《神様にツカれています。》第二章 14

「じ、実はそうなんだ!!信じてくれるかどうかは分からないけどっ」

涙と鼻水、そしてさっきまでの全力疾走で汗まで加わったぐちゃぐちゃの顔で――どうせ、也には見えていないから良いっちゃ良いんだけど――畫面に向かってんだ。

「もうし落ち著いて話せ。大きく息を吸って……はいて……」

冷靜沈著な也の聲は神様以上に頼り甲斐がありそうだ。ちなみに忌々しいサビエルハゲはオレの後ろでヘラリヘラリと笑っている。

せっかく人助けというか神助けをしたのに――収穫が済んだ時點でどの程度が神のポイントになるかは分からなかったけど――こんな悲慘な目に遭わされたなんて、泣いても泣き切れない!!!

『お!大麻栽培の経済學部の神津誠司君、どこかに逃げました!!近くの人は探して!!そして警察の到著までに柄を確保しても、それは『私人逮捕』といって、れっきとした拠があるので大丈夫です。スマホで撮影しつつ向かってください。オレのリスナーで向かえる人居たら、スカイプIDはこちらなので凸ください。実況待っています。この大麻取締法違反の大學生逮捕、そして警察署にるまで実況出來たら良いと思うので、皆さん協力宜しくっ!!』

也のスマホから「ついきゃす」の実況も流れてくる。

「詩人逮捕って、何?詩を書く人が何か関係あるん?」

もう訳が分からず、思ったことを頭の中で整理する暇もなく口走ってしまっている。

「ざっくり言うと、犯罪行為をした人を見つけたら警察じゃない一般人でも捕まえることが出來るってコト。でも今はその話をしている暇はない。

とにかくさ、大麻の神に、誠司は良く分からないまま言う通りにした。

そしたら、信じられない速度で生長して――インスタに載っているほどの大きさになった。

その二點だけ、確認したい」

え?なんで分かるんだ?とは思ったが、全部也の言う通りだ。

「そうなんだ!なんか、神様にもノルマが有るとかでっ……。協力を頼まれて……契約書とかも書かされてぇ、そしてっ……タネを植えたらアイテム貰えて、あっという間にあんな大きさになってた……」

畫面の向こうの也は、何だか満足げなため息をついているようなじが伝わってきた。

というか、普通の大學生が神様の存在をまるっと信じてしまう點は不可解だった。

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