《従妹に懐かれすぎてる件》三月二十日「従妹と見た目」
「ゆうにぃ、ここには何がってるの?」
「あぁ、そこは開けるな。大したはないからさ」
突如、一人暮らしの俺の家に押し掛けてきた従妹、星月彩音。
彼は狹いワンルームに敷き詰められた家を一つ一つ珍しそうな目で眺めていた。
俺はその様子を頬杖をついてぼんやりと見つめる。
「……変わったよな、お前」
「ん? そうかな?」
「なんかしばらく見ないうちに隨分と大きくなった気がする」
「えぇー。二年しか経ってないし全然変わってなくない?」
そう言う彩音だが、中學生という思春期真っ只中の二年間というのは人生で最ものある期間と呼んでも過言ではない。特に外見的になるが、明らかに彼は長していたのだ。
例を挙げれば……。
まず背。俺より頭一つ分低い高さだが、これはほとんど変わっていない。
あと艶やかな黒髪とそれを二つ結びにするヘアスタイルも変わっていない。
……って違う違う。長した所だよ挙げるのは。
やっぱ一番は……昔より垢抜けている事かな。変わらないげな顔つきの反面、彼が今著ている私服はファッションレベルが素人の俺から見てもセンスが良いと思う。
丈の短い白地のワンピースにデニムのジャケット。春らしい裝いで膝上まで見せる生腳も涼しげだ。
「ゆうにぃ、そんな私をジロジロ見ないで。……なんか恥ずかしい」
「あ、悪い!」
頬を赤く染めて俯く彩音。
やべぇ、外見をチェックするだけのつもりだったのに変な目で見てしまっていたようだ。
……まあ外見をチェックという時點で変態みたいなものだけど。
「私の格好……そんなに変?」
「え……? 違う違う! そうじゃなくて、寧ろ凄く似合ってるなって思って」
「本當!? この服なんだけど、東京で著ていても浮かないように々調べて買ったんだー!」
ワンピースの裾を摑みながら得意気になって話す彩音。
うん、確かにその格好なら渋谷や表參道だって歩けるだろうけど、逆に完璧すぎて目立つかもと考えるのは親バカならぬ従兄バカなのでしょうか。
「彩音は元々可いんだし、基本何著ても大丈夫だと思うぞ」
「ゆうにぃ…………?」
ぬぅおぉうわぁ!?
なんか平然とキザな発言しちゃったぞ俺は!
は、恥ずかしぃぃぃ!
「ご、ごめん。今のは忘れ」
「大好きぃ!」
ぼふっ。
抱きつかれ、そのまま後ろへ倒れこむ。
彩音はそこから更に俺の板付近を頭でスリスリするという死しそうな攻撃を仕掛けてきた。
なんかよく分からないがやめてくれ、顔が近いから……。
「えへへ。ゆうにぃ褒めすぎ。うふふ」
「ちょっ、やめ……」
らかい、暖かい、良い匂い、こそばゆい、何か當たってる……。
まずい。このままじゃ俺が俺を保てなくなる。
理が求に――負けてしまう!
「もう限界だ!」
「ひゃっ!?」
両手で彩音を払いのける。
彼は目を見開いて驚いたような表をしたが、すぐさま顔を真っ赤に染めて目をそらしてしまった。
「……ごめんね、ゆうにぃ」
「いや、気にするな」
懐かれすぎるのも困り者です。
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