《ムーンゲイザー》冒険
ツムギと私は殘りなくなった2人の時間を大切に過ごした。
お互いの好きな音楽を教え合ったり、人生のことを深く語ったり、夏の夜の空気を思い切り吸い込んだり、歌いながら並んで歩いたり、たまにはボーっと月を見た。
一度だけ、海に行ったこともあった。
その日はツムギがアメリカに発つ2日前だった。
その日の前夜、いつものように2人で月を見ながらいろんな話をしていた時、急にツムギが立ち上がって
「そうだ!
明日、海に行かない?」
と楽しげに言った。
ワクワクしてしょうがない、という表。
ほんとに子どもみたいだ。
「え?明日?海?
い、いいけど、海ないよ、、近くに。」
私がうろたえていると、
「朝早く出て電車で行けば日帰りで帰ってこれるんじゃない?」
と、相変わらず楽しそうに言った。
この地域は山に囲まれていて、海は遠い。
一番近い海岸でも電車で行くと3時間はかかる。
ましてや、お互いまだ15歳。
電車で片道1時間の隣町に行くのがせいいっぱいだった。
海だなんて小學生の頃、家族で旅行した以來行っていない。
毎日暇だし、時間はあるが、どこにそんなお金があるというのだろう。
お年玉貯金はほとんど殘っていない。
「あ、お小遣いもらったから、大丈夫!
夕香子の電車代も出せるよ。」
とにっこり笑顔で言った。
「え?お金出してもらうなんて悪いよ。」
と私が遠慮すると、
「俺が行きたいんだよ、夕香子と!
どうしても海見たいの、夕香子と!
だから、お願い。一緒に行ってください。」
と彼は手を合わせた。
そのポーズが可いくて、私は思わず吹き出した。
「じゃあ、明日、海、行こうか。」
そう言うと、ツムギは満面の笑みになってガッツポーズをした。
「よし、決まり!
明日、◯◯駅に8時集合ね!」
「え?え?
ほんとに?展開早すぎない?」
私はツムギの行力についていけず、混していた。
彼と一緒にいるとよくこういうことがある。
何かがしたい、と思ったら即行だ。
星が見たいから綺麗に見えるスポットに行こう、と急に言い出し、2人で行ったこともあるし、
をかしたくなった時は2人で川沿いをジョギングしたこともあった。
最初はついていけないこともあったが、彼があまりに楽しそうなので、だんだんと夕香子も楽しむようになった。
ツムギはそれを「心に従うゲーム」と呼んで楽しんでいた。
したくないことはしない、心がワクワクすることだけをどんどんやっていくのだ。
ツムギが辛かった時に編み出したゲームだ。
「これやってると自分の心の聲が聞こえてくるようになるよ。
心がしたいことをすぐに葉えてあげるの。
そうしたら、機嫌よく過ごせる時間が増えて、毎日ちょっとずつ変わってきたんだ。
例えば朝起きでまず聞くの、自分に。
何を食べたいか、どのくらい食べたいか、
そしたら、心が答えてくれるからそれに従うだけっていう超簡単なゲーム。
これやってると、自分の軸で生きられるようになるから、他人の目とか気にならなくなるし、ほんとに生きやすくなったよ。
夕香子も気軽にやってみて。」
「ふーん。
なんだか面白そうだね。
私、どうだろう。
いちいち心に聞いてるかな。
自分で決めてないかもしれないなぁ。
決められた毎日をなんとなく過ごしてるだけかもしれない。
言いたいことも我慢してみんなに合わせてることもよくあるし。
心に従うゲーム、やってみようかな。
私も自分らしく生きたいな。」
私はツムギの話を聞いてよく考えさせられることが多かった。
それに、いろいろ驚かされることも多かった。
今回の海へ行く、というのは今までで一番のスケールだ。
私はすぐにあれこれ考えていた。
何が必要かな、服は?かばんは?
親には何て言おう。
久々に早起きしなくてはならない、今夜は早く寢なきゃ。
ほんとに2人だけで海に行けるのだろうか、迷わないだろうか。
私はし不安にもなったが、反対に心はワクワクしていてどんどん楽しくなってくる。
「よし決まり!
じゃ、明日8時ね!」
ツムギには心配なんてこれっぽっちもなさそうだ。
早く行きたくてウズウズしているようだ。
その日もツムギは私を自転車に乗せて家まで送ってくれた。
ドキドキしながらぎこちなくツムギの腰に手を回した。
彼の背中はあったくて広い。
彼と一緒なら、どこまででも冒険に行けそうな気がしてきた。
明日は海だ。
冒険に出かけるような高揚でいっぱいだった。
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