《鸞翔鬼伝〜らんしょうきでん〜》天命.三 偶発〔肆〕
「して、どうであった」
とは信長。
寢所の明かりの中、塙直政と二人きりで話す。
「はっ。先刻お聞きの通り、各地の事などは小姓達よりも詳しく、武については申し分ございませぬ。…他についてもよく吸収しまして、あと二日もあれば充分に育つかと」
「それは重畳。…しかし〝義〟とやらは、気になるな」
「〝義〟の字を使うとなれば、やはり城持ちの家でしょうな。一度、お會いなさるが宜しいでしょう」
「ん…」
塙直政は信長の寢所を退出して、己の邸に戻る。
〈ん…?〉
途中、き聲が聞こえたので行ってみると、翔隆の部屋であった。
〈…?〉
傷でも痛むのかと思い、障子を開けて様子をうかがう。
と、畳の上でうなされて藻掻もがいている翔隆の姿があった。
「! 翔隆!」
塙直政は慌てて駆け寄り、翔隆を揺り起こす。
「翔隆、しっかり致せ!」
「うあっ!!」
翔隆はんで起き上がり、震えている。
「翔隆…」
その様子から、余程辛い目に遭ったというのが分かる。
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直政は哀憫をじて、翔隆を優しく抱き締めた。
「大丈夫だ……」
何が大丈夫なのか…と自問しながらも、直政は翔隆の頭をでてやる。
それから、翔隆が眠るまで頭をでていた。
幾日も過ぎ行くと翔隆は城勤めにも慣れ、十日も経つと他の小姓達ともすっかり意気役合し、仲良くなっていた。
翔隆は明るく振る舞っている…。
翔隆が信長の事を〝三郎様〟と呼ぶと、何やら違和を覚えた。
信長を含め、その場の皆が考えると、〝ああ〟と納得する。
翔隆の字も三郎が付くからだ。
そう付けたのは信長自。
自の三郎の名をくれてやったのだから仕方がない。
「翔隆、諱を呼ぶのを許してやる」
「え?! ですが、忌み名って…立ち場が偉くないと…」
「構わん」
「はあ…では、信長様で…」
そうなると、他の者も同じく諱を許さなくてはならなくなる。
だが、どうしても厭な人は呼ばないから安心してしい、と翔隆から申し出たので名前の呼び方については解決した。
今日も河原に、はしゃぎ聲が響く。
 信長がいつもの如く村の悪共を引き連れて、年の者には印地打ち(石投げ合戦)をやらせ、自らは年長の者達と小姓で、竹槍合戦に熱中しているのだ。
「それッ!」
特別に長い竹槍で、東西別れての叩き合い。その合戦に、翔隆もざっていた。
無論勝ったのは信長軍。
萬千代軍は慘敗である。
勝利した、年や青年達は褒として握り飯を貰う。
敗者の萬千代・蔵助らは他の者と共にしょげて拗ねた様に信長を見つめる。
「何じゃ、その顔は!」
「殿、不公平にござりまする!」
萬千代が言う。
「殿お一人でも強いのに翔隆まで居ては、負けが見えているではござりませぬか!」
「そうごねるな。次はそっちにれてやる」
信長が明るく言うと、翔隆が苦笑した。
「萬千代殿、俺が居たって勝てないよ」
「それもそうじゃ!」
そう言い、笑い合う。
―――――その時!
「翔隆!!」
という、稲妻の如き怒鳴り聲が響いた。
〈この聲…!〉
翔隆はビクリとして反的に振り向く。
見るとそこには、傷だらけの義が仁王立ちしていた。
「義―――……!」
翔隆は驚愕し、そして嬉しそうに笑いながら立ち上がる。
信長らは遠巻きにじっと、り行きを見つめていた。
義は、翔隆だけを睨み據えてズカズカと歩み寄って來た。
「生きて……」
翔隆は驚喜して涙を浮かべて言う。
それには何も答えずに目の前に立つと、義は無言で手を振り上げ、平手打ちをする。
バシッ… いい音だ。
「…この大馬鹿者!! 風麻呂かざまろの知らせにも応じないとは何事か! …誰がこんな所で、こんな時に遊べと言った?!」
「ごめんなさい…っ!」
何度も、容赦なく平手打ちをする。
突然、その手が止まった。
見ると、信長が義の手首を強く摑んでいるではないか!
「そのくらいにしておけ」
「あんたには関係あるまい!」
「ある。そ奴はわしの〝家臣〟だ」
言ってしまった…!
翔隆は、知られた事に絶を抱いた。
「翔隆……お前……――――!」
義は蒼冷めて、翔隆を見つめる。
「だから〝近付くな〟と言ったのだ!」
そんな義にお構い無しに、信長は堂々と言う。
「お主が〝義〟か」
「!?」
「名乗れ」
「お…俺に、名乗る様な名など無いっ!」
 …明らかにおかしい。
「ほおお…果たしてそうか? ん? ……その柄の〝紋〟は……」
「!」
義はサッと退き、大聲で怒鳴る。
「翔隆、來い!!」
「義…! す、済みません信長様! すぐに戻りますから!」
言いながら、翔隆は走り去る義の後を追った。
黙って見送る信長に、直政が歩み寄る。
「殿、今の男の刀の柄……」
「ん…。あれは今川家のもの……」
駿河の大名、今川…織田家の、強敵。
「る程…義、か。調べる必要があるようじゃな」
「はっ」
直政は、すぐに馬の下へ走った。
「…すぐ戻る、か…。當てにはならんな」
ポツリと信長が呟いた。
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