《覇王の息子 異世界を馳せる》関羽、汗を噴く

時刻は深夜。全員が床についている時間。

「來ますね」

最初に気がついたのは、意外にも関羽ではなくマキビだった。

関羽は、その言葉に反応して跳ね起きる。

壁に立てかけていた青龍偃月刀を手に寢巻き姿で部屋を飛び出していった。

から出ると、ただならぬ気配に気がつく。

その數―――10人。

すぐ、見張り臺に目を向けるが、そこに人の気配は皆無だ。

おそらく、見張りの4人は事切れているのだろう。

敵の奇襲に気づくのが遅れたためにすまぬ事をした。

関羽は目を閉じ、失われた命へ詫びる。

そして、再び目を開かせると、迫り來る敵の影へと青龍偃月刀を橫薙ぎに振るった。

 

躱された。

今まで、名だたる武將相手の戦いでも放たれた初弾。

最初の一太刀をけられた事は數ある事だ。避けられた事も數が思い出せないほどある。

しかし、そのを腳力を頼りに飛び跳ねて避けられる事など初めてだ。

相手は、そのまま飛び込んでくる。手にしている獲は、奇妙な短剣。

一瞬で間合いを詰められる。

関羽は空振った青龍偃月刀の刃の部分を後方へ。

大きく縦回転させることで、柄の部分を下から上へと跳ね上げさせる。

それすら、防がれる。関羽の攻撃は短刀で防がれ、敵は後方へ宙返りをして間合いを外す。

なんという能力。人間離れした軽業は、猿のように獣じみていた。

(強い)

関羽は言葉に出さずに呟く。

月のない闇夜にも次第に目が慣れ、襲撃者の姿も見えてくる。

、それもと見間違えんばかり小柄な

腰を落とし、を丸め、その構えは小さなをより小さく―――

片手を地面につけ、殘る一方の手には奇妙な短剣を持っている。

その眼は人ならざる獣の風格。

(來る)

相手の意を読み切り、関羽は再び青龍偃月刀を振る。

今度は橫薙ぎではなく、上から下へと縦の一撃。

相手は、橫へと飛び避ける。

そして、次の瞬間には地面を蹴り、宙へ飛ぶ。

まるで四足獣が獲を襲うかの如きき。

一瞬の差。

関羽の手には青龍偃月刀が握られていなかった。

代わりに持っていたのは、腰に帯びていた剣。

その切っ先は赤く塗られていた。

関羽は青龍偃月刀が避けられたと察する、素早く青龍偃月刀から手を離した。

そして、迫りくる相手に向かい、腰の剣を抜くと同時に一太刀浴びせたのだった。

當然、浴びせられた人間は・・・・・・。

倒れた。

まるで止まっていた時間が、急に役割を思い出したかのようだった。

「まずは一人・・・・・・か」

そう言葉を発した関羽のは、吹き出した汗で全が濡れている。

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