《従妹に懐かれすぎてる件》三月二十一日「従妹とエプロン」

買いを済ませ、帰宅してから數時間が経った。

オレンジの日差しが部屋を照らし始め、俺はベランダに干してあった洗濯を取り込んでいると、彩音は満足げな顔をして手をポンっと一回叩いた。

「ゆうにぃ、今日は私張り切っちゃうからねっ!」

言いながらキャリーバッグに手を突っ込み、白いナニかを取り出す。

「それは……エプロンか?」

「そう! お母さんに新妻の基本アイテムよって言われて買って貰ったの!」

「あぁなるほど……梨恵りえさんの仕業か……」

梨恵さんとは彩音の母親、つまり俺の伯母にあたる人で昔から俺と彩音の仲を喜ばしく思っているのだ。

俺が高校生の時の話だが、一度だけ「佑真君が彩音の旦那さんだったら安心なんだけどなあ」と言われた事もある。

當時は何の冗談だよと聞き流していたが、今回の同居の件に梨恵さんが絡んでいたとすると、あながち噓ではないのかもしれない。

だとすれば、非常に恐い話になるな……。

「ねぇ、どうどう? 似合ってる?」

手早くエプロン姿に著替えた彩音に聲を掛けられる。

どんな弾が來るのだろうとヒヤヒヤしていたが、見てみると意外にも素樸な造りをしたエプロンだった。

白いレース生地で裾に申し訳程度のフリルがあしらった以外には特に目立つ要素は無い。

なんだ、梨恵さんチョイスの割には中々無難じゃないか。やはり親として誠実になる所もあるんだな。

「似合ってるぞ。個人的に好きだ」

「本當に!? 嬉しい! ……あ、もしもしお母さん? ゆうにぃが私の事好きだって!」

「おい彩音! 何勝手に電話で報告してんだよ!?」

しかも容が造ねつぞうされてるし!

俺が好きって言ったのはエプロンのデザインの事だよ!

「うんうん……え、もっと刺激的なのがあるって? ……分かった。お母さんがそう言うなら……やってみるよ」

電話を切った彩音は不安そうな表でトイレに駆け込んでいった。

なんだか凄く嫌な予がするが……。

それから約五分後、トイレの扉が開かれて……

「どう……? ゆうにぃはこういうの……好き……かな?」

「なにっ…………!?」

顔を真っ赤にして出てきた彩音の格好はエプロン一枚の姿。

つまり服はおろか、下著までいだ狀態になっており……。

「刺激的かもだけど……これはちょっと恥ずかしすぎるよ……」

両手を使って上と下をきっちりガードしている。

まさか……レースだからけているのか!?

って興している場合じゃない。

こんなおかしな狀況を作り出した犯人は……。

「娘になんて格好させるんだあの馬鹿親は!!」

俺はテーブルをドンと強く叩いて立ち上がる。

もう決めたぞ! 地元へ帰ったら土下座をして謝らせてやる。

そして母親としての自覚があんのかぁ! って言いつけてやろう。

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