《病弱を演じる妹に婚約者を奪われましたが、大嫌いだったので大助かりです》第10話:王都謀略・ブリトニー視點

「國王陛下、キャメロンが街の警備隊を襲ったそうではありませんか。

直ぐに討伐しなければいけないのではありませんか。

そうしなければ王國の秩序が保たれないのではありませんか。

いっそ騎士団を派遣して討伐した方がいいのではありませんか。

必要ならメイトランド公爵家もお手伝いさせていただきますわ」

「まだその必要はないであろう。

たかだか令嬢一人と冒険者が五人だ。

それにキャメロン達が警備隊を襲ったのではなく、警備隊がキャメロン達を襲ったのは誤魔化しようがない事実だ。

それとも町の住民全てをブリトニー嬢が皆殺しにするか。

さすがにそんな事をすればブリトニー嬢の邪悪さを誤魔化しようがないぞ」

困りましたね、國王陛下には私の魅力も通用しませんか。

いっそ陛下に襲われそうになったとオーガストに言って、オーガストに陛下を弒逆させて王國の実権を奪わせた方がいいでしょうか。

「下がりなさい、ブリトニー」

ダメでしょうね、今回の件で完全に警戒されてしまいましたね。

恐らく厳しい監視の目がついているでしょう。

しでも疑わし行をすれば間違いなく殺されてしまう事でしょう。

私の事を見逃しているのはオーガストの事があるから。

國王の弱點はオーガストを、家族をしている事。

本來なら処罰しなければいけないオーガストを無罪にするために、家族で爭わない為に、私のやった事を黙認してキャメロンを見捨てた。

「分かりました國王陛下、直ぐに下がらせていただきます」

國王が決斷しかねている間に力をつける。

國王に味方する者の力を削ぎ、オーガストやメイトランド公爵家の力を高める。

一番最初にベイジル第二王子を始末したいけれど、そんな事をすれば家族に満ちた國王が黙っていないでしょうね。

ベイジルの側近を殺すのもまずいわね。

直接眼に見える形でベイジルの手出しするのは危険だわ。

ベイジルの側近を金や爵位でオーガスト側に寢返らせるのが一番ね。

どれほどの金や爵位を與えても、オーガストが権力を握ってから奪えばいい事。

いえ、私が直接権力を手にれるまでは與えられるだけ與える方がいいわね。

最後の最後に全て回収すればいいのだから。

キャメロンを今直ぐにでも八つ裂きにしてやりたいけれど、仕方ないわね。

この國を手にれる事に比べれば些細な事よ。

気に喰わないを殺す事は後の愉しみに取っておけばいいわ。

それにもうキャメロンには何の力もないわ。

そこそこ優秀な冒険者を雇ったようだけれど、メイトランド公爵家と言う後ろ盾がなければ、持ち出したお金も直ぐに無くなって見捨てられるだけよ。

「オーガスト殿下、大切なお話がございますの」

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