《いつか見た夢》第74章

ドアの奧に佇む男――かつて俺の前に、スカウトマンとかいう肩書きを振りかざして現れた、あの黒田がいた。

しかし、その姿はあの頃のような窮屈げなスーツ姿ではない。全を黒い服で包んで同じのブーツをはき、鋭い視線を向けながら口の端をつりあげている。まるで獲を狩りたくて仕方のない、野獣を思わせる。

「なんだって、あんたがこんな場所に……」

「おや。そんなに珍しいですかな、この裏社會にをおくあなたが」

たしかにその通りだ。黒田の持つ、あの異様な雰囲気は間違いなく、俺と同業者の持つそれと同じだ。かつて、黒田と今井の持つ雰囲気が似ていて同じ類いの人間だと思ったものだったが、まさしくその通りだったということだ。

「昔、あんたが気にらないと思っていたもんだったが、その理由がよくわかったよ。同じ殺し屋同士、そりゃぁ気にらないと思うはずだぜ、たとえあの頃この世界に足を突っ込んでいなかったにしてもな」

げに告げると、黒田の顔から気にらない薄笑いが消えた。

「やはり、おまえはこちらの世界にきたな」

「なに?」

今までの薄笑いが噓であったのがもろにわかるほど、ガラリと印象が変わった。いや、これこそが奴の本だ。今まで奴のことが気にらなかったのは、似合いもしないスーツを著込んだ下に、殺し屋としての本を隠しきれずにいたからだろう。

それほどまでに今の奴の姿は、に潛む兇暴な本とマッチしているのだ。

「おまえはいずれ、この世界にくると踏んでいたのさ。それがわかっていたから私の上司も、おまえを引き抜いてくるよう命令されたんだろう。こんな世界にでもいるんだよ、暴力の世界で生き抜ける強さと才能をもった奴がな」

「そいつが俺だっていうのか」

「そうだ。スポーツの世界においてもそうだろう? その年齢に似合わない、圧倒的な才能をもった奴がいる。それと同じだよ。

事実、おまえはこの世界に門し、數々の試練を打ち破った。いや、こっちの世界にくる以前から、その片鱗を見せていた。まだ素人でありながら、それらをことごとく切り抜けていくおまえの才能は、全く大したものだったよ。現役である私からしてもね」

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「同業の先輩である、あんたにそういわしめるなんて俺もたいしたもんだな。だが、半分くらいは運もあったぜ。そいつがなけりゃぁ、間違いなく死んじまってたろうな」

黒田の評価に対して、俺は皮げに口を歪めながら笑ってみせた。俺のいっていることは噓いつわりもない本當のことだ。

確実に死んでいてもおかしくなかったと思えることが何度もあり、そのたびに悪運の強さで乗り切ったことが思い出される。それらは今思い出しても、背筋が寒くなってしまうほどのものばかりだ。

「もちろん、技は當然さ。しかし、それ以上に必要なのは、殺されそうになっても切り抜けられるほどの強運だ。これがなければ、この世界ではやっていけない。

だから私たちはおまえを引き込もうとしたのだ。そして、それに見合うだけの……いや、それ以上ともいえる働きを見せるおまえは、もはや脅威といったほうがいいかもしれない」

「で、わざわざあんたがご足労願ったわけか。こいつは大変、名譽あることだ」

再び、くつくつと肩をいからせながら笑ってみせると、チャッとした銃を握りなおす音がする。

「そうだ。本來であれば依頼がない限り、むやみに人は殺さない主義だが今回ばかりは勝手が違う。おまえには今ここで死んでもらわなければならない」

「依頼がないだって? ちょっと待ちな。そいつは単なる嗜趣味によるものじゃぁないのか。依頼もなく殺すのなら、それは主義に反するんだろう。だったら俺を殺そうだなんて考えがどこからくるんだよ。こっちはあんたをやろうだなんて思っちゃぁないんだ」

わめき立てながら、黒田から逃れようと思案しつつしばかしかすが、奴は俺にむけた銃口をそのきに合わせてかした。俺を始末するために、心臓のあたりを確実にとらえているのだ。

「しかし、あのにはしてやられたよ、全く。我々には噓の報を流し、そこをすかさずおまえという逸材を掻っ攫っていったのだからな」

あの……真紀のことだろうか。話の流れから推測すれば、該當するのはあの狐くらいしか思い當たらない。

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いつだったか、黒田が俺の周りに危険な人がいるだとか抜かしていたのを思い出す。あれはきっと真紀のことだったのだ。それしか考えられない。

「あのとあんたは……いや、あんたらは、はじめから敵同士だったというわけか」

「いう必要はないさ、今から死ぬ人間には」

つまり、それは遠回しに肯定しているとみていいだろう。真紀も、一度だけ黒田に付き纏われていたときに、自分を頼れといってきてきたことがあったのも思い出した。これらのことからも、やはり敵対関係にあったものだと考えて問題なさそうだ。

「……そうか。俺が直接巻き込まれたとき、裏で糸を引いていたのは、あんたらだったんだな」

つぶやくようにそういうと黒田は、つぶらで蛇か何かを連想させる眼を、わずかに細めた。

「図星だな、香織というと裏で手を組んでたってわけか。考えてみればあの頃、俺の周りじゃぁ、妙に々なことが起こっていたからな。誰かが人為的に起こしていたんじゃぁないかと、あとあと思ったもんだった。

だが……なるほどな。香織とあの狐がよくない関係であることに目をつけて、そのどさくさに紛れて俺を引っ張りこもうって魂膽だったわけか」

「やれやれ。今も昔も、よくそこまで頭が回るものだな。それももう過ぎたことだ。

……さて、もう話は十分だ。そろそろ死んでもらう」

にも黒田は、話は終わりだと突き付けていた拳銃を、腕をばしてあらためて向けなおる。

「待て。あんたはいいのか、俺がこのままこの組織にいても。場合によっちゃぁ、あんたらの組織にくら替えしたっていいんだ」

「ふふ、馬鹿なことをいってもらっちゃ困る。あまり、心にもないことをいうもんじゃない。そんな口から出まかせを信じるほど、甘くはない」

助かるなら、それでもいい。なかば本気でそう思ったのに、にべもなく卻下された。別に組織になんざ、忠誠なんて誓ってもいない俺だ。どの組織にいたって俺の求めるものは変わらないのだから、そういったのだ。

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「待て、待つんだ。出まかせなんかじゃぁない。だったら証拠を見せたって――」

みなをいうことなく次の瞬間、左肩に衝撃をけた。黒田の野郎が撃ったのだ。

「ぐあっ」

その衝撃と痛みに、撃たれた箇所を右手で押さえながら後ろに倒れ込む。肩から下が衝撃で痺れてかない。

「そこまでして生に執著するなんて、見果てたものだ。だがいったはずだ。心にもないことをいうなとね」

この業界の人間にとって、咄嗟の思い付きなんてものはただの命乞いにしか聞こえないだろうから、こういう展開は予想済みだ。むしろ今の俺には、どうやって“一撃だけ”を食らわすだけに留めるかのほうが重要だった。

初撃をけた際に、防水袋にった予備の銃は黒田側に落ちてしまったため、それを取ることはできない。だが、まだみがあったのだ。そのみを繋ぐためにも命乞いでもなんでもして、とにかく一撃でやられないことだけが目下の問題だった。

その問題も今のでなんとかなった。倒れ込んだ瞬間、俺が特攻をかけた際に始末してやったスーツ野郎の持っていた銃を手にれるのが目的だったのだ。黒田相手に銃一丁で命が保証されるわけでもないが、ないよりはマシだろう。

俯せに倒れたため、に黒田からは銃を取った瞬間は見えなかったろう。もし、それがわかったのであれば、俺が倒れた次の瞬間には、急所に弾丸が食い込んでいたに違いないはずだからだ。

まぁいい。本當に、一か八かの賭けだったがその賭けに勝ったのだ。この幸運を逃さないはずもない。奴とは五年も前からの因縁があるのだから、それを清算してしまうには絶好のチャンスでもある。そのために肩を犠牲にしてしまったが、死んでしまっては元も子もないのだ。

痛みには耐えればいい。弾をうけた箇所から熱さをもった鋭い痛みを、顔を真っ赤にして堪えながらあの地獄の訓練でけたことを思い出す。あれに比べればまだいくらかはマシだ。

「さぁ、今度こそ終わりだ。……せめて、最期くらいは私の手で終わらせてやる」

そういって黒田がこちらに向けて銃を構え直したと同時に、俺は摑んだ銃を背後の部屋の照明めがけて撃つ。

ガラスやフィラメントの砕ける音が室に響く。當然、瞬く間に部屋の中が暗闇につつまれた。

しかしさすがの黒田も、俺の思わぬ行には銃を撃つ暇などなかったらしい。俺に向けていた銃から弾が飛び出てこなかった。

俺はその間にソファーの後ろに回り込み、黒田のいたあたりに向かって弾をぶち込んだ。

だが手応えはない。奴も危険を察知して、あたりの影に隠れたのだ。

撃った直後、再びソファーに隠れて呼吸を整える。こうすると、だんだん五もそれに合わせて落ち著きはじめ、いつもの狀態になっていった。

(落ち著け……大丈夫だ)

俺は真っ暗になった室を、あらためて素早く見回した。落ち著きだしたことで、いつものように夜目がききだしてきたのだ。

暗くはあるが、いつもみたいに落ち著けば夜目は當然、覚が研ぎ澄まされている分だけ、音やかすかな空気の流れなんかも聞き取り、じることができるはずだ。

暗闇というのは視覚が遮られてしまうだけに、他の覚が鋭敏になるように人はできているのだ。だからこそ俺達は、訓練で夜目を鍛え、他の機能もより鋭敏になるようにするのだ。

もちろん、それは黒田にしても當然だろう。だが、互いに條件は五分と五分であり、これなら俺にも分があるというものだ。狀況自がひっくり返ったわけではないが、つい、ほんの三十秒かそこら前にはまだ圧倒的に不利な狀況だったことを思えば、はるかに好転してきたと考えるべきだろう。

さて、ここからは思考のゲームになるがどうすべきだろうか。俺が行きたいのはボネットの野郎が飛び出していった、ドアに向かうことだ。しかし、當然ながら黒田もそこから現れてこの部屋にったわけだ。

おそらく奴が隠れたのは、俺の隠れたソファーのテーブルを挾んだ反対にあるソファー、こう考えるべきだろう。奴が飛び込んだにしたって、決して時間があったわけでないことまで考慮すれば、それが最も現実的であるはずだ。

そしてやはり奴も、俺の進みたい方向は把握しているのは目に見えているので、そこらを狙いすましていることは、十分に考えられる。あるいは逆に、それを見越してかずに黒田を狙っている俺を狙おうとしているかもしれない。

主に考えられるのはこれくらいだが、これだけが全てとはいえない。奴にとって、まさか電燈を撃つだなんてことは、全く想像もできなかったことだろうから、そんな突拍子もないことを黒田が考えてないとも言い切れない。

だがおそらく、そいつはないだろう。というのも、あらかじめ考えておいたことでなければ、ここまでの行を移すのは難しい。ましてや暗闇のなか、いつ敵が襲ってくるのがわからない狀況では、それら以外の可能はほとんど実行不可能だ。

よって、俺が飛び出すか向こうが出てくるか……極端に可能は二分の一といっていい。そして、なるべく早く暗闇に目が慣れたほうの勝ちでもあるといえるかもしれない。

ともかく、條件が同じであるなら後は運だ。奴もそれはわかっているはずだ。どうせ何をやっても事態が好転しないのであれば、俺は自分の運に賭けてみることにしたのだ。

今まで、今回以上よりもはるかに低い可能にだって賭けてきた俺だ。二分の一も可能があるのなら、決して悪い賭けでもないはずだ。

呼吸が落ち著いてくると、自然とも落ち著いてくる。かといって、あまり落ち著かせるわけにもいかない。ほんのわずかに張させることがもっとも最高の狀態だ。いわゆるこの狀態こそ、集中していると呼ばれるものだからだ。

(よし)

俺はもう一度深く呼吸したあと、小さく頷いて行を開始した。普段なら行は手短に、かつ、効率よく行うために最短ルートを行くところだが、今回は逆にあえて影を迂回して扉に行くことにしたのだ。

それにいつまでも黒田一人に構ってもいられないし、もしかすれば不意をつけるかもしれない。まぁ、向こうもプロだから、瞬時に迎撃してこないともいいきれないが、考えすぎは逆に良くなかったりするものだ。

俺はそう言い聞かせると早速ソファーから回り込み、一気に向かい側のソファーへとをかがませて走る。

すると、部屋の中でかすかに何かがく気配があった。俺がき出したと同時にくものなど、當然ながら黒田以外ここにはいない。

つまり俺のきは、決して悪いものではなかったということだ。回り込もうとしてき出したのは、奴の読みの裏をいっていたわけなのだから。

バスンとでもいった銃聲が聞こえた。黒田の奴が俺のいた気配を読んで、銃をぶっ放してきたのだ。

大まかな場所に狙いをさだめると、そのあたりに向けて迎撃する。當たるとは思わないが、こちらにも攻撃する意思だけは示しておく必要があるのと、もし當たればめっけものでもある。

そのまま暗闇の中、扉にむかって走る。戦略的撤退というやつだ。あくまで俺の狙いはボネットなんであって、黒田ではない。

それに黒田は、俺を始末するために現れたといっていたから、俺を追ってくるはずだ。そう踏んで、逃げながら奴と戦うことを選んだのだ。

かすかに見える開かれたドアを摺り抜け、部屋を飛び出した。階段も當然ながらはなく、闇に沈んでいる。

俺は暗闇の中の階段を、下へと駆け降りる。視界がきいていれば何段かごとにまたいで降りるところだが、今回はそういうわけにもいかない。一段一段、慎重に素早くだ。

下階との踴り場にでたとき、背後から鋭い銃聲があった直後に俺の周囲で、金屬質のが弾かれる音が響く。奴も俺が部屋を飛び出したに気付いたんだろう。

下階は當然ながら薄暗くはあるが燈りがついているため、くのにはさほど苦労しない。同時に黒田の野郎にも、よりはっきりと的が見えるために危険度は上がるが、気にしても仕方がない。俺は直接やつから見えないようにになるよう、階段を下りていく。

二階まできたところで、にわかに建の中が慌ただしい雰囲気になってきているのをじた。ボネットの野郎が、侵者の存在を知らせたんだろう。

ちょうど二階の廊下から出合い頭に出てきた見張り二人に、銃をぶっ放す。覚が鋭敏になっている以上は、こちらのほうが早撃ちには幾分有利だ。

一階へと降りる間際に、目の前の窓からボネットの野郎が乗ってきた車が目に映る。護衛らしい黒っぽいスーツを著込んだ連中が、慌ただしく車をすぐにかせるように準備していた。

しめた。ボネットはあの車で逃げる気のようだ。だったら、ここから奴を狙えるかもしれない。距離も、せいぜい二十かそこらだ。

いや、そんなにもないだろう。俺の腕ならスナイパーライフルがなくたって、十分、奴を狙撃できうる距離だ。

だが……問題は上から追ってきているはずの黒田だ。俺がボネットを狙いさだめているうちに、間違いなく奴は俺を狙い撃つに決まっている。

俺は、現狀の裝備でもいけそうな絶好の狙撃ポイントを前にしながら、舌打ちしながら階段を飛び降りた。著地の衝撃で足が痺れるが、そんなことに構っていられない。

一階に降りるとやはり目の前に窓があり、そこからはちょうど良くボネットの野郎が車のところにきて、乗り込もうとしているところだった。

ここからなら、二階からよりもさらに條件がいい。すかさず銃をスライドさせ狙いをつける。

「あばよ」

小さくつぶやいたと同時に引き金を引いた。発された弾丸が窓ガラスを突き破り、逃げようとする男のに食い込んでが飛んだ。

周りの黒服連中も一瞬のことに目を見開いているが、俺はすでに連中に向かっても引き金を引いていた。

次々に倒れ込む男達を目に、俺はさらに右側斜め上方向に向かって撃ち込む。黒田らしい影が視界にったのに気付いたからだ。

しかしその影もこちらの行にいち早く気付いていたようで、素早く影にを隠した。

それを合図に、出口めがけて俺は廊下を一目散に走りだす。窓から出ていたんでは、外に出るまでには確実に黒田から狙い撃ちされるのは、火をみるよりも明らかだ。

なにより、ボネットを始末するというのが今回の目的である以上、必要以上に黒田に時間をさくわけにもいかない。黒田とは決著をつけるつもりではあるが、今はひとまずボネットが生きているかどうか、そっちのほうが問題だ。

の正面玄関あたりに、新たに見張りの連中が三人集まってきているのを確認すると、瞬きする間もなく、こぞって狙い撃ちにする。

斷末魔のびともとれない、けないび聲をあげながら三人とも崩れ落ちる。

そして玄関口に著くと、開かれているドアを飛び出して走ってきた廊下めがけて発砲した。はじめ、俺に気付かなかった見張り連中が、侵者の存在に気付いて集まりだしていたのだ。

その一人に、奴、焦りともとれる表を浮かべた黒田の姿があった。集まりだしていたノロマの見張り連中が邪魔で、思うよう走れないのだ。おまけに俺から発砲されてを屈ませている連中のために、なおさら走りにくそうだった。

車の側に倒れているボネットの背中めがけ、心臓あたりに一発弾を撃つ。著弾の衝撃で、野郎のが大きく揺れた。どうやら最初の一撃で、野郎の急所をとらえていたらしい。

(よし。後は奴だけだ)

一瞬だけ建の中にいる黒田のほうを一瞥し、素早く車に乗り込んだ。

その背後を弾丸が飛んでいく。なんとなくだが、黒田の奴が撃ったんではないかと思う。

奴は間違いなく俺を追ってくる。はっきりと俺を殺すと明言していた黒田のことだ、追ってこないはずがない。ましてや、すぐ目と鼻のさきに獲がいるのであれば、なおらさだ。

車に乗り込むとすでに車はエンジンがかかっていて、ドアを閉めながら急発進させると、キュルキュルというタイヤの音を響かせる。

敷地から出たところ、突然天井にボコンとでもいうような音がしてが開いた。どうも、見えないところにスナイパーが潛んでいたらしい。

さすがの俺も、これには肝っ玉を冷やすというものだが、もしスナイパーの存在を知っていたら今のような、特攻ともとれる行は起こさなかったにちがいない。なんともおかしなものだが知らぬが仏、だったということだ。

しかしスナイパーの存在に気付かなかったのも、半ば仕方のないことだったかもしれない。おそらく侵者の存在が明らかになったので、逃走経路になりえそうな箇所に急いで配備した、そういったところだろう。

もちろん、まだまだ油斷はだ。なんせ、黒田の奴が確実に追ってくるはずだからだ。

俺は海のほうに向かって、アクセルをフルスロットルにして飛ばす。瞬く間に建がミラーに遠ざかっていくのが見える。

だが、時間的にそろそろ黒田が出てきてもおかしくないと踏んでいたのに、一向に建からはきを見せる気配がない。

海へ向かう、ほぼ一直線のストリートにぶつかったところで、當初の予定通りに海に行くためにハンドルを右に切る。もう建はミラーからは、ほとんど見えなくなっている。

黒田が追ってこないなんて、俺の考え違いだったか……そんな考えに頭を巡らせ、まっすぐのストリートをやはりアクセル全開で進んでいると、何か低い耳鳴りのようなものが聞こえた。

はじめは車のエンジン音かとも思った。車は高級車であるがゆえ、オートマチックではなく、マニュアル車だったためにギアのれ間違いかと思ったのだ。

しかし違った。その低い耳鳴りのような音はだんだんと近づいてくるように、音が大きくなってきていたのだ。しかも音は下からではなく、上からきているようでもあった。

(まさか)

俺は思い浮かんだ答えを確認するべく、車の窓を開けて上空を見上げると、なんと一機のヘリコプターが空中に低くて轟く音を響かせて、近づいてきているではないか。

もちろん、追ってきているのは黒田であることは疑いようもない。まさか、たまたま辺りを飛んでいた報道ヘリが、深夜に走している車をわざわざ追ってきたりなどしないだろう。まぁ、深夜だから、ということもあるかもしれないが。

だが、今回に限っていえば、間違いなくそんなことはない。追ってきているスピードからしても、ついさっき飛びたって、徐々にスピードを出し始めたといったじなのだ。

頭を引っ込ませ、さらに車を飛ばす。もうスピードは、メーターを振り切ろうとしている。

正直、車の運転というのには邪念のる口の俺にとって、メーターを振り切らんばかりのスピードはとんでもなく張させるものだが、今はそんな弱気なことはいっていられない。

もし止まろうものなら、ヘリに裝備してあるだろう機関砲の一斉掃にあうことは、目に見えている。ヘリの裝備で一斉掃されては、こんな車、一たまりもない。

ここから海へは、ざっと七十キロかそこらだ。このペースでいけば後二十分とかからずに著くはずだ。

そう思考させている矢先、上空のローター音がつんざくように耳をついた。よりターゲットを映し出すために、眩しい照明が車を照らす。

このために、視界が一気にきかなくなるが俺は構わず車を飛ばし続ける。止まっても死、止まらずも死であるなら、どう考えたって後者だろう。どっちみち海に行かなくてはならないのだから、考えるまでもない。

そして考えた通り、機関砲により撃が開始された。走る脇を機関砲の弾がアスファルトをえぐっていき、それが徐々に俺の乗る車のほうへと距離をめてくる。

「野郎、なかなかいい腕してるじゃぁねえか」

悪態をつきながら、俺はし小刻みにハンドルを切って弾を遠ざけようとする。

しかしそれも虛しく、サイドミラーが突然弾けとんだ。機関砲の者は、かなりの腕をしているようだ。このままでは、海に著く前までにミンチにされてしまう。

俺は全開にしているアクセルを、さらに力いっぱい踏み込んでスピードを上げる。メーターは完全に振り切ったままにたっていて、果たしてどれほどの速さになっているのか、俺には判斷のつけようもない。

だが間違いなくスピードはあがり、連中のヘリよりも速くなった。スピードが上がったことにより、いったんは止んだ砲撃も、スピードが一定に保たれるようになったために再び開始される。

「くそっ、早く著いてくれ」

深夜の郊外に向かう車など皆無に等しいストリートには、幸か不幸か他の車が一切見當たらない。走するにはうってつけだ。こうなると、あとは橫からくる車と、どうにか海に著くまでが勝負だ。

それに黒田とて、海までには決著をつけたいはずだ。俺が向かっているテムズ河の河口付近の海には、軍関係の施設も存在しているため、陸地とはいえ、付近を機関砲をもったヘリが近づいているとなれば、向こうが黙っているはずがないからだ。

それをわかっていない黒田ではないだろうが、奴としてもヘリを引っ張りだすしか、追ってくる手立てがなかったということだろう。

とにかく、一刻も早く海にまで行きたい俺にとって、奴らの攻撃をしでもやめさせたいところだ。

そう考えていたところ、次は助手席のドアが金屬同士の打ちられる耳を塞ぎたくなるような音がした直後、ドアが音を立てながら外れた。

あまりの猛スピードのために、わずかな走行の揺れも実際にはかなりの揺れ幅になる。そのせいでいつのまにか、機関砲の弾道上を走ってしまっていたのだ。

忌ま忌ましい気分で前を見ていたところ、海まであと十五キロと案標識がでていた。思っている以上に早く海に著けそうだが、早く著きたいという気持ちがスピードを出していたらしい。

再び、機関砲の砲弾が後部座席のあたりにぶち當たり、かなりの衝撃があった。それに伴い車がバウンドするが、アクセルを緩めることはない。

そのまま黒田の追撃をかわしながら進むうちに、ようやく港地區にってきた。ここまでくれば俺の勝ち……そう考えていた俺が甘かった。黒田を乗せたヘリはこちらの意に反し、なおも追撃をしてくるではないか。

「くそっ、早く折り返せっ」

ハンドルをうまく作しながら、迫りくる障害をよけた。港にくれば當然、々なものが置いてあったりするのでこのスピードでは、ほんのちょっとの作ミスで命取りになる。

もうあと三分とたたずに、海に突っ込んでしまいそうであるのにまだヘリは俺を追ってきている。そして、このままでは本當に海に突っ込んでもおかしくないことを考慮すると、もしかすると海に突き落とそうとしているのかもしれない。

『この先、海 危険』と書かれた看板が、一瞬目にうつる。本格的に危ういと思った矢先、車がガクンと変に上下にいてハンドルを取られそうになった。

なんとかハンドルを切り返して元に戻すと、車のヘッドに鋭く金屬音がする。何事かと前を見ると、ほんの何十メートルか先はなくなっていて、真っ暗な海が広がっていた。

俺は急ブレーキをかけるが、日本での法定最高速度の軽く二倍は出ている速さでは、そんなものはなんの意味もない。

あっという間に車は、ブオンとタイヤが高速で空回りする音を響かせたあと、次の瞬間にはドカンという衝撃とともに海水が車に浸水しはじめた。

助手席側のドアがなくなっているために浸水は想像を絶するほど早く、瞬く間に車から酸素を車から海中へと噴出させていく。

俺は思いきり空気を吸い込み、水の中でなんとかを橫にして足をドアの側面に向ける。続けざまに、もはや暗い海中にもずくとり果て、沈みゆく車のドアの窓を蹴った。幸い、行が早かったためか、まだ助手席側が上を向いているからだ。

水中で跳ね上がるを車の外に投げ出した俺は、腕で車の骨格部分を摑んで、さらに海上へと押し上げる。深夜のために、それが本當に海上なのかはわからないが、港を照らすライトの殘が、わずかにだが暗い水中からでも確認できるような気がして、それに従ってみたのだ。

海に沒したのはほんのわずかな間のはずだが暗闇のせいか、思った以上に深くじる。覚としては、せいぜい十メートルかそこらと思えるが、実際にはさらに數メートルか……あるいは、十數メートルは深いところにまできているのかもしれない。

なんせ、あっという間に浸水されたのだから沈むスピードも、予想以上に速くても當然だ。おまけに、車のスピード自も速かったこともあって、さらに沈むのが早かったのかもしれない。

とにかくだ。今は早く海上に出たい。思いきり海の中に出るさいに息を吸い込んではいるが、訓練もなしでは、そんなものはたかがしれている。

一刻も早く、新鮮な空気を吸いたい一心で俺は、もがくように上へ上へと泳いでいくものの、暗い水の中は、ただでさえ遠近を狂わせる水の中をさらに遠くに海面をじさせ、思った以上に覚を狂わせるものらしい。全く、上に向かっているような気にならないのだ。

もしかすると俺は、勘違いをしてありもしない源に向かって下へと、自ら深く沈んでいっているのではないか……そんな気持ちにすらなった。

息もだんだん苦しくなり、溺死するんではないかと思った矢先、首が海面に出た。

「ぷあっ、がはっ」

バシャバシャと海面を手で叩きながら、咳込むような苦しみに合わせて、思いきり空気を肺に吸い込む。

ふと、この世に生まれたばかりの赤ん坊は、泣くことで初めて自分の力で呼吸するというのを、脳裏によぎった。きっとその瞬間というのも、今の俺みたいに、を刺激するような激しいものなのかもしれない、と。

海面に首が出たところ、突然眩しいが俺を照らす。上空を、ローター音のうるさい音を轟かせ、ヘリが俺を照らしているのだ。

照らしているだけならまだしも、こちらを確実に機関砲で狙い撃とうとしている。はっきりいって、絶的な狀態だが俺にはまだ最後の切り札がある。あとはそれを待つだけなのだが、間に合うかどうかは全くわからない。

俺は手を額にかざし照らされたのほうを見上げると、源の上のあたりに、なんとなくく影があったような気がした。気のせいかもしれないがもしそうだとすれば、間違いなく黒田の野郎に決まっている。

デニスとの裏取引は、功をそうしなかったのか……そんな考えすら浮かんできたとき、ヘリの背後からもう一機、ヘリがこちらに向かってきているのがわかった。黒田の乗ったヘリとは別に、ローター音が響いてきたからだ。

間に合った……こう思った瞬間、新たに後方に現れたヘリは問答無用に、黒田の乗ったヘリを攻撃し始めた。

あまりに突然なことで俺も一瞬、なにがあったのかわからなかったがなかば本能的に海に潛り、岸のほうへ向かって泳ぎだしていた。

車のスピードが相當のものとあって、考える以上に沖にきている。車でもスピードがあれば、しは飛べるものらしい。

息つぎのために海面に頭をだすと、その瞬間、黒田の乗ったヘリが音を響かせて炎上する。てっきり黒田のように機関砲かと思ったがどうやら、ナパーム弾を撃ち込んだのかもしれない。

黒田の乗ったヘリは制不能となり、機は不自然な回転をしながら海へと落ちはじめていた。

しかし俺は見逃さなかった。海に落ちるほんのし前、機から黒い影が海に飛び降りる瞬間を。當然、そんな蕓當をやってのけるのは、あのヘリの乗組員には一人しかいない。

黒田だ、黒田の奴はまだ生きている……こう結論づけた俺は、急いで岸まで泳ぎ近くにあった船を繋いでおくためのロープを摑んで、どうにか陸に上がることができた。

陸にあがると、すかさず近くのコンテナの影にを隠す。どうやらこの辺りは、大量のコンテナが置かれてある場所のようで、なんとも巨大なブロックパズルの中にいるように錯覚してしまいそうだ。

ヘリが落ちていった辺りから近い場所を暗がりから見つめていたところ、バシャンと水音がして、一つの影が陸に上がってくるのがわかった。

もちろん、黒田の野郎だ。やはりヘリが墜落しようとした際に海に落ちたと思われる影は、黒田だったというわけだ。

自ら海に落ちたとはいえ、夜の海に落ちるとあればそれは、晝間の海に落ちるのとはわけが違う。奴もそれをわかっているんだろう、必要以上に咳込んでいる。

それでも黒田は、咳込みながらもあたりを見回して、俺のようにすぐ近くのコンテナにを隠した。暗がりから俺が狙ってないかを考えてのことだろう。

上空を、バラバラとヘリのローター音が響き、俺と黒田はその中で息を潛めあう。なにかあってもすぐ対応できるように銃を持とうとしたところ、銃が手元からなくなっていることに気がついた。

車を運転しているときに助手席に放り込んでしまい、そのまま車とともに海に底に沈んだのだ。當然、建に潛するために持ってきた道もまとめて、海の底だ。

つまり今の俺にとって武らしい武は、いつも何かあった時のために常に攜帯しているナイフ一本しかないということになる。

だがおそらく、黒田のほうも似たりよったりだろう。いくらヘリから逃げ出すことができたにしたって、裝備品まで持ち出せたとは思えない。仮に持ち出せたにしても、海に落ちてしまえば弾薬がってしまい、銃の弾としての威力など全くなくなってしまう。

よって、奴の武もせいぜいナイフくらいなものだろう。もちろん、ナイフ以外にも水に強い武がないわけではない。黒田がそれらの武を、攜帯していないとは言い切れない。

俺はそれを念頭にいれ、頭だけそっと影からのぞかせる。奴が隠れた場所から、奴が出てきた気配はない。奴も奴で、どうすべきか考えているにちがいない。

こうした直狀態がどれほど続いたろうか、上空であたりを飛び回っていたヘリが、だんだんと遠ざかり始めた。黒田はヘリの墜落とともに死んだとでも判斷したのだろうか。

ありえない話ではないが、とにかくヘリが遠のいていくと同時に、黒田が隠れた場所から人影が這いでてきた。ここから見える限りでは、銃のようなものは攜帯していない。代わりに、ナイフを一本右手に持っている。やはり予想通り、俺と同じで銃火の類いは持ってはこれなかったらしい。

「さぁ、出てこい九鬼。私はナイフ一本だけしか持っていない。おまえもそうだろう。

ここで正々堂々、ナイフだけで決著をつけよう」

黒田は無人の港に向かってぶ。信用してもいいものかと考えるが、どのみち奴にとってはこの辺りはアウェーなので、助かる見込みはない。だとすれば、せめて一矢、目標だったらしい俺を始末してから死のうとするのは、當然のことだろう。

もし俺が奴の立場だとしたら、やはり同じことをしたかもしれない。ただ俺の場合は、まだこんな場所で死ねないので有利な場合であっても、下手に出て命を落とす危険がある可能に賭けるより、このまま逃げ出したほうがはるかに條件がいいに決まっているので、つい慎重になってしまうのだ。

黒田は出てこいと辺りに向かって何度もんでいる。俺は一度はここから逃げようとしたものの、変なところでお人よしが出てしまい、影からそっと姿を見せた。全く、自分でもどうかしていると思う。

「……どうやら私は、おまえのおけで生きながらえることができたということになるらしい」

自分の背後から現れた俺に、黒田がそう言い放つ。それもそうだろう。背後から現れるというのは、いつでも狙い撃つことができたというわけだから、殺されていたにしても仕方ないわけだ。

もっとも今の俺には、ナイフたった一本しか手元には殘されていないが。

「まぁ、なんだっていいさ。それよりいい加減、決著ってのを著けようぜ。俺はもうあんたの顔なんざ見たくないんだ」

肩をすくめながら、憎まれ口をたたく。今度は形勢が変わった。先ほどはいかにして不利な狀況をプラスマイナスゼロにするかだったのに、今度はプラスの狀況から自らゼロの狀態にしたわけだが、まぁいい。

「……ふっ、手元にあるのはナイフだけか。もしかすると銃でも一丁、隠し持っているかと思ったが……まだ私も運には見放されてないようだな」

「そいつはわからないぜ。もしかしたら、仕込み銃を持ってるかもしれない」

ニヤリと口元を歪め、持っているナイフを右手で握る。それを見た黒田も、同じようにナイフを持ち軽く構えた。

じりじりと互いの距離を詰めたところで、いったん足を止める。両者のあいだは、せいぜい四、五メートルといったところで、互いが一歩踏みだせばあっという間に急所をつける距離だ。

二人のあいだに、なんともいえない張が走る。狀況を自ら追い込んだ者としてそれを跳ね退ける必要があるうえ、顔が割れてしまった以上はここで逃げてしまえば、これから先、黒田から執拗に追われない可能はないとはいいきれないからだ。

バラバラというヘリのローター音も完全に消え、あたりに靜寂がおとずれる。実際には、かなり遠くまでいっているのかもしれないが、深夜のために音がかなり響いてきているんだろう。

視線は一點に集中しすぎないよう、全を観るように視界を拡げる。こうするだけで、不思議と心まで落ち著いてくるのだ。

視界の中で、黒田がゆらゆらといているのがよくわかる。どちらかが一歩でも前にこうとした瞬間が、攻撃の合図になるだろう。

視界を拡げるうちに、自分の呼吸や鼓音も聞こえなくなってきた。集中力が高まってきた証拠で、あとはいつ攻撃に出るかが勝負の分かれ目になる。

さぁ、こい……いた瞬間、俺があんたの急所にこのナイフを突き立ててやる……そう考えた時だ。

視界の中で、ゆらりと大きくく影があった。

「ふっ!」

自分でも自然と口を尖らせて、息をついていた。

いた影の下から上に向かって、孤を描くように右手を突き出した。相手のきに合わせ、そのきを利用するじだ。

直後、右手に鈍い覚があった。それと顔、左の顎のあたりに鋭い痛みが走る。

「ぐっ」

左の耳元で、低くき聲が聞こえた。黒田だ。

ここにきて俺は、ようやく視界を一點に切り換えて黒田のほうを流し見た。黒田は顔面の筋を引き攣らせ、苦悶の表でこちらを見つめている。

「……」

黒田の右手は俺の左後ろのほうに大きく流れ、反対に俺の右手は相手の左側の肺に深く突き刺さっていた。それも、完全に刀が肺の中に押し込まれているようだった。

「……ふ、ふふ……わ、私の負けということか……」

黒田は俺のほうを見るでもなく、虛空を苦悶にきながらつぶやいた。そこからは普段の力強さは全くじられず、もうすぐにでも力盡きてしまいそうなほど弱々しいもので、空気を吸っているのにの開いた肺から抜けて、ヒューヒューという音が聞こえる。

「……だ、だが、やはり私の目に、く、狂いはなか……」

みなまでいうことなく黒田は、俺の脇にズルリと力盡きて倒れこむ。と同時に、刺したナイフの刀がそれに合わせて抜ける。

「黒田……」

何か一言つぶやこうとした俺は口をつぐむ。勝者が敗者にかける言葉などなにもない。力盡きもう意識もなく、ほんの數秒後には死んでしまう者になら、なおさらだ。

べっとりとで濡れたナイフの刀を脇見ながら、倒れている黒田の背中を瞬きすることなく見つめていた。

因縁だとしても、たった今のことであってさえ過ぎてしまえばなんてことはない。なんのもありはしない。

港の口のほうから、眩しくヘッドライトでこちらを照らしながら、一臺の車がやってきている。俺はそれに気付きながらもただ目を細め、倒れた男の姿を見下ろしているだけだった。

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