《験生でしたが転生したので異世界で念願の教師やります -B級教師はS級生徒に囲まれて努力の果を見せつける-》事後処理
「先生、私は、負けたのですか……?」
「えぇ」
ショックのあまり、育館の天井を見上げたままアンは學園長と話していた。
「てっきり、座學だけの人かと思っていましたが……」
「それも、あなたが負けた理由の一つですよ。自分が戦う相手がどういう相手なのか、調べようとしませんでしたよね?」
「でも、相手によって戦い方を変えるのは……」
「弱い者のすることだと?」
無言を以て肯定を伝えるアンに、學園長はあくまで優しく、先生として接する。
「逆に、相手によって戦い方を変えることの何がおかしいのです? より勝率の高い方法をとるのは當然の事でしょう。それに、相手によって戦い方を変えられるという事は、それを出來るだけの実力を持っているという事ですよ」
ぐぅの音も出ない。
「……彼はあなたのことを熱心に探っていましたよ。決して波風が立たないように、ひっそりとですがね。だからこそ、あなたは気付くことが出來なかった」
自分が不利な狀態で戦っているという事に。
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「……なにが、悪かったのでしょうか」
「それは、対戦相手から學ぶことですよ。そのための決闘なのですから。実戦でなくて良かったですね」
そう、実戦ならばアンは間違いなく命をとられていただろう。
しかし、実際はどうだ。
アンには傷一つなく、優しく転がされただけである。
相手を傷つけずに制圧するというのは実力差を必要とする。
現狀、ライヤとアンの間にはそれだけの差があることを示すのだ。
それを認識したアンは悔しさのあまり、涙をこぼす。
「彼のお話しだけちょっとしておきましょうか」
起き上がったものの、座り込んだまま悔し涙を流すアンに學園長は言う。
「彼は學時點から座學のトップです。あなたもそれは承知の上ですね?」
コクリと頷く。
そうだ。
だからこそ自分はどんな人だろうと見に行ったのだから。
「これはあなただから言いますが、彼は実技試験でもトップです」
「!」
ここで言う実技試験とは、教師を相手取った決闘形式によるものである。
基本的に魔法による中距離戦がメインなため、S級クラスが上位に來るのが當然なのだが。
「B級クラスで……?」
「それも、教師の一人を倒してさえいます」
「!!」
あり得ないことだった。
魔力で劣るB級クラスが更に能力でも経験でも劣っているS級クラス教師に勝つなど。
「あなたはもうしたでしょうが、彼は、強い。とても10歳とは思えないほどです。學ぶことはたくさんあると思いますよ」
「……なぜ、彼がB級クラスなのですか……?」
実力を學園側が認識しているなら、もっと上でもいいはずである。
「まず、魔力量が圧倒的に足りません」
S級クラスとA級クラスの間にはそれほど大きな差はないが、A級クラス以上とそれ未満では越えられない壁がある。
「そしてもう1つは」
「……もう1つは?」
「面倒ごとが嫌なのだそうです」
もちろん、學園側としても何らかの措置をとらなければというきはあったのだ。
しかし、本人に拒否された。
貴族でもない奴がA級クラス以上に編して波風立たないことがあるだろうか、と。
「ははっ……」
アンは再び空を見上げて笑う。
なるほど。
級クラスを上げることすら面倒ごとが嫌だからと斷る人に、自分は面倒ごとを持って行ったのかと。
しかし、それ以上に興が沸き上がってきていた。
彼に學べば、自分はもっと強くなれる。
結果的にそれはライヤにより一層の面倒ごとをもたらすことになるのだが、そんなことは考えていなかった。
「先生! 私、今から謝ってこようかと思います」
「それがいいでしょう。あの通り溫和な子ですから、めったなことにはならないと思いますよ」
そしてアンはライヤの住処を聞き、走り出したのであった。
「本當にごめんなさい!」
B級クラスの學園寮に王が訪ねてきた。
最初俺は負けを認められず、暴走されることが怖かった。
例えば、國家権力を用いて俺を排除したり、家に迷がかかったりすることが。
だから、學園長に事後処理を任せて落ち著いてから學園長立會いの下で今後のことを話そうと思ったのに。
「何でもするから、開けてくれないかしら?」
何でもする?
今、何でもするって言ったね?
……。
はっ!
妄想膨らませてる場合じゃない!
「わ、わかったから大きな聲を出さないでくれ」
とりあえず王を招きれる。
なにせ、學園寮の男子棟。
俺の部屋の前に王がいたなんて知れたらどんなことになるか分かったもんじゃない。
もう手遅れかもしれないが。
「へぇ、學園寮ってこんなじになってるのね……」
王は初めて寮にった様子。
それもそうか。
貴族たちが寮にりたがるわけがないし、王族なら仮にりたがっても許されないだろう。
B級クラスでもりたがる奴はないしな。
俺は単純に家まで帰るのが面倒だからここに住んでいるのだが。
「で、何しに來られたんですかね、王様」
「その王様っていうのやめて。あなたは私に勝ったのよ? アンでいいわ」
王族を名前で呼び捨てにするって何かの法にれたりしないか……?
「アンさん、とかじゃダメか?」
「ダメね」
そうか……。
ってなんで俺が主導権握られてんだ?
「じゃあ、アン。何しに來たんだ」
もうやけくそでため口である。
「私の師匠になってください」
「ん?」
「まぁ、まず落ち著け」
「はい」
「師匠?」
「うん」
「誰が?」
「君が」
理解が及ばない。
「なんで?」
「私よりも強いからよ」
「そんなの先生にいくらでもいるだろ」
「先生は皆の共通財産よ。私が1人で獨占できないわ。その點、あなたなら可能だもの」
「俺への迷は?」
「給料は弾むわ」
「乗った」
家に帰ればいいものを寮にいるので常に金欠なのである。
「ただ、金は貰うが、師匠はやめてくれ。友達が家庭教師をする。これでいいだろ?」
未も未で師匠気取りなんてできない。
だが、家庭教師なら將來教師になるときに必要なスキルを磨くためにいいかもしれない。
「友達……」
「え、ごめん。そうですよね、俺風が王と友達なんて許されないですよね。ごめんなさい、許してください……」
「え! いや、そうじゃないの! と、友達でいいわ! えぇ、そう私たちは今から友達よ!」
この時のライヤは王っておかしいなと思うだけだったが、アンにとっては人生で初めての友達だったという事を、彼は知らない。
「で、早速なんだが」
「なぁに?」
「アンは自分に命令権を持ってる人の部屋にのこのこ來たってことで間違いないよな?」
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