《星の見守り人》星の守り人 外伝 宇宙海賊討伐隊

宇宙港の一角で景気良く花火が上がる。

今日は新型軽巡洋艦「あしがら」の進宙式だ。

宇宙航路が広く開かれてきた昨今、恒星間の貿易も盛んだが、それに伴い弊害も出てきた。

宇宙海賊である。

犯罪を犯し、文明圏にいられなくなった者、宇宙に出たはいいが資の窮乏により、略奪を始めたもの、星を開拓して自分たちの理想の都市を建設しようとしてその夢に敗れた者、それらが次第に増えて大きくなっていった先が宇宙海賊だった。

今までは通報があれば銀河連邦の當局が軍艦を派遣していたが、人類の生活範囲が広がるにつれて積極的かつ融通のきく対応をする必要があり、このたび発足したのが銀河連邦軍治安局の一部門、宇宙船犯罪者討伐部だった。

今回の進宙式は、討伐部発足記念と、その新鋭艦である遊撃軽巡洋艦、別名海賊討伐艦、その一番艦の世間へのお披目でもあった。

新型軽巡洋艦、別名海賊討伐艦「あしがら」は、その別名があらわす通り、連邦でも始めての海賊討伐のための専用艦であり、あまねく宇宙に蔓延る海賊どもを相手にするために設計・新造された宇宙船だった。

全長は230mと巡洋艦としては小型の艦だが、「軽」とは言え、巡洋艦の名の示す通り、その武裝は駆逐艦を大きく上回り、1隻で百隻近い海賊船でも相手をする事が可能な設計だった。

武裝は1隻で百隻規模の海賊船を相手にする事を想定しているため、二連裝主砲六基十二門を初めとして、ニ連裝副砲十基二十門、対艦ミサイル十基、対空小型レーザー砲塔48基と全ハリネズミのような武裝だ。

その上、敵が分散して攻撃をかけてくる事も想定し、艦尾両翼には4隻の50m級警護艦を格納しており、平均的な海賊船で、この軽巡を撃破するとなると、最低でも150隻近くは必要と予想される。

その大きさに対してのあまりの武裝の凄まじさ、今にも襲い掛からんという威容に、この艦を見たある政府高は「まるで飢えた狼のようだ」と発言したほどである。

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また、速度も量産型の巡洋艦としては最速で、1日30年を移する。

そしてこの艦の一番の特徴は「一人用」戦闘艦として設計された、始めての巡洋艦という事だった。

もちろん今までも駆逐艦等、一人(亜人〔アンドロイド〕の乗組員はいるが)で戦闘可能な艦はあったが、それはあくまで「一人でも戦闘が出來ない事はない」のであって、最初から一人用として設計された訳ではない。

この海賊討伐艦は最初から一人用で設計されているだけあって、戦闘もほぼ全てが自化されている。人間は艦長一人で、亜人ですら乗組員數は100人を切っており、しかもそのほとんどが接舷した場合の白兵要員で、実質的な艦要員は10名に満たない。

最新鋭艦の前でテレビのレポーターが就任したばかりの艦長、種田三佐にインタビューをしている。

「皆さん、私は今、最新鋭の巡洋艦「あしがら」の中で、艦長である種田三佐にお話を伺っています、はじめまして!種田三佐、それとも種田艦長とお呼びした方が宜しいですか?」

「どちらでもいいですわぁ・・・もっとも艦長と言っても人間は私一人しかいないんですけどもねぇ」

「はい、伺っています。でも、それもこの船の大きな特徴の一つなんですよね?」

「そうですね、今までの船でも一人で通常航行は可能でしたが、この艦は戦闘に至るまで一人でも可能な艦として開発されましたから」

「凄いですね、でもそれで大丈夫なんですか?」

「人間は私一人と言っても亜人の皆さんが100人近く乗員していますから戦闘に関しても大丈夫だし、寂しくもないですわ」

「まあ、100人も亜人が乗っているのですか?その人たちはどういう役割をするのですか?」

「主に白兵戦要員ですね。実際に艦に関わる亜人は10名もいないです」

「なるほど、ほとんどは海賊船に突っ込んだ時の要員という訳ですね」

「そういう事ですね」

「ところで実際の自信の程はどうですか?」

リポーターの核心をついた質問にも、種田はニッコリと余裕の笑顔で答えた。

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「もちろん海賊退治する気満々ですわ~。

そのための海賊討伐艦ですもの。そもそも海賊なんぞという連中は人類社會でまともに生活できなかった輩が寄生蟲のようにおけで生活させてもらっている連中ですから、それこそ害蟲のように片っ端から駆除してさしあげますわ~」

まるでどこかの鞭でも持った危ない王様のような雰囲気で舌舐めずりしながら話す種田に、リポーターも々引き気味ながら話す。

「そ、それは大変頼もしい発言ですね」

「ええ、これからこの艦を発進させて、ここ數日は冥王星宙域で最後の調整をしてから討伐を始める予定よぉ。

もしこの放送を聴いている海賊のみなさんに「」とか「プライド」とかがあるなら是非かかって來てしい所ですわ。

もっともそういったをお持ちでなかったから宇宙海賊などという、箸にも棒にもかからないになってしまったのでしょうけれどもね。

まあ、冥王星で調整が終わった後は、2週間位は演習で太系のセドナ近辺にいますから、かかって來るならいつでもいらっしゃいと言っておきますわ。

海賊討伐本番の前の肩慣らし位にはなるでしょうね。

それこそ一度に50隻でも60隻でもどうぞ。

軽~く、お相手してさしあげますわぁ」

「本當に自信満々ですね」

「ええ、私の「あしがら」を海賊ごときが撃沈するには最低でも百隻以上の船が必要でしょうからね、寄生蟲が50や60匹集まってもどうという事はありませんわぁ」

「それは頼もしい限りですね」

「はい、この「あしがら」は一番艦ですが、これから同じような海賊討伐艦が続々と完するでしょうから、海賊などという不潔で汚らわしい者は、いずれ自然消滅するようになると思いますわぁ」

「なるほど、これからは宇宙航行も安心ですね。それでは中継を終わります」

こうして最新鋭海賊討伐艦「あしがら」の全宇宙へのお披目放送が終わった。

ちなみにこの放送は、その種田艦長の軽薄さ、あまりにも挑発的な態度にわずかに眉をしかめる者もいたが、海賊に対する毅然とした態度と決意に、世間での人気は圧倒的に好評でだった。

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しかも種田のそのモデル並の貌と獨特な雰囲気があいまって、様々な電子ネットで畫が拡散された上に、數え切れないほどの下僕希者が発生したという。

しかし當然の事ながら、全宇宙中継であからさまに罵られた者たちは心穏やかにはいられなかった。

どこかの一室、海賊の頭たちが新造艦のニュース録畫を見た後で話をしている。

「・・・諸君、これが先日の録畫だ。どう思うかね?」

「ふざけただ!おみ通り相手になってやろうじゃないか!」

「おいおい、相手は「軽」とは言えど、最新の巡洋艦だぜ?わかっているのか?」

「逆に言えばたかだか「軽」巡洋艦だ」

「しかし普通の巡洋艦でも我々海賊船を相手に百隻位は簡単に沈めるぞ?

仮にも「軽」とは言っても巡洋艦、それも最新鋭の出來立てのほやほやだ。奴もそれ位の戦闘力を持っていると見た方がいい」

「ならば200隻でも300隻でも集めるべきだ。

俺たちが聲をかければ、それぐらいは集まるだろう」

「確かに我ら海賊と言えど、あそこまでコケにされて黙っているのはどうもな」

「しかし、我々が言うのもなんだが、連邦も落ちただな。

あのような軽薄そうなに仮にも最新鋭の巡洋艦を任せるとは・・・」

「そうとも!あのふざけたにちょっとしたを見せてやろうじゃないか!

最新鋭っての上にちょこんと座って高飛車な態度の奴なんぞ大した事はあるまい」

「確かにな、最新鋭の巡洋艦が我々海賊に撃沈されたとなれば、連邦の連中も心穏やかにはいられないだろうからな」

「おう、あのにおみどおりに我々のプライドってもんを見せてやろうじゃないか!」

その男達は立ち上がると、それぞれの準備のために部屋を出て行った。

種田のインタビューの10日後、その宣言どおりに太系準星セドナ周辺で、就役前の最終調整をしていた「あしがら」に正不明の船が近づきつつあった。

「艦長、正不明の艦隊を捕らえました。

數およそ30!

おそらくは海賊艦隊だと思われます」

「通信回路を開いてちょうだい」

艦長である種田の命令どおり通信長が回線を開く。

「こちらは就役直前の海賊討伐船あしがら、艦長の種田よ。

貴艦の所屬、及び目的を教えていただけないかしら?」

その種田の質問に畫面一杯に広がった橫柄な男が答える。

「教えてやろう、俺たちはお前さんが呼び込んだ宇宙海賊様で、目的はお前をボコボコにする事だよ」

荒々しく自己紹介する海賊にも種田は全くひるむ様子はない。

「あら?海賊ぅ?

それは大歓迎だけど、そんな數でこの私のお船をどうにかできると思ったのぉ?」

余裕の笑みで答える種田に海賊がニヤリと笑いながら答える。

「はっ、これを見ても同じ事が言えるか?」

そう言うと、その周囲に夥しい數の宇宙船がワープアウトしてくる。

あしがらのレーダー手がその數を報告する。

「正不明船、おそらくは海賊船ですが、本艦近傍に多數ワープアウト!

數150!200!250!300!

まだ増えていきます!」

その後も続々とワープしてくる海賊船。

「現在敵総數380!」

そのまれに見る數に流石に種田も心する。

「あらぁ・・・數だけは揃えたわねぇ」

「ほざけ!いかに最新艦と言えど、この數を相手に無事に済むと思っているのか?」

「そうねぇ・・・殘念ながらこの私の大切なお船も無傷とは行かないかも知れないけれど、あなたたち蛆蟲ちゃんを叩き潰すには問題ないんじゃないかしら?」

「けっ!やれるものならやってみやがれ!

オラ!全艦攻撃開始だ!あの生意気な姉ちゃんをヒイヒイ言わせてやれ!」

その合図と同時に総數400隻近い大艦隊があしがらに襲い掛かってくる。

その攻撃総數、數千門とも言える、海賊の攻撃にも懸命に応戦するあしがら。

さすがのあしがらの防スクリーンもその熱量に白熱化し、すみれに輝いたかと思うと、外側のスクリーンはあっと言う間にもろくも崩れ去る。

2番目の中間スクリーンも赤から橙、黃へとが変化していき、ゆっくりと崩れ始める。

「ははは!見ろ!あいつのザマを!いくらなんでもこれだけの砲撃に耐えられる訳がないだろうが!」

ご機嫌な海賊頭だったが、海賊船旗艦の一人がある事に気づく。

「おかしい?お頭、あいつ、ほとんど反撃してきませんぜ?」

その海賊が言う通り、あしがらは形ばかりの反撃をするだけで、あきらかに防戦一方で本気で攻撃をしているようには見えない。

しかし相手を圧倒している海賊頭はその事を気にしない。

「単にこっちが圧倒しているんで、反撃する暇がないんだろ?」

「それに確か警護艦を何隻か積んである筈なのに、それを出さないのもおかしいですぜ?」

「それも出す暇がないんだろう?何しろ300隻以上の一斉攻撃だ。

そんなもん、出そうとした瞬間に撃沈だろうが!」

確かにそれは海賊頭の言う通りで、これだけの砲撃の中、発進口を開こうものなら必ずその中にまで砲撃が通り、発進どころではなくなるはずだった。

しかしその海賊は言いようのない不安をぎきれなかった。

「それにしても何だかきがおかしいですぜ?」

「そんな事より早ければ1時間もすれば、奴にだって援軍が何隻か來るんだ。

それまでにバラバラにしてやんな!」

「へい!」

系辺境の宙域、セドナ星系とは言っても、まだ一応は太系の中だ。

當然の事ながら銀河防衛艦隊はうようよといて、今頃はこちらへ向かっているのは間違いない。

この辺は辺境なので、艦隊は薄く展開しているだろうが、遅くとも1時間、速ければ三十分ほどで援軍が來るのは間違いない。

そして通常の多目的戦闘艦や駆逐艦はもちろんの事、もし巡洋艦などが援軍で出撃して來たら、この程度の艦隊ではあっさりと敗北しているのは目に見えている。

海賊たちの多くもその恐れを抱いており、早めに決著をつけようと、いよいよ「あしがら」に襲い掛かる。

一方、あしがらの艦橋では艦長の種田がタイミングを計っていた。

「そろそろかしら?」

艦長の種田の問いに亜人の副長が答える。

「はい、そろそろ來る筈です」

「そうね。確かにこれ以上攻撃をけたら、さすがにこの「あしがら」でも持たないでしょうしねぇ・・・」

「そうですね・・・あっ、來ましたよ」

一気に亜速航行でレーダーの範囲外から戦場に近づいてきた艦隊が探知される。

それは正式の銀河連邦艦隊だ。

果たしてその総數は・・・?

銀河連邦の援軍艦隊に気づき慌てふためき始める海賊連合軍。

「お頭!奴の援軍です!」

レーダー手の報告に海賊艦長が々意外そうな聲を上げる。

「何だと?ばかに早いな?まだ10分程度しか経っていないが・・・

ちょうど近くにパトロール中の駆逐艦でもいたのか?それで?援軍は何隻だ?」

海賊艦長の質問にレーダー手が戸う。

「そ、それが・・・」

「どうした?まさか本の巡洋艦でも來たのか?」

軽巡洋艦である「あしがら」と違い、本・・・つまり正式な巡洋艦と言えば、1隻でも一般的な海賊船を200隻は楽に沈める事が出來る。

「あしがら」と力を合わせれば300隻以上はやられてしまうだろう。

いかに400隻近い數で攻めていると言っても、海賊たちとしてはなるべく敵にしたくない相手だった。

そしてレーダー擔當は報告を渋る。

「それも來てますが・・・」

「何だと!巡洋艦がか?」

巡洋艦が來ていると聞いて、海賊頭が顔を変える。

しかし、次のレーダー手の聲は悲鳴に近かった。

「お頭!巡洋艦どころじゃありませんぜ!」

レーダー手が悲壯なびをあげると、その異常さに気づいた海賊頭が改めて問いただす。

「どういう事だ?さっさと報告をしろ!」

その命令にレーダー手が覚悟を決めたように報告する。

「敵は戦艦2、重巡洋艦6、巡洋艦36、多目的艦120、駆逐艦・・・300隻以上です!」

一気に狀況を説明すると押し黙るレーダー手。

その報告の恐ろしいまでの異常さに愕然とする海賊頭。

「せせせせせせせっ、戦艦だとおぅっ!?」

驚きとも質問とも取れるびを海賊頭が放つ。

「戦艦“2”です!」

自分の報告を再確認するように再度報告する部下。

銀河連邦の戦闘艦にはその艦の戦闘力を示す「戦闘係數」というがあって、これはその艦艇の攻撃力・防力の総合値、すなわち単純な強さを表す數字で「駆逐艦の100」を基準としている。

それによれば通常の海賊船はせいぜい5から30で、現在70を越える戦闘係數の海賊船は確認されていない。

通常は10から20の間くらいである。

つまりどんな海賊船が相手でも駆逐艦ならば必ず勝てるという事だった。

対して標準的な巡洋艦の戦闘係數は3500、種田の乗艦している軽巡洋艦ですら2800である。重巡洋艦に至ってはその數値が16000にもなる。

しかし戦艦は全くの別格だった。

本來、銀河連邦の戦艦というのは數もなく、総司令部と十數箇所ある各鎮守府にしかなく、その総數は現在20隻に満たなかった。

そしてこのような海賊船掃討のような戦闘に加わる事はありえず、もっと大規模な戦闘に投されるべきだった。

その戦闘係數は驚くなかれ120萬である!

しかもこれは単純な數値なので、実際の戦闘力は上位の艦になるほどさらに強くなると思ってもらって良い。

わかりやすく説明すれば、通常の巡洋艦1隻で海賊船ごときは200隻以上相手に出來るし、その巡洋艦が300隻いても戦艦1隻には勝てないのである。

戦艦や重巡洋艦というのは本來、大規模な有人星の鎮圧や方面司令部の反時のような時にのみ、使用されるのだが、そのような事は滅多にないため(事実、方面司令部以上の組織反というのは起こった事がない)稅金の無駄遣いだの、寶の持ち腐れなどと揶揄されている。

もちろんその存在自が抑止力となって反が起こらないという事実もあるのだが、実際にそのような反が起こらなければ、それがわからない人々も多いのである。

そういった人たちには全く使用される事のない戦艦のような存在が単なる無駄に思えて仕方がないのだ。

そのような評判もさる事ながら、銀河連邦としても演習ばかりで実戦経験が全くなしというのも困るので、今回のような比較的規模の大きな作戦には必要以上の戦力を投し、乗員たちに実踐経験を積ませるのと、その必要を世間へアピールしているのだった。

そういった事で、今回の作戦に投された戦力は予想される敵最大戦力の300倍にも及ぶが用意され、実際には1000倍以上にもなった事が後に確認されている。

海賊たちの勝機は皆無であり、奇跡でも起こらない限り、勝利はあり得なかった。

1000倍以上と數字で言うとわかりにくいが、昔の日本海軍で例えるなら平均的な駆逐艦たった一隻が、大和級や長門級の超弩級戦艦2隻と巡洋艦數十隻、それに加えて自分と同等の駆逐艦500隻ほどを足して、その全てを相手にすると言えばわかりやすいだろうか?

もしくは歩兵1個小隊で砲兵や戦車に至るまで戦力が充実している一個師団を相手にするという比較はどうだろう?

あるいは小學生の相撲チーム5人が、プロの力士の十両から橫綱に至るまでの全員を相手にするという例えはどうだろうか?

この日海賊たちが出會った狀況はまさにそのような絶的戦力差だったのだ。

銀河連邦側としては新型巡洋艦の目に際して、ちょうど良い機會とばかりにその巡洋艦の艦長である種田に必要以上の挑発をさせて海賊たちを集める作戦だった。

それに乗ってくるお調子者の海賊たちがいれば、それを一網打盡にし、來なければ大規模な演習という、どちらでも良いという考えだった。

そしてその作戦は上層部が想像していた以上の種田艦長の演技力と、そのモデル並の風貌も相まって大功と言えた。

予想以上の海賊が壯大なネズミ捕りに集まったのだ!

たまらないのは貌の艦長種田の安い挑発に乗り、戦力差1000倍以上という冗談のような狀況で戦う羽目になった海賊たちである。

それぞれの海賊船の艦橋では混をきたした海賊たちが罵りあっていた。

「馬鹿を言え!何で戦艦がたかが海賊討伐に來るんだよ!

これは俺たち海賊とあの新鋭艦の勝負じゃなかったのかよ?

ありゃ、星鎮圧や方面司令部反にしか使わないシロだぞ?しかも2隻だと?」

「しかし來ているんです!どうしやす?」

「あほか?!

どうしようもないだろうが?そもそも巡洋艦の2~3隻で釣りが來るぞ?

それが戦艦と重巡って・・・何の冗談だ?

それこそこっちが100萬隻いても勝てねーだろが?」

「まんまと奴らの罠にはまったってとこですか・・・・・それにしても一やつら、どれだけの戦力を投したのか・・・」

「逃げるか?」

「周囲を300隻以上の駆逐艦が包囲していやす。無理ですね」

これだけの敵に全天球を包囲されては、それこそ鼠一匹逃げ出す隙間もない。

「降伏・・・しかないか・・・」

諦めた海賊たちがついには降伏信號を出す。

種田がさほど本格的に攻撃を開始していなかった事もあって、海賊船は全船無事であった。

これが後に「海賊たちのつかの間の宴」と言われた、史上最大規模の海賊討伐の作戦であった。

就役後、最初の航海と作戦を無事に終えた種田が上司に報告に來ていた。

「・・・以上で報告を終わります。詳細は報告書の方をどうぞ」

「ご苦労、しかし今回は君にも迷をかけたな」

「ええ、でも概ね好評でしたのでね。私も一安心しましたわ」

「しかし口かさのない連中もいただろう」

「それは仕方がありません。そういった人々はいつでもいますからね」

「まあ、しかし今回はよい結果だった。

千とも2千とも言われる海賊のうち、三百以上を逮捕できた上に実踐演習としても上々、世間の風當たりもよくなったしな。

正直良い事ずくめで、連邦上層部としても願ったり葉ったりだ」

「ええ、でも、逆に言えば、殘ったのはしたたかで用心深い連中とも言えますわ」

「全くだ。君としてはこれからはそういった連中を相手にしなければならない訳だからな」

「ええ、でも覚悟は出來ています」

こうして彼は本當の海賊討伐に出発したのだった。

すみません、34話がまだ完全に出來ていないので、後日更新します。

その間、何も更新しないのも心苦しいので、以前に作した外伝の一つを掲載させていただきます。

34話が完次第、この話と差し替えさせていただきます。

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      つづく...
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