験生でしたが転生したので異世界で念願の教師やります -B級教師はS級生徒に囲まれて努力の果を見せつける-》報網

「「お久ぶりです、フィオナ先輩!」」

「うんうん、苦しゅうないよー」

「「!!??」」

フィオナの現役時代からのギャップに驚きをじ得ない後輩一同。

「先輩は今までどこに行方をくらませていたんです? クラブに顔を出してしいと家の方に連絡を差し上げても知らないとの一點張りで……」

「うーん、敢えて言うなら花嫁修業かなー?」

「え、先輩ご婚約されたんですか!? お話は聞かなかったのですけど……」

「そりゃ、実家には話し通してないからねー」

「は、はぁ。では、そのお相手とは……?」

あ、まずい。

「そこにいるよー」

バッと一斉にこちらを向く生徒一同。

「誤解だ! そんな事実はない! 先輩が勝手に言ってるだけだ!」

「先輩からのアプローチを斷るとは何様だぁー!」

イリーナを筆頭に、先ほどの數倍の數の投げナイフがライヤを襲うのであった。

「流石にあの數はきついな……」

ただ回避することは不可能だと判斷し、氷の壁を立てるほかなかったのだ。

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「流石の発の速さだったよー」

「なんの証拠もないことを言うのはやめてくださいよ……」

「こんなに好きなのに、悲しいなぁー」

またも生徒たちからじろりと視線を浴びる。

「とにかく、ここではナシです。いいですね? 先輩もコーチとしてきているのですし、ちゃんと生徒たちに教えてあげてください」

「うーん、そうしたいのは山々なんだけど……」

フィオナは困ったようにその端正な顔に眉を寄せる。

「どこから?」

実は、ライヤが見學に來た時からじていたのは、「あまりにも魔クラブが実戦から遠ざかっている」ということであり、それをフィオナもじたという事だった。

クラブは基本的に対人戦を目標としており、生徒同士の模擬戦も積極的に行われていたと記憶していた。

しかし、現在は順に的に向かって魔法を撃ってみたり、の訓練も魔法無しでいわば道のようなものをしているだけである。

教員が足りず、何かあった時に危ないからされていないだけかと思っていたのだが、たった2年前に在籍していたフィオナでさえ違和じるというのはよほどの方針変更がないとあり得ないだろう。

だが、一番の問題は在學生が疑問をじていない様子だということが言えた。

1,2年生に関しては、魔クラブがどういったクラブだったのか知らないだろうからおかしくはない。

しかし、上級生たちは模擬戦を頻繁に行っていたことを知っているし、何なら自分たちが行っていたはずなのだ。

「なんか、おかしいですよね?」

「そうね」

だが、違和程度なのでどうすることもできない。

「先生は魔クラブの顧問になられたそうですね?」

翌日、クラスに行くとニコニコとウィルがそんなことを言ってきた。

「耳が早いな」

「先生のことに関しては先生より知っているつもりですので」

「ゾッとしないな」

その気になれば本當に俺のパーソナルデータから何から全て知ることが出來るだろうから、それが怖いところではある。

だが、ウィルに仕えている人達も命令されるままに一般國民の報をほいほい流す人たちではないと信じたい。

「それで、なぜ顧問に?」

「なぜも何も、學園長から言われたからだよ」

「えっ!」

本気で驚いた顔をするウィル。

「先生は在學中先生のいう事を聞かなかったことで有名では……?」

「誤解を生むような言い方をするな! 俺は何の拠もない誹謗中傷をしてくる奴から學ぶことはないと思っただけだ」

なんだその俺に対する認識は。

ウィルはチラリとライヤの顔を伺う。

「先生は、私が魔クラブにったらちゃんと指導してくれますか?」

「ん? あぁ、別に魔クラブにる必要はないんじゃないのか?」

「え?」

キョトンとするウィル。

「いや、俺はお前の擔任だし、アンにもクラブ関係なく教えてたりしたしな。擔任ともなればクラブなんて関係なく、來てくれれば教えてあげるよ」

なまじ全員出來がいい分、質問とかが學問に関してなくてちょっと寂しかったんだよな。

「休日に訪ねてもいいのですか?」

「あぁ、そりゃまぁ先に連絡とかあった方が好ましいけど、常識的な範囲ならな」

既にシャロンの來訪を許している手前、ダメとは言えなかったし言う気もなかった。

人によって學びの効率が違うというのがライヤの持論だが、ウィルは自らの疑問を順に解決していくことによって長するタイプだと見ていた。

そして、その解決には他人から指導されることが最も効率の良い方法の一つだといえる。

「先生は優しいですね」

他の生徒に構うために移していくライヤの後ろ姿を見ながら呟くのであった。

「來てしまいました♪」

その週の休日のことである。

惰眠をむさぼっていたライヤはいつぞやのようにフィオナに脅されながら起こされ、ドアを開けたところでこれまたいつぞやのように小さな來訪者に対面したのであった。

ただ、以前とは違う點が一つ。

「……アンまでついてきたのか?」

「な、なによ。悪い?」

その姉が一緒に來ていたことである。

「姉が暇なら姉に習えばいいだろうが」

「いえ、お姉さまも走中ですので」

それを聞いて視線を向けるとバッと顔をそらすアン。

「……公務サボってんのか」

「し、仕方ないじゃない。折角口実があるのに……」

「妹を送るのは公務をサボる口実になるのか……?」

「そうじゃないわよ!」

「は?」

理解が及ばないライヤにアンとウィルは顔を見合わせる。

「お姉さまも苦労されているようですね」

「そうなのよ。全く、私がこんなに……」

「いや、苦労してないだろ。こうしてサボりにきてるんだから」

「「そういうことじゃない!」です」

「??」

謎は深まるばかりであるが、自分に明かす様子もないので放っておく。

「それで、なんで今日は來たんだ?」

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