験生でしたが転生したので異世界で念願の教師やります -B級教師はS級生徒に囲まれて努力の果を見せつける-》土魔法

「さて、今日も今日とて魔力制をやっていくわけだが……」

S級クラスの生徒たちはライヤに化されて家でも自主練習を行っているらしく、例年の生徒に比べて魔力制の上達が格段に早い。

そもそも魔力制3年生からやっと學び始める容なのだが。

「はい」

「なんだマロン」

珍しくマロンが手を挙げる。

「土魔法が出來るようになりたいですー」

「お、どうしてだ」

「んーと、僕は見ての通りけないから。育祭で役に立ちたいなら土魔法かなーって」

「ほう」

考えは悪くない。

自分が素早く移してに隠れるなんて挙は出來ないので自分で土壁とか地形を変えてしまえばいいだろうという考えだろう。

「なら、放課後教えてやろうと思うが、いいか? 授業ではみんなの相手をしたいからな」

「わかったー」

のーんびりと答えるマロン。

切羽詰まってるのか余裕なのかわからんが、余裕を持っていて損はないだろう。

放課後。

「よし、待たせたな」

「全然大丈夫だよー」

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行儀よく自分の席に座って待っていたマロンと向かい合う。

他のクラスの面々はF級クラスとまた練習だろうか。

「土魔法を覚えたいってことだったが、試したことはあるんだろ? それで出來なかったのか?」

「んー。出來ないというより、難しいってじー」

「なるほどな」

まぁ、苦手といったところだろう。

「それを教えるにあたって、俺よりたぶん適役な人がいるから呼んできた」

「おぉー」

パチパチと太った手で拍手をするマロン。

「いいぞ、って」

「一生徒のために私を呼びつけるなんていい度ね」

「アン王!?」

ライヤが呼んだのはアン第一王その人であった。

「アンも土魔法が苦手だったからな。一応、俺が教えたから俺がもう一度それをやっても良かったんだけど、あと1週間しかないわけだし、先輩の経験も活かせないかなと」

「はぁ、珍しく呼ばれたから來てみれば……」

「お禮はするからさ。そこを頼むよ」

「じゃあ、1日デートね」

「お?」

「で、デートよ! 何度も言わせないで!」

甘々な會話をする2人だが、さしものマロンも混しており頭が追い付いていない。

「えっとー、僕は王様に魔法を教わるの……?」

「そうかしこまらなくてもいいわ。ウィルだって王でしょう。一旦、先生と生徒という形でいいでしょう」

実はアンネ先生として教壇に立ったりしているのだが、ウィル以外には怪しまれていないので大丈夫であろう。

「それで、土魔法よね。どう苦手なの?」

「あ、はいー。なんか、他の魔法と違って発に時間がかかるというかー……」

「なら私も同じよ」

「え、王様もー?」

そう、アンも同じ悩みを抱えていたのだ。

「先生と呼びなさい」

「はーい、先生」

普段はアンとして先生呼びされないのでこの機會にと先生呼びを強要するアン。

「恐らく、土魔法に苦手意識があるのはその構要素のせいよ」

「コウセイヨウソ?」

「ちょっと難しいかしらね。要するに、複數のもので作られているのよ」

火・水・風・に関しては作りが単純であるが、土魔法に関しては小さな石や砂、それも分が違うものが集まってできている。

複數のものを同時に作ろうとしているので魔法としてより難しくなっているのだ。

「でも、それだと、みんなも苦手になるんじゃないのー?」

「いいところに目をつけるわね。その理由はやってみればわかるわ。時間をかけてもいいからちょっとした土魔法をしてみなさい」

言われるままに土魔法でこぶし大の丸い塊を作り出すマロン。

確かに10秒ほど時間がかかっており、苦手だというのも頷ける。

「そして、これが私のよ」

コンマ數秒にも満たない速度で同じ大きさの土の塊を作るアン。

「見比べてみなさい。何が違うのか」

手に取ってのんびりと眺めていたマロンだが、何かに気づいてカッとその目を見開く。

「混ざってない……?」

「その通りよ」

複數の質で構されているのが原因ならば、1つに限定してしまえばいい。

石英なら石英だけで作ればいいのだ。

「いきなりはイメージがつきにくいでしょうから、そこらの土を観察してどれを軸にするか決めるといいわ。魔力制が上達すれば自然と複數構でも出來るようになるから」

「ありがとうございますー! やってみますー!」

マロンはアンにお禮を言って帰っていった。

早速実踐するのだろう。

「ちゃんと先生してるじゃん」

「仮にも、先生だからね。ライヤも約束忘れるんじゃないわよ?」

「そうだな、まぁいつか……」

「今週末! いいわね?」

「はい……」

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