《帰らずのかぐや姫》其の五 4
羅快は〝それ〟を確信した瞬間愕然とした。
確かにその拳は髪と背中に沈んだ。しかし、その手応えは人を打ち抜いたにしてはあまりにも軽すぎる。何か、と思う間もなく、その烏の濡れ羽の長髪と鮮やかな単は虛を孕んで羅快の腕に巻きついた。
羅快は目を見開く。かぐやが、いない。
「くっ……!」
すぐにそれを払おうとした羅快だが、単には細かな糸が張られていたらしく、易くは振り払えない。かぐやを見失った羅快は微かに焦る。羅快は知っているのだ、かぐやが、今相手にしているのがどんな人なのか。
ようやく単と髪を外せた、その時、彼にかかる月が何かに遮られた。瞬間全にまとわりつく闘気に、羅快はぞっと背筋を冷やし、反的に片腕を振り上げつつ空を振り仰ぐ。
満ちる月を遮るのは、白のをはためかせた月の鬼神。浮かべられた微笑に羅快は思わず言葉を失う。気が抜けた瞬間を、かぐやは見逃さない。
を捻り、落下の勢いをそのままに羅快の左肩を蹴り降ろす。咄嗟に正気を取り戻していた羅快は膝を曲げを沈めその勢い殺ぐ。しかしける衝撃も多大なもので、結局耐えられずに瓦の上に前倒れとなってしまった。一方のかぐやはその反を利用して空中で後転。再び屋に足をつく。
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それと時を同じくして、地上にはかぐやのぎ捨てた擬髪と単が落下してきた。恐れて後ろに下がっていた帝たちからざわめきが起きるのを聞きつつ、典は彼が一番見慣れた年姿になったかぐやから目を逸らさない。
「……大した方だ。ただ一蹴りけただけだというのに、もう左手が痺れてかない。を伏せていなかったら、とは考えたくありませんね」
からっ、と乾いた音を立てる瓦を踏み直し、羅快が立ち上がる。そしてすぐにまた瓦を蹴った。今度は地上の人々にも見える速さで、羅快はかぐやに向かっていく。どうやら速さではなく力で対するつもりのようだ。
かぐやはの角度を斜めにし構えると、何度も繰り出される拳をひとつひとつ丁寧にけ流していく。片腕だけで戦っているとは思えないほどの攻勢に、かぐやは心舌を巻いた。時折組み込まれる蹴りにはさすがに避けざるをえない。
周りでは天人、地上人たちがそれぞれの応援対象に向けて力をこめて聲を送っている。當人たちにしてみれば単なる騒音でしかなかったが。
「姫様、お聞かせください」
攻勢を緩めずに羅快が尋ねると、守勢を緩めずにかぐやが何かと応答する。羅快は一拍置いてから、力を込めた掌打と共にさらに言葉を紡いだ。
「何故月へお戻りにならないのですか? 月の空気はもはやあなたの毒にはならぬほど清浄なものへとなりました。僭越ながら両陛下とも、姫様のご帰還を心待ちにしておいでです」
羅快の、その真摯な言葉にかぐやは一瞬呆け、そして皮気に笑ってくっとを鳴らす。長たちがかぐやを舐め切っていた所を見るに、彼らはかぐやが力を削がれ地上に落とされたのを知っていたらしい。だが、この誠心の武人には月の両親殿は大層な噓をついたようだ。今の言葉から察するに、月の空気が不浄であるため地上に退避させた、といった所か。戦場を駆け抜けた娘に使うには馬鹿馬鹿しい噓だが、そのかぐやを知りながら羅快が信じているところを見るに、人を騙す力には長けているようだ。
「心待ち? 騙まし討ちして地上に落とした娘を? 大方國の存亡の秋とかってんでしょ馬鹿馬鹿しい。私が帰っても何も変わらないよ。國を滅ぼすのが他國から私に代わるだけだ」
羅快は繰り出す手を緩めない。しかし確かに拳が揺に揺れていた。かぐやはそれをけながら、彼は純粋に自分を迎えに來ただけなのだと確信する。そうなると素直に羅快に申し訳ない気持ちが浮かんできた。それでも緩まない拳に込められた真剣な忠誠を、同でけることをかぐやは良しとしない。
「あんただったら帰りたいと思う? 大好きだったから一心に盡くしたのに裏切った両親の所に。あんたは助けたいと思う? 自分の力を利用するだけ利用して、結果怖がって真っ暗な部屋に閉じ込めて地上に追放するような両親の元に」
大好きだった。誰よりも何よりも、守りたくて、大切にしたくて、笑ってしくて、頑張った。苦しい思いをしても怖い思いをしても痛い思いしても、いつか抱きしめて笑って褒めてくれることを信じていた。
だけど、よこされたのは道を使い捨てるような冷たさだけ。
靜かに言葉を紡ぎながら、かぐやは拳をけ、または流していく。重くなる拳に込められているのは彼も抱く憤りだった。かぐやはそれに気付くと、しばらく黙ってそのままの狀態を続ける。
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