《神様にツカれています。》第一章 5

「いやあ、世知辛い今時いまどきの若者にしては珍しい。ワシは神様だ。その証拠にあの厚かましそうな共には見えて居なかっただろう?」

神様!いよいよ頭がおかしいのかもしれないが、確かに奧様連中はこの胡散臭さ全開の「神様」が見えていなかったのも事実だ。

「えと、神様ですか……。ああ!新興宗教の教祖様とか」

そういう危ない宗教には――しかもこのボロボロの恰好だと信者獲得が上手くいっていないじだ――関わりたくない。というか誠司はともかく押しにも弱いので泣く泣く「ご利益りやくの有る、札程度は押し売りされてしまうだろう。もっと経済力が有ったなら金の壺とか般若心経はんにゃしんぎょうが書かれた布団とか。

「新興宗教などではない。ああいうのはイエスキリストの生まれ変わりとか、アラーとイエスと釈迦よりも偉いと言っているだけの人間が教祖様になるのが普通だろう。

ワシは由緒正しき日本の神だ。その証拠にワシの姿はワシ自が見せようとした人間にしか見えん」

確かにその通りだ。さっきからランチ帰りの奧さんは無反応だった、この怪しさ満載の「神様」なんていないかのように。

「あー、日本の神様ですか。アマテラスとかいう太の神様が居ましたよね。自分が隠れるとりが消えると知っていながら、巖の中に隠れたワガママな神様……」

言い過ぎたかと思って慌てて口を閉ざした。そんなに偉い神様とは思えなかったが、同じ神様としては同僚(?)の悪口なんて聞きたくないだろうし。

「それは『古事記』や『日本書紀』のプロパガンダだ。天皇家が神の子孫だということで有り難さを増すための。だから天照大神などはでっち上げだ」

「コジキ」って、この「神様」の服裝みたいなものを著て乞いをする人ではないだろう、多分。そしてプロパガンダって、何?宣伝とかいう意味だろうか?

「そうなんですねー。勉強になります。でも神様は実在するんでしょう。だって目の前に居るんですから」

どうせ暇なのでこの風変わりな「神様」とやらと話すのも良い時間潰しかも知れない。

「日本には八百萬やおよろずの神様がおわします。ワシは麻神あさがみだ。

痩せさらばえたじのを張っていた。要するにたくさんの神様が日本には居るらしい。

「朝の神様ですか。早起きをさせるとか、そういった系の?」

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