《帰らずのかぐや姫》其の三

あのおかしな出來事を目撃してからしして、ひとつの大きな噂が人々の間に流れ出した。それは、『帝がかぐや姫に求婚している』というものだ。そして同時に、『かぐや姫がそれを斷った』『かぐや姫は人間じゃない』という噂も、様々な尾ひれ背びれをつけて人々の口を泳ぎ渡っている。

信じる者信じぬ者は數多だが、この男・菅野典だけはそれが全て真実だと知っていた。帝に関してはかぐや本人の口より聞いたし、主からも聞いた。もうひとつに関しては、以前あの奇怪な出來事を目の當たりにしているため。

典は空を見上げた。空には満天の星、そして満ちた月が誇り高く輝いている。あの夜、かぐやはこの満月と同じを発していた。

典はあの景を見た時から何とも言えない思いに囚われている。かぐやとは今まで通り良い友人でいたい。自よりも腕の立つかぐやとの稽古は武の研鑽を積むためには最適だ。くだらない話をして笑い合うという何てことのないやり取りが楽しい。どの意味でもかぐやと過ごす時間は典にとってとても楽しいものなのだ。

しかし彼に対して抱いていた信頼に、ここ最近、〝得の知れないもの〟という疑念が影を差している。その狀況が気持ち悪くて仕方なくなった典は決斷した。元々よく言えば正直で、悪く言えば単純な典は、もっとも手早く確かな方法を取ることにした。

直接かぐやに、聞く。

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