験生でしたが転生したので異世界で念願の教師やります -B級教師はS級生徒に囲まれて努力の果を見せつける-》巻き込み事故

「それで、話を聞かせて貰おうか?」

ウィルがF級クラスへと今日も顔を出し、ティムがその護衛としてついて行っている中、ライヤはエウレアを呼び出していた。

「お前はウィルを追っていた。それに間違いはないな?」

コクリと頷くエウレア。

「だが、屋敷の周りにお前の姿はなかったし、何かしていた様子もなかった。エウレア・マルクス。ど・こ・の・所・屬・だ・?」

いくら子供であっても、あの場でかないという選択肢は護衛としてはあり得ない。

自らでは役不足だと判斷したのなら、増援を呼ぶなりやることはあるはずだ。

そんな狀況で行方が知れないなんて言うことはあり得ない。

「そこは、私から説明しようかなー?」

「……まともなり方してくださいよ……」

天井からにゅっと頭を出してきたのは教員寮の管理人でおなじみ、フィオナ・ストラスその人であった。

「ほっ」

すとっと床に降り立つフィオナ。

今日も今日とて出の激しい恰好をしているフィオナだが、今回でライヤは凄い発見をした。

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逆立ち狀態にあるが重力に従っていて普段ないような魅力を持っていたのだ。

徐々にライヤはフィオナによって癖を歪められていると言えないでもない。

「……それで、先輩がエウレアの雇い主ですか?」

「まっさか~。エウレアちゃんはこう見えても王家の分家だよー? 私程度に雇うなんてできるはずがないでしょー?」

にんまりと笑うフィオナ。

くっそ腹立つな。

「はぁ……、いいから教えてくださいよ」

「では、教えてしんぜようー。ほら、エウレアちゃん」

「……暗部所屬です」

「……なるほど?」

わからん。

が。

「なんとなく、王國の汚れ仕事を擔ってる部隊ってことで間違いないです?」

「せいかーい」

パチパチと拍手するフィオナと真顔のエウレア。

「それで、その暗部でエウレアの上司がフィオナってことでいいですか?」

「まぁ、その認識で間違ってないかなー」

「先輩ってニートじゃなかったんですね」

「寮の管理してる時點でニートじゃないんだけどね!?」

心外だ! と聲を荒げるフィオナをよそにライヤはエウレアに向き直る。

「それで、どうしてその暗部とやらに?」

「……うちは、代々暗部の家系」

「ほお、王家の分家が直々に」

「……々に進めたいことなら都合がいい」

「まったくだな」

王家部で裏のやりとりも都合がつくならやりやすいだろうが。

「守義務的なのを意識するあまりにエウレアはそんなに無口なのか?」

「それは、エウレアちゃんの格だねー」

「確かに、それだと先輩が所屬できませんもんね」

「どういう意味~?」

言葉通りです、先輩。

「それで、エウレアが暗部だとしてそれがあの場にいなかった理由にどう繋がるんだ?」

「簡単に言えば、擔當が違うんだよー」

「擔當?」

「暗部は、今は第一王子が率いてるんだよねー」

「カムイか」

カムイ・シャラル。

王國の第一王子。

俺とアンの一つ下で現在學園の8年生である。

アンと同じの白髪を長くばしており、紅い瞳と相まってけが凄く良い。

そしてちやほやされて育ち切ったカムイは無類の好きへと長し、もみ消し祭りである。

特に、貴族未満の平民を軽視する傾向が強く、ライヤもどれだけ絡まれたかわからない。

そして王位継承権が1位であることに胡坐をかいて努力もしていない。

ただ、才能はある。

「あれに率いられてるってのがまず不安なんだが」

「まぁ、そこは実質、ね」

他に実際にはリーダーがいるのか。

そうでもないと回らないか。

「それで、カムイが関わってるから」

「うん、ライヤがいるからうちはいくなってねー」

「……くそが」

妹の命が惜しくないのか。

「王位継承権を放棄してるアンと違ってウィルちゃんは放棄してないからねー」

「それを気にするなら自分が努力しろよ」

「本人に言ってあげればー?」

「嫌ですね」

「なるほどな。ってことは寮にいたのか」

再びコクリと頷くエウレア。

「まぁ、ウィルの敵ってことじゃなくて良かった。そうなるとややこしすぎるからな。ところで先輩」

「なにかなー?」

「暗部ってさ、暗部っていうくらいですから」

「ま、公にはなってないよねー」

ニコニコするフィオナと対照的に嫌な汗を流すライヤ。

「ほら、早いうちに巻き込んでおいた方が楽かなーって」

「橫暴だ! なんだその報テロは!」

知った時點で國の重要人になる特大の弾である。

がっくりと項垂れるライヤ。

「どうせ面倒なことになるんだろうなとは思いましたよ……」

「そうだねー」

呑気なフィオナと相も変わらず無口なエウレア。

「あ、あと先輩」

「?」

「エウレアの事、ちゃんって……」

「あれ? エウレアちゃんはの子だよー?」

な、なんだってー!!??

最大の衝撃であった。

「……フィオナさん」

「あれ? だったっけー?」

「一応は」

口をらせただけである。

「まぁ、ライヤは大丈夫だよー。ほら、先生が別知らないと知らず知らずのうちにセクハラとかしちゃうかもしれないしねー。……もうしちゃったりとかしてないよねー?」

「い、いや、してないはずですよ? 々頭をでたくらいで……」

男子にもやってるし……、とすぼみになるライヤ。

「エウレアちゃんは、不快じゃなかった?」

フルフルと首を振るエウレア。

「……もっと、褒めるべき」

「……あはは! 気にられてるねー、ライヤ! いい先生してるんじゃないー?」

「うるさいですよ」

「でも、エウレアちゃん、一つだけ約束ね?」

「?」

コテンと首をかしげるエウレアにフィオナは注意する。

「正妻は、私ね?」

「生徒に何言ってるんだあんたは!」

は!

思わずタメ語に!

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