すかさず俺は《アナライズ》のスキルを発してみる。

シャドウ　等級Ｆ

（魔法攻撃を弱點とするモンスター）

パンチョ・パンサ

別　男

種族　ライカン

年齢　３２

なるほど。

どうやらアナライズのスキルは人間にも発揮されるものらしい。

さて。

どうしたものだろうか。

シャドウというモンスターは魔法攻撃が弱點らしい。

ここはやはり俺が魔法を使って助けにいくべきだろうか？

いや。待てよ。

もしかしたら何かスキル取得の條件を満たしたくて逃げ回っている、という可能も考えられるな。

助けるつもりで、勝手にモンスターを倒してしまうと後から怒られることになるかもしれない。

まずは男の人の意思を確認してみよう。

「なあ。もしかして助けが必要なじなのか？」

思い切って聲をかけてみると、パンチョとかいう男はあからさまに揺した素振りを見せていた。

「ア、アンタ、いつの間に！？」

ああ。そうか。

この人、そもそも俺の存在に気付いていなかったのか。

前世で戦いに明け暮れていた時の影響なのだろう。

どうやら俺は、無意識のうちに夜道で気配を殺す癖がについていたらしい。

「み、見てわからないのかよ！　早く、助けてくれよおおお！」

そうか。助けを求めているのか。

どうして自分で倒さないかという疑問は出てくるが、それはこちらとしても都合が良い。

「火炎連弾（バーニングブレット）！」

前世の記憶を頼りに呪文を唱える。

そこで俺が使用したのは、先程、習得したばかりの火屬魔法であった。

シュドオオオオオン！

ドガガガガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアン！

俺の掌から放たれた無數の火の玉は、シャドウたちに命中すると立て続けに大きな発を起こしていく。

しまった。

流石にシャドウを相手にするには、し魔法の威力が高すぎただろうか？

俺が魔法を使うと、周辺の森は焼け野原になってしまったようである。

「なっ。なっ。なあああああ！？」

ん？　これは一どういうことだろか。

俺の魔法を見たパンチョは、その場で腰を抜かして、めちゃくちゃ驚いているようだった。

「ば、化だあああ！　助けてくれえええ！」

俺の顔を見て、逃げ出す冒険者。

まずいことになった！

せっかく人に出會うことができたのである。

ここで貴重な報源を逃すわけにはいかない。

「待ってくれよ。々と聞きたいことがあるんだが」

そこで俺が使用したのは、前の戦いでも使った《地》と呼ばれる移方法である。

相手に『移している』ということすらも察知されずにくことができるこの技は、《剣聖》時代に散々と俺が鍛え上げていたものである。

俺は足の裏に力をれると一瞬で、パンチョの逃げ道を塞ぐようにして周り込んだ。

「なっ！　い、何時の間に！？」

パンチョは方向を変えて、再び、暗い森の中に逃げていく。

「なあ」「あの」「もしもーし」

だが、何度繰り返しても結果は同じである。

進行方向を変更して逃げる度、俺が《地》を使って逃げ道を塞ぐものだから、男は神的に參ってしまったようだ。

「ひいっ。わ、悪かった！　オレが悪かったから！　命だけ助けてくれよ！　なっ！？」

もしかして俺の頼み方が悪かったのだろうか？

俺が報の提供を求めようとすると、男は益々と怯えた様子を見せるのであった。