《従妹に懐かれすぎてる件》三月二十七日「従妹と珈琲店」
春の暖かな日差しの下、人通りのない裏路地を彩音と肩を並べて歩く。
雙方、空腹のためか口數はない。でも今はそれが心地良かった。
家を出て十分程歩いた。
するとチラシに載っていた地図と同じ場所に灑落た見た目の珈琲店がポツンと建っているのが見えた。
「あれだね」
「……だな」
お互い目を合わせる事なく會話する。
すると……。
ズッドォォーンッ!
店の方角から音と地響きが鳴った。
事故でも起きたのか?
周囲を見回してみたが、辺りは車どころか人すら歩いていない。
「ねぇゆうにぃ……さっきの音、店の中からじゃない……?」
「…………やっぱそうだよな」
不安が募るが意を決して営業中と書かれたドアを開く。
彩音は俺の上著の裾を両手で摑んでおり、とても不安そうな表をしていた。
「……いらっしゃいませ。お待ちしておりました」
「お待ち……?」
あれ? 俺ここ來た事あったっけ?
記憶を辿るが思い出せない。
一方、聲を掛けてくれたこの店のオーナーらしき男は、一つ咳払いをした後
「噂と言いますか、こちらの話です。……二名様でよろしいですね?」
「はい、あとそれと……」
先程の音について聞いてみる。
すると男はにこやかに微笑みながら答えた。
「邪魔な客がいたもので、底に落としてやったんです。そう……ちょうどお客様がいるあたりです。仕掛けで床が抜けるようになってるんですよ」
「なにそれ怖っ!?」
ひょっとして俺達はとんでもない店に來てしまったのかもしれない……。
彩音に関してはを震わせながら俺にべったりくっついている。これ、外でされると結構恥ずかしいな。
だが男はそんな様子を楽しそうに見ながら話を続ける。
「ささ、空いている席へどうぞ」
「はい……」
店には二十代ぐらいのが一人カウンターに座っているだけで、他に客はいないようだった。
どこに座ろうかと周囲を見回しているとカウンターの客と目が合う。
「…………っ!」
なんか凄い鋭い目で睨まれたが気のせいだろうか……?
し怖くなったのでそのとは離れたテーブル席につくことにした。
「ゆうにぃ……膝の上に座っちゃ駄目?」
「子供かお前は」
怖いのか知らんが椅子ぐらい普通に座っていただきたい。
彩音はしょんぼりしながらも、俺と向かい合う形で腰を下ろした。
「とっとと選ぶとするか」
「だね……」
手早くメニューを取り、良さげなものを探す。
すると彩音は早々に……
「ゆうにぃ、バナナ食べたい!」
「ぶふぉ!?」
いきなりデカい聲でぶな。しかも意味深に聞こえるような事を……。
あと後ろでガタッと音がしたが気にしない。
「おまっ、それってこのバナナケーキの事だろ? 変に略すなっての」
「いやぁ、だってケーキって言うの面倒くさいじゃん?」
どういう言い訳だよ!? やっぱ彩音の奴、狙って言ったな?
「まあいい……俺はベーコンエッグにするから、注文しちゃうぞ」
「あ、待って! 私はフレンチトーストのコーヒーセットで!」
「バナナじゃないのかよ!」
朝から絶好調な子である。
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