《能力しかないこの世界で》海でリラックス

「あーもうめんどくさーい。」

  キバナが気の抜けた様な聲で愚癡をこぼす。

「何がめんどくさいんだ?」

  和斗はキバナに聞いてみる。

「掃除と洗濯だよぉ。」

「なんで?」

「だってニャーは片付けるという言葉がだいっっっっ嫌いなのに掃除しなきゃ行けないんだよ。その中でも一番嫌いなのが風呂掃除だよ。わざわざ嫌いな風呂の掃除をなぁぁぁぁんでしなきゃいけないんだろうか。洗濯だって乾いた時は気持ちいいけどその前のぐしょぐしょの時が嫌いだし。あーあ、これじゃ一人の時の方が楽だったな。」

「じゃあ戻るか?」

「いーや、そんな訳ないじゃん。」

  そう言ってキバナはスタスタと洗濯をしに行った。

  (どうやらキバナもこの生活に馴染めているから良かった。)

  その時和斗の後ろから國次がそっと寄ってきた。

「なあなあ和斗、これに行かないか?」

  そういう國次の手には海のポスターを持っていた。

「海かぁ!良いな!」

  その後もみんな賛し、海に行くことになった。

「ひゃっほい!海だぁ!」

  いつも以上に騒ぐ國次に続き、花月も海にっていった。

  ばしゃばしゃと楽しんでいる2人に対してキバナは呆然と立っていた。

「これが…海…」

「ん?キバナは海を見たこと無いのか?」

「え?あっうん。まさかこんなに広いとは思って無かった。」

「じゃあさキバナ、泳いでみたら?もっとびっくりするよ。」

「え?でも水は…」

「いいから、いいから。」

キバナを強引に引っ張っていき、海に連れていった。

「ひゃっ!?なんか水と違う!」

  キバナは初めての海に困しながらも海を泳いでみた。貓なのにいぬかきをして泳いでいた。

  (これが海!これが泳ぐなんだ!)

  キバナは心地の良い風を浴び、全で海を掻き分け、しい空を眺め、無邪気に泳いでいた。

  だが、鈴音だけはゆったりとサングラスをして、空を見ていた。

「姉さんは泳がないのかい?」

  鈴音の前にはズブ濡れの國次が立っていた。

「私はいいわ、だってこの景を眺めているだけでいいもの。」

「そう言って本當は泳げないんじゃ無いの?」

「ふふふ…なら私の本気を見せてあげるわ。」

  そう言って鈴音は海に向かって走り出した。

  (なんだ、本當は泳ぎたかったんじゃん。)

「おーい!」

  浜辺から和斗の聲が聞こえた。

「みんなであの巖まで競走しようぜー!」

  その後ろに鈴音が寄ってきて。

「でも、ただ競走するだけじゃつまらないわよね。」

「じゃあどうするの?」

「一位の人は掃除、洗濯、料理諸々の家事一ヶ月無し!」

  鈴音のその言葉に一番食いついたのはキバナだった。

「ということは…ニャーは一ヶ月何もしたくていい!」

  そのご褒に皆が一位を取るという熱気に溢れていた。

「よし!それじゃあやるわよ…よおおおおおい、ドン!」

  その言葉と同時勢いよく泳いで行ったのはキバナだった。

「にぃゃあああああああ!!!」

  彼の下手くそだが結構必死なクロールが他の波を突き飛ばしていた。

「うおおおおおおお!!!」

  その時橫から國次がとてつもない速さで足をかしトップになった。

  しかしその勢いも長く続かず、次第にゆっくりと減速していた。

「ゴール!」

  勢いよく放ったその聲の主は花月だった。

「えっ…いつの間に…」

  驚きを隠せない一同だったが確かに巖に花月は居た。

「それじゃあ家事もろもろ一ヶ月無しだね!」

  花月はそう言って浜辺までさっさと戻っていった。

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