《従妹に懐かれすぎてる件》三月二十二日「従兄とファミレス會議2」

「あんた達さ、來期でオススメとかある?」

「拙者はロリっ娘子高生の癖は直せるのかの視聴を勧めますね。王道ラブコメですが、キャラが濃くて印象的です」

「あぁロリ直ね。確か原作で議を醸していたんだっけ、作者が変態過ぎだとか。まぁこのご時世でよくアニメ化できたなってじだけど、來宮が言うなら見てみようかな」

サークルの打ち合わせと稱した會議は、昨今のラノベやアニメについて語り合う談義と化していた。

これも毎度お馴染みの流れで、そもそもまともに話し合おうと思っている奴はこの中にはいない。

詰まるところ、俺達漫畫研究部はコミケに毎回參加するようなガチ勢とは違って名前だけのサークル、所謂いわゆるエンジョイ勢な漫研なのである。

「話変わりますけど、ネキ部長。來月の飲み會はどこでします?」

「そういえばまだ決めてなかったか~。今月は來宮の家だったから……」

むむっと腕を組んで思案する部長。

月に一度、お互いの親睦を深めるという建前のもと部員を集めて飲み會を行っている。

俺は部長の家でできたら良いなと思っていたのだが……。

「姉、久々に星月先輩の巣で執り行うのは如何でしょうか」

「お、いいねー! あそこなら買い出しも楽だしな!」

「ネキ部長待ってください! 俺の家はちょっと厳しいというかスルーで……」

彩音と一緒に住んでいるという狀況でこの輩やからを家に上げる訳にはいかない。絶対変な空気になるし……。

「どうしたんだ星月? 私は別にあの狹い部屋でも平気だぞ?」

「そうではなくて……」

「先輩。目が泳いでますが、何か特別な事でもあるんですか?」

尋ねながら、來宮はずり落ちた黒縁眼鏡をキリッと上げる。

マズい……こいつの勘と察力は滅茶苦茶鋭い。なんとか言い訳をしなければ……。

「その……友達から荷を預かってて。それで部屋が足の踏み場も無いくらいぐちゃぐちゃなんです。とてもじゃないけど人は呼べないかと……」

「なるほど……。でも星月、お前に友達なんていたっけ?」

真剣な表で聞いてくる部長。

と、友達くらいいるわ! 手で數えられるくらいだけど。

「高校の時の連中ですよ……。田舎から遊びに來てるんです」

よし、それっぽい言い訳ができたぞ。あとは上手く話を流して……。

「不躾ですが先輩、今の件は本當の話なのでしょうか」

「え!? お、おう、噓は付いてないぞ」

「聲が上りましたね。あと瞬きの回數も増えてますが……」

ニヤリと口角を上げる來宮。

ヤバっ、既に噓を見抜かれてるんですけど。

「なんだ星月、今の話はでっちあげか?」

「さあ先輩、真実を言ってください。拙者を欺こうとしても無駄ですよ?」

「ぐっ……仕方ないな……」

二人は疑いの目で俺を見ている。こうなればもう作り話は通用しないだろう。

「……従妹がいるんです。五つ年下の」

「ほぇ〜。マジか〜」

「ふむふむ、それは興味深いですね」

それから俺は、彩音が俺の家に住みだした経緯について正直に話した。

「……という訳なんで、今後はパスでお願いします」

「よし分かった。なら來月は星月宅に行こう!」

「ちょ、この流れでどうしてこうなるんですか!?」

展開をぶち破るのがお好きなウチの漫研部長、長原先輩です。

「歓迎會ですよ先輩。……それに高校を目前に控えたJCとは……ジュルリ」

「部長はともかく、てめぇは來んな、このロリコン!」

見かけによらず趣向が変態的なウチの漫研部員、來宮研吾郎です。

「じゃあ細井にも連絡して、來月はパーッと焼パーティーにするぞ! 特別に私が奢ってやるから喜べ、部員ども!」

「おぉ! 流石姉! 潔いです!」

「もう勝手にしてくれ……」

取り敢えず彩音には危ないヤツが來るって伝えておこう……。

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