《友だちといじめられっ子》7(終)

友人を信じて、どんなことでも聲をかける。そんな日々も、もう限界に達した。は、自分さえ頑張れば、我慢すれば、の友人と前のような仲に戻れると思っていた。

⋯⋯だけど、無理だとようやく気づいた。いくら、前と変わらないように接していても、の友人から聞こえてくる本音は、もう、どうにもならないほどだった。

「なんか、もう、いやだ」

教室のドアを開ける直前、は、小さく呟いた。ドアを開けるのをやめたは、階段を上り、屋上へと向かった。

屋上にり、は、直ぐに鍵を閉めた。誰かに邪魔をされるわけにはいかないのだ。

初めて來た屋上には、ところどころ苔が生え、ふと上を見ると、青い空が延々と広がっていた。

數歩歩いて、屋上の柵を越え、下を見ると、広がっている中庭。

「うわ、結構高いなぁ」

予想以上の高さに、は小さく聲を上げた。けれど、そこに恐怖は無かった。早くこんなところから逃げ出したい。

「よし。」

小さく呟くと、はまた一歩、足を進めた。は今から飛び降りるのだ。

しずつを傾けると、は、ゆっくりと落ちてゆく。その時のは、妙に冷靜だった。

ドサッと大きな音がして、の友人は、中庭へ向かった。そこには、が橫たわっていた。

「なに、これ」

の友人は、絶句した。それ以外、の友人は何もする事が出來なかった。

「そんな。こんなことに、なんで」

翌日。の友人が學校に行くと、クラスメイトからの冷たい視線に気づいた。

「お、おはよう」

恐る恐る挨拶すると、一人の生徒がの友人に近づいた。

「加奈が死んだのって、お前のせい、なんじゃないの?」

「・・・・・・」

そう言われ、何も答えられなかった。

「やっぱり、そうなんだ。」

クラスメイトの言葉に、の友人は勿論のこと、いじめに協力した、他のクラスメイトの誰も答えることはかった。

周りには誰も、の友人の味方は居なくなっていた。が痛む。

の友人は、自分のせいだと、確信していた。だけど、認めたくなかった。

クラスメイトが居なければ、の友人はずっとと親友で居続けただろう。そんな気持ちがの友人のなかで渦めいていた。

あぁ、やっぱり聞いていたんだ。何度も何度も、挨拶し、話しかけてくれていたのも、自分たちの會話を聞いていたからなのかもしれない。は、きっとそうするだろう。

の友人は、それを嫌という程分かっていた。知っていた。

でも、今更そのことに気づいても、もう、どうすることも出來なかった。は、死んでしまったのだ。いくら自分のしてしまったことに気づいても、それを謝らなければならない相手は、もうこの世にはいないのだ。本當にもう、どうすることも出來ない。と、の友人は、思った。

「あ、そっか。私も────」

翌日。の友人が、自宅で亡くなっているのが見つかった。

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