《【最終章開始!】 ベイビーアサルト ~撃墜王の僕と、醫見習いの君と、空飛ぶ戦艦の醫務室。僕ら中學生16人が「救國の英雄 栄のラポルト16」と呼ばれるまで~》第85話 突撃する赤ちゃんⅡ②

※無事第1部完結までPC力しました。書き溜めが80話(11/21時點)になってしまったので、投稿頻度上げます。

「えっ? 配信されてる? アノ・テリアで?」

そう驚くコーラに、頷く麻妃。

「これさ、やっぱウチら子の問題なんだよね。暖斗くんが矢面に立ってくれてるけど。この戦いみんな見てる。ラポルト子は『ぬっくん全力応援』モードなのさ」

言いながらハイタッチを始めた。

「やっぱり來たね。岸尾さん。イェイ!」

「初島さんイェイ! ま、‥‥そりゃあねえ。ウチの相棒の晴れ舞臺だから、ねえ」

「イェイ! 『相棒』っスか。でも、確かに」

そう話し合う3人に、コーラがうらめしそうに言った。

「‥‥‥‥何? 『アノ・テリア』って。あと、『ぬっくん』って、誰よ?」

「あれえ? アマリア解放戦の時にウチがさんざん言ってたじゃん? 『ぬっくん』て」

第4戦が始まった。ライドヒさんは砲を撃ちながら、徹底的に距離をとる。さっきの轍を踏まないためだろう。

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だけど。

「‥‥‥‥!! なんで追いつかれんだよ? 機能同じハズだろ!?」

そうぶライドヒ機に、回転の乗ったサリッサが食い込んだ。

ピ――――!

また僕の勝利だ。これでイーブン。

「岸尾さんの教えだよね」

狀況がつかめないコーラが降參して、初島さんと麻妃に解説を頼んでいた。

「岸尾さんはね。ずっと暖斗機をサポートしてたでしょ? 暖斗くんは狀況に合わせて、どのエネルギー配分がいいかに染みてわかってるんだよ。だから、戦闘しながらエネ配分を変えてる」

「え!? 確かにアタシらもシールドに全振りしたりするけど、そんなに細かくやってんの?」

「う~~ん。そだねえ。ウチだったら、避けられちゃう砲には、『見かけ分だけ』エネ配分して、シールドと機に振り分けるかな? ぬっくんは、ウチほど細かくはやってないけど、たぶん要所は押さえてんじゃない?」

「あ~~。思い出したわ。アタシも岸尾さんのフォローで『テオブロマ』のシールドに廻してもらってたな。アマリアはKRM使わないからな~」

「そッスよ。私らも岸尾さんのサポけて戦(や)ってるから、よくわかるっス」

このままいけば次も勝てる気がする。でも僕はなんかフェアじゃない気がしてきた。

「戦闘中にエネルギー配分変えてるから。それで」

ライドヒさんに、ネタばらしをする。

「そりゃできるのは知ってるけどよ? 戦闘中にかあ‥‥‥‥」

第5戦。これで勝敗が決まる。

「これならどうだ? 互角だろ?」

エネルギー配分を憶えたライドヒ機の、きが良くなった。配分の変更は、力する時の若干のコツと、それをやるタイミングが重要だけど、彼はなんとかこなしていた。

「やっぱ運神経イイから、その分余裕があるんだよねえ」

とは、麻妃の弁。

「黙ってりゃいいのに、バッカじゃないの? 勝てたのに」

コーラは悔しそうだった。

「それが暖斗くん。‥‥‥‥という事でしょ? 岸尾さん。それに‥‥‥‥」

初島さんが、麻妃を見て笑う。

「岸尾さんは、『暖斗くんを理解している』ってのが隠れた重要な特殊技能。――それを運営に評価されたんだよね? 暖斗くんの長所をばして、その管制(コントロール)能力で短所を消す。ドローン技よりも、そっちを、ね」

「突撃(アサルト)」

長い間合いから、僕は超距離突撃をした。ライドヒさんは、間合いを詰められない僕が、自棄(やけ)を起こしたと思ったろう。

「撃ち落としてやんよ‥‥‥‥ん? ‥‥ええ? ‥‥おおお!?」

砲撃のをくぐり抜けた僕は、敵機を串刺しにしていた。

*****

「岸尾さん、解説お願い~~」

「はいはいコーラさん。‥‥え~と。ライドヒさんがぬっくんの真似をして、ビーム砲へのエネ配分を絞って防に回したと。それを自機のシールドの減りから察したぬっくんが、シールド積層(レイズ)の殘量を勘案して、機とサリッサにエネ全盛りして、超ロングレンジ! アサルト、と」

「あ~あ。ライドヒさん全部裏目じゃん」

「そだよ。まあライドヒさんは縦練度は大したモンだけど、エネルギーの配分戦は、ぬっくんにバレて裏をかかれまくった、――褒めるべきはウチのベイビーかな」

ほへ~、そっか。と頷くコーラをよそに、初島さんは別意見だ。

「褒めるべきは、岸尾さんだよ。暖斗くんの前へのきと集中力、砲撃をけても怯まないメンタルは本。フェンシングやってる勢から見てもね? それを早期に見出して、その『突撃』する戦法と最適化したエネ配分を構築したのは岸尾さん」

「私らはわかってるっス。暖斗くんの『突き(トゥシュ)』は一流(マジやば)。‥‥突き(これ)のみっスけど‥‥」

「いや~。やられたあ。やっぱマジモンの戦爭やったヤツはアレかあ~」

ライドヒさんは爽やかだった。――僕としてはこう思いたい。は悪い人じゃあない。

「‥‥‥‥やっぱ。引かれてた? の子に俺? またなんだよなあ~」

ライドヒさんは、「ハシリュー村の星」。

村の伝子をけついで、子孫を殘すミッションを負っている。

それゆえに、高校生のライドヒさんには、若いだったらという事で、「外での自由な」が許されているそうだ。4人を超えて娶れるあの制度もある。

――逆を言えば、「今のに外の世界で羽目を外してこい。でも村に帰ったらわかってるよな?」ということ。

でも、當然には相手がいて。

ライドヒさんが「自由」に振る舞ってもそれに子が応じなければ、悲劇になる。

今回の件も、男ないこの國の「歪み」、そのものだ。ライドヒさんが自分に非があるとうっすらじつつも、理解していないのが悲劇の本質なんだ。

「なんだ。意外と後腐れないんだ。ぬっくんに恨が行かなくてよかったゼ☆」

「ああ、『島オトコは、みんなさっぱりしてた。穢れは全部島の風に流した、いいオトコばかりだった』って、ひいばあちゃんが言ってたなあ」

僕らを見て麻妃とコーラが呟いた。

初島さんと來宮さんは、筐でDMTの訓練を始めている。

麻妃が、しみじみ言った。

「でもたくましくなったなあ。ぬっくん。新兵(ベイビー)だったのに」

「『突撃する赤ちゃん』だったのに」

※「何気ない日常回でタイトル回収やめい!」と思った そこのアナタ!!

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