ゴルテは、ナイケと話したあの夜から考え込むことが増えたように思う。

彼の様子を聞いてきたり、何かあったことは確かだろう。

しかし詮索するのも憚られ、そのままになっている。

そんないつも通りの日常にちょっとした油が注がれた。

「魔退治に？」

「そ。話してるの聞いちゃったの！　先生たちが行くか行かないかって相談してて、ちょうど朝起きて顔洗って食堂に向かった時にしくらいいいかな、と」

今度遠足がある、と連絡されたのは三日前。

日程は明後日。

行き先を決めている現場を盜み見てきたというシータの話によると、郊外の“錯の森”が目的地になるらしい。

なんでも、霧が出ているとかで迷いやすいのではなく、魔が群で暮らす場所のためにそれを目撃して気が転し、慌ててどんどん奧に這って自分の位置が分からなくなるから……なんて由來があるとか。

自慢げにそう解説したのはツツラ。

魔退治と聞いて今から待ちきれない、と顔に書いてある。

「……でも、やっぱり危ない、よね」

アニセラは自分達がそんなところに行くことを危懼していた。

それは俺も同だ。

対人ではなかなかの力を持っているとしてもそれすらあくまで子供の力。

大人にかかれば文字通り赤子の手を捻るように返り討ちにされてしまう。

まして魔なんて冗談ではない。

だから先生も即決せず、時間をかけて味しているのだし。

「おはよう。さあ席につけ。この前の遠足の要項だ」

よく読んどけよー。

教室に現れた先生は、盜み聞きしたこと、それを又聞きしたことの後ろめたさから肩を大きく揺らした俺たちを退けて、教卓に立った。

彼の持った紙を束にしてまとめた冊子の表紙には手書きで

“そうだ、錯の森へ行こう”

と書かれていた。

〜＊〜＊〜＊〜＊〜

そうだ、京都へ行こう……ああ、修學旅行で散々迷った思い出が蘇ります。

なんであんなに短い距離の中、あれだけのバス停があるのでしょうか。

あれぞ錯、バス停の森((

ではまた次回。