《帰らずのかぐや姫》其の五 8
「今は亡いですが、昔、自分の隊に鬼の子がおりました。比喩ではなく、真実鬼族の子供が。彼が言うには、鬼の力というのは強い意思を持ってるものらしい。揺るがぬ意思を持つ者ほど強く、逆に脆弱な心では力に流されてしまう。――彼が戦場で姫様を見た時、言っていたのです。姫様ほどの鬼の力はよほどの覚悟と意思がなければ手にらず、また扱いきれぬ、と」
まだ善悪すらも分からぬに親を殺され、天人たちの道として飼われた鬼の子。長した彼は子同然の神で戦場に出された。しかし、いくら鬼といえどまだ意思の弱い子供。彼は大戦の一番厳しい頃に命を落としてしまった。鬼のほとんどが滅び、彼もかぐやの父の國が最後に使った純粋な鬼だった。
「だから、自分は赫殿下に何度もお伝えしたのです。力で無理に押さえつけるようなことをすれば危険です、と。しかし――」
羅快の言葉が途切れる。その進言が無駄になってしまったことは、正気を失い暴れるかぐやが証明していた。天人たちを何人か薙ぎ倒し、今度は地面に降り立ち地上の者たちを襲いだしている。
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「鬼の音では、もはや鬼の力に飲まれた姫様を抑えられはしない。この命に代えても、姫様をお止めせねば」
言下羅快はふらつく足で立ち上がろうとする。しかしかぐやに叩きのめされ屋から落下した直後だ。彼がどれだけ優秀な武人であろうと無理はきかない。勢を崩した羅快を典は慌てて支えた。
「無茶だ! あのかぐやをそので止めようなど……!」
「だが死者がまだ出ていないということは心の底の底に姫様の意思が殘っているということだ。それが消える前に止めねばこの國は滅びるぞ! 今自分以外この場で姫様に対抗出來得る力など――」
典の言葉を否定するように近くにある典の顔を見上げた羅快は、何かに驚くように僅かに目を見開く。何事か、と典が驚いていると、その脇を誰かが通り過ぎた。誰か、などすぐに分かった典は、しかし視線で追いかけた瞬間一層慌てて聲を上げる。
「造麻呂殿! 嫗殿!」
典の脇から駆け出したのは翁。そして彼とほぼ同時に、部屋に隠れていたはずの嫗も足で飛び出し駆け出していた。彼らが向かう先はただひとつ。娘のもとだ。
慌てて典が後を追おうとすると、羅快の大きな手で引きとめられる。何だ、そう問おうとするが、同様に焦燥を浮かべた羅快が先んじた。
「貴殿、姫様から何かされていないか?」
強い口調で問われた典は戸いを浮かべる。何を訊かれているのか理解出來なかったのだ。それを表から読み取った羅快はさすがに慌てすぎていると自覚したらしい。落ち著こうと軽く頭を振ってから改めて言葉を紡ぎ直した。
「自分は能力に傾いている類だが、外能力に関して分からないわけではない。貴殿から姫様の能力の気配がするのだ。だが、まるで上から布を被せられているようにはっきりとしない。何かされているはずだ、覚えはないか?」
覚え――そう言われ、典は何とか記憶を掘り出そうと試みる。しかし焦れる頭は答えを探そうとするたびにそれを遠ざけた。そうしている間に、の悲鳴が聞こえてくる。弾かれたようにそちらに顔を向ければ、嫗を追うように顔を出していた娘たちがある方向を見て青ざめていた。さらにそちらに顔を向ければ、かぐやが指先をで濡らし佇み、翁が腕からを流して倒れている。嫗はその隣で夫と娘を互に見やっていた。
かぐやがやったのだ。そう理解した途端、頭の中で何かが弾ける。
『――あんたにも、期待してる。もしも何かあっても、きっとあんたなら――』
甦る、音の記憶。月からの使者としてあの老人がやってきた日にかぐやが囁いた言葉。
『きっとあんたなら――』
かぐやが再び手を振り上げる。その作は何故か鈍く、それが鬼の音ゆえだと思ったのか、屋の上でひたすら抑えの音楽を奏で続けていた赫は音を強めた。しかし次の瞬間、はじめて彼の笛の音がやんだ。強烈に吹き付け髪を煽る二度の風と、地上人としては決してありえないきをした男の行に抱いた衝撃ゆえに。
『私が正気を失っても、お父様たちを守ってくれるから』
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