティーにおいて、これをミステリーと言わずして何といおう。 

それとも、誰かが盜んだとでも言うのだろうか? そもそも下著を盜むなんて、男であれであれ、とんだ変態だ。ましてや男ものの下著だ。

もしそうであれば、見つけたら取っ捕まえて、懲らしめてやることに決めた。 

沙彌佳たちが風呂から上がってきたのを見計らい、俺も風呂にった。 

「……」 

と言っていい二人がった直後の風呂は、なぜかとても甘な香りがした。 

一夜明けた早朝、俺はいつもと違い、やたらとが重いことに気が付き、目を醒ました。寢ぼけた頭でごと橫に向けると、沙彌佳が隣で寢ていた。

なんでいるんだ……。 

「………おい、沙彌佳。おい起きろ」 

沙彌佳に聲をかける。 

「んう〜……もうちょっと……」 

何がもうちょっとだ、俺はちょっとだって待ちたくはない。 

「おい沙彌佳、さっさと起きろ!」 

昨日とは打って変わって、俺が沙彌佳のを揺すって起こす。 

「んぁ……?」 

一緒に寢なくなってから、こんな顔は初めて見るが、なんともけなく思えるのはどうしてか。

とはいえ、俺がこいつのこんな顔を見るのなんて、いつぶりだろうか。いつも起こしてもらっているだけに、たまにはこういう風に寢顔を見てやるのもいいのかもしれない。

だが今日は、こいつの部屋に綾子ちゃんがいるのだ。がそんなことを考えているうちに、沙彌佳はまた寢始めた。 

「だから寢るなって! いい加減起きろ!」

何が悲しくて、起きぬけに聲を荒げねばならないのだ。 

「うぅん……ふぁぁ……ぉはよぅ、ぉ兄ちゃん」 

「おはよう。そしてさっさと自分の部屋に戻りなさい」 

「寒いからいや〜……ぉやすみ……痛っ!」

ちょっと本気で叩いてやった。 

「お兄ちゃん、痛いよ〜………何も叩かなくったって〜……」 

「おかげで目が醒めたろ?」 

「それはそうだけどぉ……」 

「大、なんでお前がここにいる」 

「あれ〜? なんでだろ〜?」 

寢ぼけてってきたのか……。俺は朝っぱらからため息一つついて、

「とりあえず部屋に戻れ」

「一緒じゃダメ……?」 

「ダメだ」 

即答した。 

沙彌佳は不満げに部屋を出て行った。 

時計の針が、盤上をちょうど半分に分けていた。二度寢しようと思えば、できなくもない時間だ。 

「ま、どうせ沙彌佳が起こしにくるだろ」

思いきり他力本願だが、あいつは俺を起こしにくることを至上としているから、問題ない。 

決めた後は、早く布団の中でくるまって、あの心地良さに包まれたい。再び布団に寢転がった俺は、慌てて布団をめくりあげた。寢転がった瞬間、足の方が何やら冷たかったからだ。 

「なんだこれ?」 

オネショか? 馬鹿な。有り得ない。第一、臭いもしないし、水量もない。ならば何なのだ、これは………。 

俺の足の部分に當たる場所が、なぜか不自然に濡れていたのだ。更に今気付いたことだが、右足のふともも部分のパジャマも、不自然にっていた。 

な、何なんだ一………? 下著のことといい、最近はやたらと変なことばかり起こるような気がする。 

「にしても……これ、一どうなってんだよ」 

俺は完全に目が覚めてしまい、二度寢する気が失せてしまった。 

眠気が失せた俺は、仕方なく制服に著替え、珍しく朝一番でリビングへ下りた。こうして朝早くに誰もいないリビングにいると、気持ちが浮ついてしまうのは何故だろう。

眠気はないが、習慣というものでコーヒーを飲むために豆を挽く。うちはコーヒーは豆から挽いて、ドリップさせる。 

「あら、おはよう。こんな珍しいことが二日も続けて起こるなんて」

コーヒーが出來上がるのを待っていると、母が起きてきた。 

「ん、おはよ。今日は本當に早く目が覚めたんだ」 

「いつもこれくらいだったらお母さん、我が子の長を見てるような気がして嬉しいわ〜」

「沙彌佳の仕事をとるのは忍びないな」 

「お兄ちゃんなんだから、いつまでも妹に甘えてないのよ、もう」 

「はいはい」 

「はいは一回よ。あ、新聞とってきて」 

「はいよ」 

リビングを出たところで父も起きてきた。 

「おはよう。珍しく沙彌佳よりも早いんじゃないか?」 

「おはよう。一年に一度あるかないかのレアな日なんだよ」 

夫婦揃ってこうも立て続けに突っ込まれると、か照れ臭い気持ちになってしまった。 

俺は玄関を出て、新聞を取りに外へ出た。新聞を取って家に戻ろうとしたその瞬間――視線をじた。

……まさか――俺は昨日のように、後ろを振り返り周囲を見回した。俺が後ろを振り向くと、それまでじた視線をじなくなった。 

……今のじは……間違いない、昨日と同じだ。この粘つくような、こびりつくような、なんとも言えない嫌な視線。

まさか、もううちを突き止めたのか……? いや、充分有り得ることではないのか? このストーカー野郎は、昨日、あの後も俺達の後をつけて來たのだ。ただ、その気配をじさせなかっただけで……。 

「ちっ」 

俺は舌打ちした。せざるを得なかった。きっとそうなのだ。 

野郎は間違いなく俺達の後を尾行し、うちを突き止めた。俺はうかつにも、その間、ひたすらこれから先のことばかり考えていて、まさか尾行のことまでは考えもしなかったのだ。 

「ちょっとお兄ちゃん!」 

突然ドタドタとすごい勢いで、沙彌佳が二階から下りてきた。 

「もう何勝手に起きてるの!? ベッドにいなかったから心配しちゃったじゃない!」 

いかん、口調が鋭い。かなり頭に來てるようだ。 

それにしても普通なら、早起きしてる俺を見て手間がかからなくなったと喜ぶべきと思う。

「お兄ちゃんは私が起こすまで、ちゃんと寢てなきゃダメでしょ!」 

「いやさ、あのあと寢れなかったからな……それで、ちょいと早起」 

「言い訳なんてしないで! いい!? お兄ちゃんを起こすのは私の仕事なのっ。だからお兄ちゃんは、私が起こしに來るまで部屋から出ちゃダメなんだから!」 

俺にはみなまで言わすつもりはないらしい。

全く、こいつは朝っぱらから元気な奴だ……。つい20分か30分くらい前は、あんなに眠そうな顔していた癖に。 

「何よ!?」 

「い、いや、なんでもないぞ?」 

毎度のことだが、なんでお前はこんな時だけ俺の心が読めるんだ……。 

「それで? お兄ちゃんはなんでそんな所にいるの?」 

妹は、普段が可いだけに怒り心頭の時、本當に怖い。そして後ろには、綾子ちゃんの姿もあった。 

「た、単純に新聞とりに來ただけだぜ?」

俺は、家にり玄関の扉を閉めた。そんな俺の様子に、二人は怪訝な目をしながらリビングへ移していった。 

お父さん、お母さん。俺のことよりも、娘の方をもっとちゃんとさせた方がいいと愚息は思うぜ。 

「なぁ、今日ちょっと早く出ねえか?」

朝食の後、俺は沙彌佳と綾子ちゃんに問いかけた。 

「なんだ? お前がそんなこと言い出すなんてどうしたんだ」 

父が珍しく、いち早く口を開いた。 

「んー……ちょっと、な」

俺はいい淀んだ。まさか例のストーカー野郎が、昨日の今日でうちを突き止めているなんて、とてもじゃぁないが言えるはずもない。 

カメラのことも伏せてあったし、何より視線をじただけで、証拠は何もないのだ。だが沙彌佳は、無意識に何かをじ取ったようだ。 

「私はいいけど………」 

と答えたのち、綾子ちゃんは?と目で合図する。 

「私も構いません」 

「よし。ならそろそろ準備するか」

「それにしても、あのお兄ちゃんが、自発的に學校に行きたがるなんて……」 

「……明日は雨かしらね。予報じゃ晴れと言っていたけれど」 

そこの親子二人は黙ってろ。前言撤回。やっぱり何もじ取ってくれていなかった。 

妹よ………いつも口をすっぱくして言っているがな、察してくれ。 

ただ父だけは、 

「あまり無茶はするなよ」 

と、こっちの心中を察してくれたようだった。

いつもこういう時、お父さんはすごくカッコ良く見え、男として憧れる。そして、その気遣いに俺は謝した。 

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