《帰らずのかぐや姫》其の四

「陛下、また我が軍の敗北です! 叛軍は依然進軍速度を緩めません。このままでは我が國は……っ!」

駆け込んできた兵の報告に、國王はを噛んで玉座の肘置きを力任せに叩きつけた。その傍らに背の丸まった老人が音もなく近付く。

「陛下、もはや一刻の猶予もございません。ご決斷を」

しわがれた聲に促され、國王は嘆息して空を仰いだ。眉は額に寄り集まり深い皺を刻み、疲労が顔に浮かんでいる。

「呼び戻すしかないのか、我が娘を。――かの鬼神を」

畏怖と期待は暗き空間を馳せる。眼下で青く輝く星ほしに向かって。

* * *

帝の求婚から早3年の月日が経った。かぐやもその周りの人々も、特別変わることのない平和な日々を過ごしている。あえて変わったことを上げるというならば、翁の財産がこの3年で大きく膨れ上がったことであろうか。しかし彼は豪遊することをしない代わり孤児や暮らしに困っている者たちを支えるべくそれを使っていた。そのを慎み慈に満ちた生活ぶりが彼らの元にかぐやを留める理由になっていることを知るのは、そのことを彼から聞いた典だけだ。

騒ぎといえばよくかぐやが家を抜け出すことや、そのたびに新しい孤児を拾ってきたりすることくらいで、それ以外は暇を思ってしまうほどの平和に満ちている。

今は、だが――。

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