験生でしたが転生したので異世界で念願の教師やります -B級教師はS級生徒に囲まれて努力の果を見せつける-》テスト勉強法

翌日には各生徒の質問が屆き、『全員教師作戦』が実行される運びとなった。

「數學全般はウィルかな。頼めるか?」

「お任せください。それほど直前に勉強しなくても良いので」

授業の段階からウィルは全ての科目に対して理解力が高い。

特別得意なものがあるわけではないが、あえて言うならすべてが得意と言ったところだろうか。

真面目に勉強しているのがわかる。

そして、生徒が全般的に苦手としているのが數學であるので、ウィルに任せようと思ったのだ。

「とりあえずは數學くらいかな。他の科目は俺が教えよう」

初日にそれほど質問があるはずもない。

生徒たちもいきなり全ての科目のテスト勉強などできるはずもないのだから。

「先生」

「お、なんだゲイル」

「おすすめのテスト勉強法はありますか?」

「それは覚えるための方法とかじゃなくて、2週間後のテストまでの予定とかの話か?」

「そうですね」

確かに、初めてのテスト期間だ。

時間の使い方もわからないか。

「あくまで、俺のやり方になるけど構わないか?」

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「お願いします」

「そうだな……」

周りの生徒もウィルを除いてライヤの言葉を待つ。

「基本的に、テストは何日かに分けて行われるよな。その前日には次の日にある教科の勉強をしたいはずだ。だからテスト前日は當然、次の日の科目だよな」

まぁ、當然だ。

「それで二週間の使い分けだが、全のテスト範囲が広い場合は一周するだけで一杯だろうが、今回は初回だからそれほどでもない。基本的に一周した後に自分が苦手な科目をする形でいいんじゃないかな。それで一周目だが、それぞれの教科をちょっとずつやっていくのか一教科ずつ終わらせていくかに分かれる。俺個人で言えば、前者になるな。分として、1つの教科をやり続けるのに飽きてしまうんだ」

何度か一教科ずつ終わらせてみようかと考えたこともあったが、まあ挫折したのだ。

「毎日んな教科をするメリットとしては、大その教科にれる時に前回までの容も復習することになるんだ。だから一気にやるよりは時間がかかると思うが、何度もやるってことで覚えやすいんじゃないか? デメリットとしては、全ての勉強を始める前にこの日にどこまでやるかっていうのを決める必要がある。じゃないと、『今日はここまででいいかな』って妥協してしまうんだ」

最初にやってみた時は最後の3日くらいにギリギリで終わらせることになってしまった。

「その代わり、予定を超えた分の勉強はしないこと。やってしまうと、『昨日ちょっと多めにやったからいいか』とサボってしまう。その日の分を終えたら、ちゃんと休むのが肝だ」

これも経験談である。

「で、一日一教科やっていく方だが、メリットは1つの教科をずっとやるから理解がつながりやすいってところだな。特に歴史とかの覚える箇所の前後のきが大切なものは効果が出やすい」

ただ年號とその年に起こったことを覚えていくだけでは難しいが、この王様がこんな悪いことをしたからこの數年後にクーデターが起こったよね、っていう覚え方なら繋がりやすい。

テストの時に4択問題とかであれば1つがわかれば芋づる式に他の者がわかったりするときもある。

「デメリットは、わからないところがあったらそこで行き詰まってしまう事かな。家でテスト勉強をすると思うが、序盤に分からないことがあったりしたときは質問するために翌日まで待たないといけないから、どうしても予定が狂ってしまう」

特に數學とかはこれに陥りやすい。

仮に2桁の足し算で躓いたとして、3桁の足し算が出來るかとなればまず出來ない。

そしてその技能はそれ以降の範囲では當然のものとして扱われるため絶対に先に進めないのだ。

「で、結論だが。今回は『全員教師作戦』を採用しているからんな教科をしずつやっていくのがいいと思う。その日わからないことがあったら次の日に質問して解消してからまた勉強していけばいい」

「そうですね。わかりました」

ライヤは長々と語ってしまったが、ゲイルにも納得してもらえる話だったようだ。

験生時に試行錯誤を繰り返し、転生してからもテスト期間に限った話ではないが勉強していたライヤには凡そ20年にも及ぶ勉強法に対する経験がある。

実際に自分がやってきたことなので自信もそれなりにあるのだ。

「じゃあ、今日は……」

「失禮します」

シャロンからきていた質問に答えようと放課後教室に殘っていたところ、男事務員の人がってきた。

郊外との連絡を擔っている彼がS級クラスの教室を訪れることなどまずない。

「どうしました?」

「賢・者・様・が、ライヤ先生をお呼びです」

「……」

普段割と無表なライヤが骨に嫌な顔をする。

「すまん、シャロン。明日でもいいか?」

「……うん、賢者様に呼ばれるなんて……」

キラキラとした目でライヤを見上げるシャロンだったが、ライヤは憂鬱だ。

「あの人苦手なんだよな……」

「アン王もいらっしゃるかと」

「ますます行きたくない……」

呼び出しが碌な事だった試しがないのだ。

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