「キュー！」

スライムはこちらを見るなり、元気な鳴き聲を上げてくる。

どうする。

このまま倒してしまうか？

いや、やっぱり止めておこう。

なんとなく、スライムの側には敵意がなさそうなじがするし、無理に戦う必要もないだろう。

せっかくだから々と試してみることにするか。

「ええっと。たしか、この辺りに」

そこで俺がポケットの中から取り出したのは、ゴブリンの家からくすねてきた干しだった。

「ほら。コイツを食うか？」

「キュー！」

食料を発見したスライムは、俺の掌に飛びついてくる。

ふむ。

やはり最初から敵意はなかったようだな。

スライムは俺から與えられた干しをモシャモシャと味しそうに食べていた。

その時、スターテス畫面に新しいスキルが追加されていくのが分かった。

【スキル：テイミング（初級）を獲得しました】

【スキル：テイミング（中級）を獲得しました】

【スキル：テイミング（上級）を獲得しました】

おおー。

テイミング、そういうスキルもあるんだな。

それにしても不思議な機能だな。このステータス畫面って。

當たり前のように目の前に出てきたが、自由に消したりすることもできるようである。

試しにステータス畫面の前に手を翳してみる。

だが、何も反応がない。普通に通り抜けてしまった。

殘念ながら、盾として使ったりはできないようだ。

完全に報を読み取る専用の機能だな。

どうやらこのステータス畫面では、手したスキルの効果も確認することができるようだ。

テイミング（上級）　等級Ｂ

（様々な魔と心を通わすことのできるスキル）

おおー。

このテイミングというスキルには、魔とコミュニケーションを取ることを可能にする効果があるようだ。

俺がステータス畫面について々と調べていた時であった。

「キュー！」

スライムが名殘惜しそうな目でこちらを見ている。

いや、正確に言うと、スライムに『目』はついていないのだが……。

テイミングのスキルを手したからか、モンスターのの変化に気付くことができるようになっていた。

「なんだ。お前、俺について來るつもりなのか？」

「キュッ！」

肯定、というつもりらしい。

テイミングのスキルを使って、目の前のモンスターの心を読み取ってみる。

「キュー！」

なるほど。

どうやらコイツは群れからはぐれた個であり、他に行く當てがないようだ。

俺に近づいてきたのも、単純に人間という生に対する興味からであり、最初から戦うつもりはなかったのだとか。

「よし。分かった。今日からお前の名前はライムだ。俺のためにしっかりと働くんだぞ？」

「キュー！　キュー！」

俺が與えた名前が気にったのかライムは、嬉しそうに俺の足元で頬りをしていた。

果たしてスライムが何かの役に立つのか？　という疑問はあるが、この世界で俺が初めて手にれた貴重な仲間であることには違いない。

さて。

まずは俺以外の人間がいる場所がないか、調べにいく必要がありそうだな。

こうしてスライムを仲間に引きれた俺は、引き続き、周囲の探索を続けていくのだった。

アイザワ・ユーリ

固有能力　魔帝の記憶　剣聖の記憶

スキル　剣（上級）　テイミング（上級）　アナライズ