《一臺の車から》14.4WDグループBカー (アウディ クワトロS1)

その車は4つのタイヤで地面を蹴飛ばしていった。

仕事場に向かって高速にのっているときだ。2cvの調子はよく、帰ってきてから毎日走っても問題はない。

80km/hキープで走っていると後ろからシルバーの車が追い抜いてった。

ドアにはアウディのロゴがかかれている。ハッチバックのその姿、クワトロS1だ。

タイヤがしっかりと路面を捕らえて、走っていった。

アウディ、クワトロS1。

グループB(ラリー)の代表作であり、アウディがグループBで勝つために作ったスポーツカーだ。

エンジンは直列5気筒。

ラリーではターボを組み合わせて700馬力ぐらいで疾走する。

が、この車の重要な點はこのパワーをけ止めるパワートレインを4WDとしたことだ。

狹い公道や悪路を走るラリーでは、ストップ&ゴーの走り方をする。

そのため、どんな路面でも摑んで加速できる安定した大きなトラクションが必要だ。

そのため、4つのタイヤにトラクションを分散することを考え、クワトロは4WDを採用し、ランチア、ポルシェといった強暴相手に優勝していった。

クワトロのデビューはラリー界に4WDという新たな波を作り出した。

日本車では、三菱ランサーエボリューション、富士重工業(現在のスバル)スバルインプレッサは影響を大きくけている。

僕は2cvを仕事場の駐車場に止めて、

「4WDか…。

そういえば2cvにも4WDあったよな…。

フラットツインを前後に搭載した…。

あっ、思い出した。

2cvサハラだ。

一度見てみたいな。

お前さんは見たことあるかい?」

なんて言いながら鍵をしめた。

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