《デフォが棒読み・無表年は何故旅に出るのか【凍結】》18 何か隠してるのかな

何事もなく部屋に帰って來た俺はゴルテをでた。

「ただいま、ゴルテ」

「……おかえり」

知らず知らず笑い聲が。

「ははっ。ゴルテは、照れ屋だ」

尾がパシッと腕に叩きつけられる。

地味に痛い。

それより、伝えたいことがあったんだった。

「今日、魔法のことし、聞いたよ」

何も言わないが、ゴルテの耳がピンと立った。

早く続きを、ということか。

魔法のこと。

古本屋で聞いたことを鮮明に思い出した。

「呪い、じゃな」

「呪い……誰に?」

「それが、分からない。いつからだったか、何が起きようとも寢て起きたら容姿が変わるようになっとった。勿論に覚えなどなかったのじゃ」

「突然、自分のに異変がって?馬鹿馬鹿しい」

おとなしく話を聞いていたツツラが鼻で笑った。

詳しい話を知りもしないのに、と注意しようとした俺の先を行ったアニセラはどこか怒っているようだった。

「何も、知りもしないで。それはいけない。凄くいけないこと」

眉を釣り上げた彼がよほど怖かったのかツツラは一歩後ずさる。

「な、何だよ。やけにこの店にれ込んでるよな」

言い返す聲はどもっていた。

それを今度はシータがやり込めた。

「そうだよ! 知らないことを知らないままで侮辱したりしたらダメって先生が言ってた!」

を歪めたツツラはそれきり黙り込んでいた。

「スッスッスッ。仲が良くて結構なことじゃ。さあ、今日はもうおかえり。このババアの話を聞きたくば明日も來るがいい」

わしはいつでもここにおる。

平坦な聲で帰るよう進めた老婆は、忽然と消えた。

「ーーまた次の休日に行くことにして今日はそのまま帰って來たと」

最初は目を閉じて子守唄でも聴いている気分なのか伏せていたが、俺が話し終わると瞳を爛々と輝かせこちらを向いた。

「老婆が、魔法を……な。姿が毎日変わる呪い……。思い違いだといいのだが。まあ、悪いやつではない、筈だ」

その口調に違和を覚える。

「……知り合い?」

「いやいや。そんなことはない、と思う」

珍しく曖昧な返事ばかり。

引っかかることでもあるようで首を傾げている。

「私もそんな呪いは知らない、が心當たりが無くもない……」

「治せる?」

ガシッ

頭を摑まれ倒される。

頭と床が衝突して聞いていて痛い音がした。

実際に後頭部が痛いけれど。

「勘違いするなよ。私はお前が面白そうだから著いて來ただけだ。お前に何かを指図される覚えはない。……その呪いの解除方法を知っているからといって教える必要はないのだ」

分かったな?

そんなに弱々しい聲を出されては納得、出來ないよ。

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